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ハゲと振り返るXperia 1シリーズ(前編)

はじめに

今年2024年はXperia 1が発表されてから5年が経過し、通例であれば命名規則とデザイン言語が変更される時期にあります。更にはXperiaブランド自体が終了し、新たなブランドが立ち上げられるとさえ噂されています。そんなシリーズの節目にハゲとXperia 1シリーズを振り返っていきましょう。

1から生まれ変わったXperia「Xperia 1」

2016年から続いたXperia X、XZシリーズが終了し、新たなシリーズとして登場したのがXperia 1です。これまでの一般消費者向け(万人向け)から好きを極めたい人々をターゲットにしたニッチ戦略へと移行しました。

「好きを極めたい人々に想像を超えたエクスペリエンスを」
これは2018年にソニーモバイルの新社長に就任した岸田光哉氏の新体制作りの中で策定されたコーポレートビジョンです。業績が悪化し迷走していたXperiaのブランドを刷新するべく、好きを極めたい人々に寄り添う姿勢を見せました。つまり万人受けと決別したのです。そんな新生ソニーモバイルの第一弾がXperia 1です。

まずはカメラから見ていきましょう。
カメラはソニー初となるトリプルレンズを搭載しています。画角はそれぞれ標準(26mm)、望遠(52mm)、超広角(16mm)です。しかし、ソニーもノウハウが無かったのか、何も考えていなかったのかは不明ですが、超広角カメラを一番下部、つまり端末中央部に搭載しているのです。せっかく広い画角を撮影できるのですから一番外側に搭載するべきです。

画角を見たところで次はイメージセンサーを見てみましょう。標準はIMX445、望遠はS5K3M3SN、超広角はS5K3M3を搭載しています。もうお気付きかとは思いますが、アウトカメラの2/3がサムスン製イメージセンサーです。ソニーは世界シェア1位のイメージセンサーメーカーであるのにも関わらず、標準画角にしかソニー製イメージセンサーを搭載しないのは勿体無いとしか言えません。更にIMX445もソニーの中では上位モデルでは無いイメージセンサーです。前社長がハゲであることを理由にソニーモバイルにだけケチるのはよろしくないと思います。

そして肝心の写りですが、明るい昼間なら問題なく撮影できます。ですが、これはどのハイエンドモデルでも同じです。Xperia 1のカメラはデジカメライクで彩度が高すぎず、肉眼で見たものに近い自然な写りをしています。私はXperia 1の自然な色味が好みでしたが、当時流行していたインスタ映えからはかけ離れた色味をしています。しかし飯写は強かったです。特にラーメンは美味しそうに撮影できたのでメシウマカメラであることに間違いありません。
またスマホで世界初瞳AFに対応したことでポートレート撮影がしやすくなりました。加えて、AF/AE追随10fpsのバースト撮影にも対応し、撮り逃がす機会が減りました。そこは素直に評価すべきです。

ただし問題点もいくつかあります。まずは白飛びしがちであること、イメージセンサーの性能が低いことによる低照度撮影の弱さ、そしてソフトウェア補正も弱いことです。
2019年からはスマホのソフトウェア補正が重視され始め、Galaxyやその他大手スマホメーカーがこぞって力を入れ始めました。そんな中、ソフトウェアの開発を苦手とするソニーは追いつけず、スマホカメラとして使いやすいとは言えない完成度でした。
「いやソフトウェアを軽視したからソニーモバイルの業績は悪化してニッチ戦略へと移行せざるを得なくなったんだろう」ですって?
黙れハゲ。

と若干辛辣気味に評価してきましたが、もちろんXperia 1にも魅力は存在します。
何と言っても目玉機能である『Cinematography Pro』です。
これはソニーの映画撮影用カメラのVENICEの機能をスマホに落とし込んだもので、スマホで本格的な映画撮影が楽しめるアプリとして開発されました。フィルターも多数用意されており表現の幅は広いです。
更にその『Cinematography Pro』で撮影したムービーをXperia 1自慢のディスプレイで視聴できます。Xperia 1はスマホで世界初4K HDR対応の有機ELディスプレイを搭載し、アスペクト比も映画のスクリーンに近い21:9シネマワイドを採用したことでムービーを画面いっぱいに表示でき映画に没頭できるのです。

加えてオーディオも良くできています。ソニーの持つ技術を惜しみなく搭載したオーディオシステムは、ハイレゾ再生可能、LDAC対応、圧縮音源をハイレゾ相当の高解像度音源に変換できる「DSEE HX」等による質の高いオーディオエクスペリエンスを提供します。

更にXperia 1はゲームに集中できる『Game enhancer』を搭載しました。通知のオンオフ、ゲームモードの設定、メモリ解放、スクショ、検索が可能になり、よりよいゲームライフを送ることができます。

と好きを極めたい人々に寄り添ったクリエイティビティが覚醒しそうな製品に仕上がっていますが、大きく路線変更したということは当然批判もされます。特に21:9のシネマワイドディスプレイは賛否が別れました。未だにアスペクト比21:9を受け入れられずに16:9や20:9に変更してほしいという呟きを見かけることがあります。オマケにクソアホ林檎信者のありがたいご意見の中に19:5:9にしろと書かれているのを見た時はストレスでハゲそうになりました。
「いやもう髪の毛が残ってないだろう」ですって?
黙れハゲ。

ちなみに当時中学生だった私はこの尖ったXperia 1に一目惚れしてしまいました。人と違うもの惹かれがちなクソガキ(私)はXperia 1に途轍も無い魅力を感じ、初めて買ったXperiaになります。更にはテレビCMで「そして今ソニーのすべての力が結集した。」、「あなたのクリエイティビティが覚醒する。」なんて言われたら中坊のハートをキャッチするに決まってんだチキショー。うおおおおおおおおおおおお!!!!!!

