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現代語俳句メール句会 第7回 〜結果発表〜


「現代語俳句メール句会」と題して、
メールによる句会を開催しています。

今回は5名のみなさんに全25句をお寄せいただきました



現代語俳句メール句会 第7回
2020年 7月

ご参加のみなさんの選と講評です


一太郎さん選 》

◎ 特選句 ◎

どろんこの手を振る空よ夕焼けよ
吉田翠

正式に選句・講評・感想を述べるのはほぼ初めての事でして、作者の意図とかけ離れて居る場合はお許し下さい。

「どろんこの手を振る空よ夕焼けよ」

どろんこの手を振るシチュエーションと言うのを想像してみた。

1.畑仕事も一日の終わりに近づく頃、帰省していた孫達がそれぞれ家に帰る。それを畑の端で見送る・・・・・。空は夕焼け。

2.帰省していた実家から帰宅する日。歳の行った実父が畑の端で手を振っている・・・空は夕焼け。

どちらのパターンもホンノリ甘く、少し苦い人生の味。
そして夕焼けの空の色は故郷の色かも。

◯ 入選句 ◯

アルプスの四方に凪いだ雲の海
悠凜

舞い降りた鷺が隠れて青田原
矢口れんと

それぞれに大人びた日のアイスコーヒー
吉田翠

帰省バス筑波をながめ富士ながめ
草笛




吉田翠さん選 》

◎ 特選句 ◎

あかあかと燃えてくわがた虫の空
草笛

遥々とした空と対比するような虫。大小の組み合わせがピタリと共鳴している句だと思います。
人はもちろんあらゆるものが自然の一部だと思い起こし、夏の夕暮れを眺めている「人」の姿も感じました。

◯ 入選句 ◯

帰省バス筑波をながめ富士ながめ
草笛

雨上がりハンモックで空ひとりじめ
悠凜

アルプスの四方に凪いだ雲の海
悠凜

色落ちのあじさい落とす長雨よ
矢口れんと



悠凜さん選 》

◎ 特選句 ◎

世に枝をひろげる神よ木下闇
草笛

一番、人の感覚、というものを感じました。神を感じるのも、闇を感じるのも人。木に意思があったとしても、それは人にはわからずに広げるだけ。けれど、そのただ広げた枝が、暗さを感じさせる闇にもなれば、涼を与える木陰ともなる。感じる人次第だな、と何となく思いました。

◯ 入選句 ◯

それぞれに大人びた日のアイスコーヒー
吉田翠

生き倦ね死ぬにも倦ねビール飲む
一太郎

夏芝居うたかたと知る残り紅
吉田翠

どろんこの手を振る空よ夕焼けよ
吉田翠



矢口れんとさん選 》

◎ 特選句 ◎

夏だより届けに来たか揚羽蝶
悠凜

季節の到来を揚羽蝶の一語に託した句で、下五にいたるまで澱みや余計な語がなく明快なところに魅力を感じます。揚羽蝶は華やかで夏到来の高揚感にふさわしい。しかしそれほど頻繁に見かけられる存在ではない。「か」の切れ字にそのような喜びや驚きの感慨が含意されていて非常に効果的になっていると思います。

◯ 入選句 ◯

大入道空にいてこそ夏休み
吉田翠

胸底にぽっと花咲く甘酒か
草笛

潮風に浜昼顔が揺れる里
一太郎

夏芝居うたかたと知る残り紅
吉田翠




Kusabue選 》

◎ 特選句 ◎

洞爺湖の千々に煌めく夏の月
一太郎


洞爺湖にさす月光は有名なようです。また北海道の雄大な自然が背後に感じられます。美しさと深み、両方がしっかりとある句だと思います。

◯ 入選句 ◯

どろんこの手を振る空よ夕焼けよ
吉田翠

教科書を捨てて知ること鴎外忌
矢口れんと

雨上がりハンモックで空ひとりじめ
悠凜

それぞれに大人びた日のアイスコーヒー
吉田翠




【得点表】

◯ 3点句 ◯

どろんこの手を振る空よ夕焼けよ
吉田翠

それぞれに大人びた日のアイスコーヒー
吉田翠

◯ 2点句 ◯

アルプスの四方に凪いだ雲の海
悠凜

帰省バス筑波をながめ富士ながめ
草笛

雨上がりハンモックで空ひとりじめ
悠凜

夏芝居うたかたと知る残り紅
吉田翠

◯ 1点句 ◯

舞い降りた鷺が隠れて青田原
矢口れんと

あかあかと燃えてくわがた虫の空
草笛

色落ちのあじさい落とす長雨よ
矢口れんと

世に枝をひろげる神よ木下闇
草笛

生き倦ね死ぬにも倦ねビール飲む
一太郎

夏だより届けに来たか揚羽蝶
悠凜

大入道空にいてこそ夏休み
吉田翠

胸底にぽっと花咲く甘酒か
草笛

潮風に浜昼顔が揺れる里
一太郎

洞爺湖の千々に煌めく夏の月
一太郎

教科書を捨てて知ること鴎外忌
矢口れんと

敬称略
失礼いたします





【ご投句いただいたみなさんの全作品です】


◯ 吉田翠さんの作品 ◯

大入道空にいてこそ夏休み

手を合わせ見上げる富士よ夏の空

それぞれに大人びた日のアイスコーヒー

夏芝居うたかたと知る残り紅

どろんこの手を振る空よ夕焼けよ

◯ 一太郎ラン坊さんの作品 ◯

夏星夜人生はこんな物かも

夏空の何処まで行くか白い雲

洞爺湖の千々に煌めく夏の月

潮風に浜昼顔が揺れる里

生き倦ね死ぬにも倦ねビール飲む

◯ 矢口れんとさんの作品 ◯

色落ちのあじさい落とす長雨よ

舞い降りた鷺が隠れて青田原

七夕か利根はごうごう鳥も見ず

茗荷の子もしや奥歯はジャズ奏者

教科書を捨てて知ること鴎外忌

◯ 悠凜さんの作品 ◯

夏だより届けに来たか揚羽蝶

滴りに耳かたむける軒下ぞ

雨上がりハンモックで空ひとりじめ

アルプスの四方に凪いだ雲の海

白馬より眺めた夏の暁よ

◯ Kusabueの作品 ◯

初恋よ冷やし西瓜のとおい味

世に枝をひろげる神よ木下闇

帰省バス筑波をながめ富士ながめ

あかあかと燃えてくわがた虫の空

胸底にぽっと花咲く甘酒か

みなさま、
ご投句・ご参加ありがとうごさいます