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会社員→中高教員→大学教員へ 実務家教員としてのキャリアパス 書類審査と面接を振り返って

昨日、公募にエントリーしていた大学から内定の通知を頂戴した。まだ信じられないが選考の代表の先生からのメール。

さて、noteを含めネットには公募に関する憶測やご意見が沢山書かれているが、自分の経験から得たいくつかの気づきをここに書いていきたいと思う。少しでもこの情報が同じように実務家教員を目指す人の役に立つことを願う。

1.戦績 1勝1敗 (2022年)
①横浜市内 某女子大 観光系学部
書類審査落ち

②関東圏 大学 文学部 観光系学科 (2023年)
6月4日 書類提出
6月8日 公募締め切り
6月22日 書類審査通過連絡
7月15日 模擬授業、面接
8月7日 内定通知 助教ポジション
ネットでは、内定がでたら即日連絡が来るという声もあったが結果が出るまでに実に3週間。実は、7月末には結果報告をします、間に合わない場合は8月になるかもしれません、と面接で伺っていたので、内心これは落選したな、と諦めていたタイミングでの内定通知にびっくりした。

ここから、公募に通るために私が行っていたことを書いていきたい。

①公募を探す (JREC-IN、転職サイトビズリーチなど)
大学の公募、というとJREC-INが検索の王道だと思うが、実は転職サイトでも大学教員や研究員の募集をかけている。特に会社員経験者は転職サイトから検索することもありだと思う。

ただ、公募から自分に合いそうなものを選定する際にはいくつか基準を設けていた。以下にそれを記す。

その① ビジネス実務経験者を、求める人材の条件として記載している


ここでは(6)や(7)が私が意識していた項目


その② 研究論文の代わりに事業報告書などでも業績としてカウントしてくれる
->それまで研究活動に取り組んでいない人はそもそも記載できる論文が少ない、もしくは無い、という人もいると思うが、そんな場合は事業報告書が役に立つ。私は書類応募の際に確認し、OKが出たらそれを記載していた。

その③ インターンシップ先の開拓や提携大学の開拓ができることを条件に謳っている
->会社員時代の新規顧客開拓や、事業を始める際に協業する企業やパートナーさんに遠慮せず声がけしていた自分の特性を生かせる、という判断から。

その④ 観光系の中でも観光英語、ビジネス英語、ホスピタリティ産業に関する講義が含まれており、かつシラバス(提出用)作成の際にこれらの授業に関するものが求められている
->観光に関わってきたが、特に英語の企画書、提案書の作成、ビジネス文書の添削の経験があったので、観光英語・ビジネス英語を教えられるスキルが求められる学校を中心に探していた。

・・・とこんな風にして条件を絞っていくと数ヶ月に一回程度しか自分に合いそうな公募には出会わなかった。また、普段は勤務している学校の業務が忙しすぎて書類作成の時間が確保できなかった。そのため、条件に合ったものが来たときは集中して書くことに徹した。(結局1個だけ)
 情報収集していると、とにかく沢山公募は挑戦するべき、という声を見かけるが私はこれにはちょっと反対。大学が求めている条件と個人が持っている適性がマッチしないと、頑張っても結果は出ない気がする。

②実務家教員を養成するための講座を受講する 
昨年ある女子大を受けたときに書類審査に通らなかったことから、「もしかしたら書類の書き方にマナーやルールがあるのでは?」と感じた。そこで、思い切って、社会構想大学院大学の実務家教員養成課程の授業を履修することにした。この判断が正しかったと思っている。この講座を通じて職務経歴書や研究業績書の書き方を体系的に学ぶことができたため、大学がこの書類でどんなことを求めているかを理解した上で作成できるようになった。

で、この経験を踏まえて挑んだ今回の公募で書類審査を通過したことから、求められているマナーに則って書けばうまくいく、というう仮説が正しかったことがわかり、また研究業績が無くても書き方次第で自分の経験をうまく大学が求めている内容に調整・翻訳できれば通じることも明確になったので自信につながった。
最悪、面接がダメでも書類は通るという確信を得られた。

