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【短編小説】酵素ドリンクのようなキミ

第一印象は
たっぷりの栄養と
いっぱいの才能に満ち溢れた
[いいとこ取りの存在]
だと思ってた

何も努力しなくても
みっともなく足掻(あが)いたりせず
涼しい顔で なんなくこなす
ぎゅっと栄養と才能が詰まった
凝縮された存在

そう、まるで酵素ドリンクのような…
だから凡人の私には合わない
敵わない そう思っていた


それは 夕日が綺麗な日
キミは 走っていた

黒みがかったピンクと紫とオレンジの
背景を纏(まと)い
キミは、ひたすらに前だけを見つめ
走っていた

陰ながら努力していたんだ
あの天才が…

夕日の中を汗を飛び散らしながら走る
姿は美しかった

しばらく見とれてしまった
時が止まっているかのようだった

よしっ決めた私も挑戦してみよう
地道にコツコツと
書いて書いて書きまくるよっ

文学部は文学部のやり方で
私なりの やり方で
がむしゃらに やってみる

そして、いつかはキミのように
熟し 発酵し
皆に栄養と笑顔を与えられる
存在になりたいと思うよ


酵素ドリンクのようなキミは
夕焼け色に輝いていた



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