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GWにA/Vライブをやってみた話

2023年はAudio/Visualライブをやるぞ!
と年初に志してはみたものの、独りでAudioとVisualをうまくやるスタイルについてどうにも納得のいくイメージが沸かない。
AudioだけとかVisualだけなら、何度も即興的なライブをやってきたからやれる自信はある。
ただ、両方同時となるとどう考えても手も頭も足りないが、作り置きのクリップをボタンプッシュで再生する?みたいな安直なスタイルに落とし込みたくない気持ちもある。

まぁ考えてても埒が明かないし実践主義者なので、とりあえず本番をやっちゃってそこから学び取ろう、ってことでライブ配信をやってみることにした。
せっかくだから設営スキル向上の訓練も兼ねて、自宅の居間をバキバキに仕上げてみた。

機材構成

当初はWindowsゲーミングノートとMacBookProの2台構成で行こうかと考えたが、設営してみたブースの都合で流石に2台は厳しい。
MBPはGPUがAMD Radeon Pro 5500Mで、Win機がNVIDIA GeFeorce GTX 1070。
どっちの方がスペック良いのかイマイチ分からんが、今使ってるMBP(16-inch, 2019)はどうにも熱に弱いところがあって、ひとまずWin機で構成してみた。
しかしAbleton LiveでiPad版KORG GadgetをLiveLinkしようとしてみると、Linkボタンがどこにも見当たらない。
どうやらASIO以外のドライバでは使えないらしい。参考リンク
正直この辺りはよく分からんが、MBPだとCoreAudioで今まで特に何か意識せず使えてた。
あと何が根本原因なのかイマイチ分からんが、WinだとiPadから音声入れてLive通してスピーカーアウトするまでの遅延がかなり大きい。

これではiPad上で鍵盤叩いて演奏するのが厳しい。
MBPだと何故かそんなに遅延しないが、アプリケーションレベルの問題なのかOSレベルの問題なのかもよく分からん。
そんなわけで、とりあえずMBPのみでやることにした。

ざっくり機材構成図

今回のライブの目的の一つに「ちゃんとAbleton Liveを使う」というのがある。
今まではiPad版KORG Gadgetのみで何とかライブをこなしていたが、今後の取り回しも考えてAbleton Liveを中心にやっていけるようにしたいという思いがある。
とは言え手に馴染んだGadgetを捨てることはできないので、オーディオインターフェースを通してAbleton Liveに引き込むことでハイブリッドな環境でやるのが落とし所かなと、そう、この時はそう思っていたんだ……

やってみた

まず冒頭からいきなりトラブってて、負荷の問題なのかLiveLink使っててもiPad側での裏打ちのハットがズレまくる。
おまけにちょいちょい音が飛ぶ。
特にLive側で新たにトラック追加してデバイス入れたりするタイミングで少し止まったりする。
開始十数分でこの構成を諦めて、iPadから直接スピーカーに繋ぐことにする。
今回のテーマにAbleton Liveを使うというのがあったので、この選択は自分にとっては敗北という名の戦略的撤退である。
この時点で色々繋いでいた機材が不使用となるので、それならもっとブースをコンパクトにできたな。

う〜ん、単純に処理負荷の問題なのか、Liveでも再生しながらデバイスロードするべきじゃないって話なのか、そこは切り分けて理解しておきたいなぁ。
逆にGadgetは動的に音源足したりしても音が飛んだり止まることがほとんどないのは非常に優秀な感じがする。
今までそういうトラブルがなかったから気付かなかったけど、Gadget凄いじゃん。
まぁiPad上で動いているアプリなので、MacOSのアプリとはリソース周りの処理が違うからなのかもしれん。
(追記)
AbletonLive自体は再生しながらトラック足してデバイスロードしたりするのに強いDAWで、Wavetableとか重めのシンセをがんがん動かしている環境でもない状態での問題だったから、やっぱり多分マシン自体の負荷の問題かなぁ。
Live自体のCPU使用率は全然上がってなかったし。

