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短歌「字足らず字余り」

字足らずそれでもいいさ字余りでも心の声と数が合うなら

 介護のさなか、ふと俳句や短歌が生まれた。2年余り前のことだ。たぶん書くことに飢えていたのだろう。それから部屋のあちこちにメモ用紙と鉛筆を置いて、思いつくたびに書き留めるようになった。

 若い頃は自由詩を書いていた。音数にしばりのある俳句や短歌は、その頃の私には窮屈だった。いまは特に窮屈さは感じない。「のびすぎた僕の身長がシャツのなかへかくれたがるように、若さが僕に様式という枷を必要とした」と書いたのは寺山修司だが(『空には本』)、私の場合、介護をしているいまのほうが様式を必要としているように思う。

 そうは言うものの、いわば裸で詩を書いていた私は、ときどきシャツを脱ぎたくなる。

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