大切なポイントとしては
①実務経験は、それを経験したことが無い人でも理解しやすい言葉を使ってわかりやすく具体的に書く

②実務の経験のうち、特に教育や人材育成、指導に関わった部分に焦点をあて、時期や人数、成果 (受講者の評価・感想)までなるべく詳細に書く

プレゼンや企画書と異なり、調書は「箇条書き」ではなくできるだけ具体的・詳細な文章の形式で記載することが重要

なぜこれが重要かというと、突き詰めれば、「その実務経験を通じて何を学生に教えられるか」を採用のご担当者に伝える必要があるから。

ここまで、書類審査の話。次は面接と模擬授業の話を書きたい。

2.面接&模擬授業
面接と模擬授業は以下のような感じ。頂戴した質問も紹介する。

所要時間:約60分
模擬授業:30分+面接30分程度 
面接官:5名 (うちネイティブの先生が1名)
模擬授業30分の後、そのまま面接。
模擬授業は英語をベースに初学者を想定して日本語を混ぜてよいとのことだったので日本語を補足に入れながら模擬授業を行った。
当日使用したものはPPTとワークプリント(WORD)のみ。

面接室に入ると面接官の方が5名いらっしゃるので緊張するかな・・・と思いきや、すぐに授業が始まるので緊張する時間もなくそのまま授業へ突入。
対話型の授業を準備していたので、序盤から面接官の先生にガンガン質問したり話題を振ったりして、先生たちがちょっと戸惑って苦笑いしているのを見ながら進めていく。
この日のメインワークは、アメリカの旅行代理店から私が在職中に依頼された「50万円で歌舞伎座を貸し切って日本文化をプライベートで鑑賞したい」という無茶ぶりに対してどんな提案ができるか、を個人・グループで考えて意見を出し合う、というもの。先生方が協力的で(!)なんかこんな拙い授業に合わせてもらって恐縮しながらあっという間に30分が終了した。

後半はそのまま面接に突入したが前半で授業やって妙な連帯感(!?)があったのであまり緊張せずに対応できた・・・気がする。
いや、振り返るとそんなことないわ。沢山出た質問をここに紹介する。

⚫︎授業ではどんなアウトプットや学びを生徒に与える?
⚫︎教科書を使わない理由は何か ※使用教科書を授業案に書かず参考教材だけを書いていたため。
⚫︎教科書はあった方がよい 
⚫︎なぜ模擬授業で英語の量が少なかったのか (英語)
→事前に頂いた資料には英語+初学者用に日本語を混ぜても良いと書いていたことを説明。100%英語の授業でも対応可能です!と伝えた。
⚫︎通訳などの授業を任せたいが対応ができるか
→訪日営業は現場でアドリブで観光地で通訳をしたりするので対応可能ですと伝えた。
⚫︎大学のある地域に居住できるか
⚫︎訪日営業とはどんな仕事なのか
→これは自分の業務の事なので説明しつつ、「ビジネス会話・英文企画書作成・プレゼンテーション・商談」等様々な場面で英語を使ってコミュニケーションができることとそれを教えられることをPR。採用活動にも関わっていたので就職の面接練習やES添削ができることも伝えた。
⚫︎入試などの対応ができるか

面接は正直に言ってあまり緊張しなかった。というよりも聞かれた質問にどう言えばわかりやすいか考えながら説明していたら終わった、という感じ。
私が心がけたのは、相手が必ずしもビジネスや観光を実務でやっていらっしゃるわけではないので、どうすればストレスなく聞いてもらえるか、という1点だった。これが結果的には良かったのかもしれない。

とこれが皆さんのお役に立てるかわからないが、今、そしてこれから公募にチャレンジしている皆様の役に立てばと思い、できるだけ具体的に書いてみた。









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