優等生「Xperia 1 II」

大きく路線変更したXperia 1の後継機としてXperia Announcement 2020で発表されたのがXperia 1 IIです。Xperia 1からカメラの位置が変更され、フラット化したボディはシュッとしていて高級感を感じさせる美しいデザインになりました。このXperia 1 IIにも一目惚れしてしまいましたが、予算の都合上買うことができませんでした。その日はあまりの悲しさと悔しさで髪の毛が抜け落ちてしまいました。
「いやだから既にハゲてんだろう」ですって?
黙れハゲ。

早速カメラを見ていきましょう。
画角は超広角(16mm)、望遠(70mm)、広角(24mm)で配置が変わっています。Xperia 1で問題だった超広角カメラの位置もちゃんと一番外側にあります。更に望遠は52mmから70mmへと焦点距離が伸び、広角は26mmから24mmになったことで画角が広くなり撮影がしやすくなりました。そしてレンズにはZEISSのT*コーティングが施されており、カメラバンプにもZEISSのロゴが刻まれています。エッチですなぁ。
加えてiToFセンサーも搭載したため、暗所でのAFも向上しました。

そして画角とレンズが改良されたのを確認したところでイメージセンサーを見ていきましょう。広角はXperia専用に開発されたIMX557(1/1.76”)を搭載し大判化しています。より低照度での撮影に強くなり、ノイズが少なく写りも良くなるのでこれは期待できます。
しかしながら望遠に関してはS5K3T2(1/3.4”)という小型のイメージセンサーを搭載しています。それだけではありません。このS5K3T2の画素数は20MPです。Xperia 1 IIは全画角が12MPです。つまりクロップされており実質1/4.5”になるわけです。いくらなんでも1/4.5”は小さ過ぎます。デブの粗チンのような酷さです。
そして超広角はIMX363になりました。これでようやくインカメラも含めた4つのカメラのうち半分がソニー製のイメージセンサーになりました。やったぜ。

そしてお次はカメラ周りのソフトウェアや機能を見てみましょう。
Xperia 1 IIには目玉機能である『Photography Pro』が搭載されています。これはソニーのデジタル一眼カメラαの機能をスマホに落とし込んだもので、一眼カメラで撮影しているような撮影体験を提供するアプリです。カメラの様々な機能をマニュアルで操作できる為に撮影の幅が広がり、そして楽しむことができます。Xperia 1で搭載された『Cinematography Pro』に次ぐソニーのクリエイティブアプリ第二弾です。
私はこの『Photography Pro』がとても羨ましかったです。なんでXperia 1に搭載しなかったんだと。映画撮影よりカメラが先だろと。アップデートでXperia 1に降ってくることもなく、私はあまりの悔しさに髪の毛が抜け落ちてしまいました。
「いやいやだから元から髪のk…」
黙れハゲ。

髪の毛はさておき他のカメラ機能を見てみましょう。
Xperia 1 IIはスマホで世界初AF/AE追随20fpsのバースト撮影に対応しました。Xperia 1比で倍のスピードです。
加えてリアルタイム瞳AFにも対応したので素早く動き回る子供や動物の瞳にピントを合わせ、綺麗に撮影できるという子供持ちやペット持ちにはとてもありがたい機能。まぁ年齢=彼女いない歴の独身男性には子供はもちろんペットも飼いづらいですから使うシーンは限られるかもしれませんね。
なんだろう。書いていて非常に悲しくなってきました。

そしてスマホの心臓部であるSoCはQualcommのSnapdragon 865を搭載しています。高い処理性能を持っておりゲームも快適にプレイできます。が、しかし前代のSnapdragon 855に比べて発熱が目立ち始めました。

Xperia 1 IIはゲームエクスペリエンスにも力を入れています。集中してゲームをプレイできる『Game enhancer』が進化しました。通知のオンオフ、ゲームモード変更、メモリ解放、高速スクショ、録画&シェア、検索に加えて、コンペティションセット、タッチエリア最適化、HSパワーコントロールなどが追加されました。

その他はオーディオジャックが復活し、高解像音源に変換してくれる「DSEE HX」が進化した「DSEE Ultimate」を搭載しています。

このように課題はまだありつつもXperia 1にあった課題は概ね解消され、着実に進化を遂げました。完成度も高く、Xperia 1 IIはXperia 1シリーズの中でも優等生だと思います。Xperia復活の兆しが見えた気がしました。


続く。

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