踊り場
結婚に大きな願望を抱いたことは無かった。
好きな人と末永く一緒にいられたら、それだけでもう十分じゃないか。
けれど、周りの子達は、最近急に具体的な話をするようになって。
今の彼氏と2年後に結婚する約束をしているとか、
もうすぐ同棲を始める予定だとか。
ついこの間まで制服を着ていた女の子たちが、次々に結婚へ向かっているという現実に、すごく焦りを感じてしまう。
そこまで興味もなかったはずの”結婚”だけど、
君と出会ってから、ちょっとずつ変わり始めた。
君が他の人と家族になるなんて死んでも嫌だし、
毎日おはようおやすみって言うのは、私が良い。
そのためには結婚しか無いじゃないか!!
こんなにも大切な人を想い続けるなんて、ただの奇跡なんだから、もう一刻も早く、君との永遠を約束してしまいたかった。
❄︎ ❄︎ ❄︎
「今は結婚にあまり魅力を感じないんだよねぇ」
あまりにも意外過ぎる反応が返ってきたから、
すぐに反応出来なくて。
おじいちゃんおばあちゃんになっても〜とか、
白無垢とウェディングドレスどっちが好きかとか
あんなに無邪気に話していたじゃないか!!
私は、君への愛情が積もりに積もって、自然と
結婚願望が芽生えたっていうのに。
君は違うってこと?
「だって、今のままじゃ駄目じゃない?」
確かにそうだ。
学生を延長した私と、夢を追いかけてフリーターになった君。
まだ就職すら決まっていないのに、その先の先の先のことなんて、聞かれても困っちゃうよね。
2人の夢と現実のバランスを取ろうと考えてくれて決して無責任なことを言わない奥手で真面目な所やっぱり君らしくて大好きだよ。
ごめん、勝手に焦ったりして。
すぐに結婚への夢を膨らませた私も、慎重に未来を見据えたい君も、互いに想いあっている証拠なのだから、焦らなくても大丈夫だよね。
今はただ、二人でこの踊り場を楽しんでいこう。
階段を登るのは、いつだって遅くないんだから。
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