映画レビュー(98)「桐島、部活やめるってよ」(2012年)

朝井リョウのデビュー作を原作とした青春映画である。
群像劇のスタイルで描かれている。原作との違いは、人物を章立てにせず、時系列である曜日を章立てに使い、複数の視点で何度も描く手法を使っている。
それが、お互いの心の内が判らずにすれ違う若者同士の孤独感や焦燥感や自責の念などに繋がっていることを描き出している。巧いと思った。
学校のバレー部のスター選手・桐島が突然部活を止め学校にも来なくなる。
何故? と驚く学生たち。
それを横目に、運動部の連中からバカにされながらも映画を作り始める映画研究会たち。
彼らの数日間の物語が描かれる。十代の頃の自分の心理を思い出した。
タイトルの桐島は物語には出てこない。このドラマは、いわば「桐島を待ちながら」だ。そう「ゴドーを待ちながら」(サミュエル・ベケット)なのだ。

桐島、部活やめるってよ

(追記)
実は、この直前に「ゴジラ-1」で神木隆之介さんを観たばかり。若いころの神木氏に新鮮な感じ受けた。

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