音について

本当はAbleton Liveの、あまり使ったことないデバイスやエフェクトを入れてみるってのをやるつもりだったのだが。
まぁいつも通りiPad版KORG Gadgetに落ち着く。
なんだかんだでこいつが一番好きというか、タッチパネルでデバイスの各要素にパッとアクセスできるところが良いよね。
一応自分ルールとしてトラックは8つまでしか使わないようにしていて、これはnanoKontrolStudioのフェーダーが8つだから。
横ボタン押したりすると、今どのフェーダーがどのトラックなのか分からなくなるから嫌なんだよね。
ただ手元に小さめのライトとかないと、暗くてよく見えなくてたまに誤操作しちゃう。

これはいつもやりがちなんだけど、強い音のトラックがぶつかりすぎて全体としてぼやけたり、特定のトラック抜いた瞬間にキツい音が前に出過ぎたりする。
適切にEQなりFilterを入れればいいのかもしれんが、何も考えずにどんどん音色変えてぶっ込んだりしていくスタイルなので、調整が難しいんだよなぁ。
これは今後Gadgetだけでライブやる時の課題でもある。
いや、その場合は先に音色とトラック間のバランスだけは作り込んで用意すべきか。

そういや途中で一度だけスピーカー(OVO)の音が止まることがあったが、あれは何が原因だったんだろうな。
ケーブル抜いてみたらiPadからはちゃんと音が出てたし、繋ぎ直したら復活したけど。

映像について

映像はいつも通りhydraを使う。
仕込み無しの即興となると、現時点ではコレしか自分には選択肢がないんだよなぁ。
まぁ、そもそも仕込み無しの即興って時点でかなりハードな制約の上に、映像の方だけに集中できないしな。
音だけ、映像だけ、ならこれまでもやってきたが、やはり両方同時ってのはちょっと難しい。
忙しすぎて脇に用意した酒を呑んだりフルーツをつまむ暇がない。
そんでもってどうしても音の方にかかりきりになって、映像はおざなりになりがち。
これまであまりオーディオリアクティブには消極的な態度だったけど、こうなってくるとやはり活用せざるを得ないというか、むしろこういうシチュでこそ活きてくる。
今回は多少オーディオリアクティブを取り入れて変化が出るようにしてみたが、まぁいつものVJに比べるとどうしても控えめかなぁ。
まぁでも映像はこんなもんでも別にいいっちゃぁいいのかもしれん。
いっそ操作してる画面をカメラで拾って、それをベースにエフェクト実装してパチパチ切り替えたりする方が観ていて変化があっていいのかも。

今回の工夫として、hydraの映像をOBSでウィンドウキャプチャして出力した。
普段のVJでは単純に画面をミラーリングでそのまま出すという、超ストイックなやり方をしている。
これはこれでLiveCodingとしては究極な気もするが、一瞬裏で別の画面を見たりできなかったりエディタ再起動が必要な局面でちょっと困る。
当初は画面をNDIでResolumeに送る構成を考えていたが、負荷の問題なのか何なのかカクつきが酷くて断念。

Resolume通せるなら他の映像も絡めたり、エフェクトかけたりで色々とやりやすいなというのはあったのだが。
どうしたものかで試行錯誤して最終的にOBSに落ち着いた。
わりと今回の一番の収穫かもしれない。
今後、VJやる時にもOBS通すようにしておくと色々と都合が良さそうだ。

設営について

うちの居間には普段からミラーボールがぶら下がっているのだが、今回はここに更にLEDケーブルを足したり、プロジェクター用に布を張ったりした。
ホームセンターで洋灯吊買ってきて、天井と壁に幾つか打ち込んだので今後も色々と設営するのに役立ちそう。
手前のモバイルディスプレイは正直無くても良いのだが、機材チェック的な意味合いもあり追加。
イベントとかでプロジェクターを高い位置に置くように三脚買ってみたのでそれも試した。

最終的にはMBPとiPadだけあればOKになっちゃったから、わざわざ普段PCテーブルとして使ってるスタンドを動かしてきたりしなくても三脚2〜3つで事足りそうだったな。
設営にはかなりエネルギーを割いたが思ったような環境を作れて良かった。
まぁ大型連休だったから大掃除も兼ねてここまでやってもいいけど、わりと面倒くさいので滅多にはやらないと思う。

ダイジェスト

全部は長いので見どころを幾つかピックアップ。

音が飛びまくりで諦めてiPadから直接スピーカーに繋ぎ直す

こういうアシッドベースを鳴らしたかったんだ

手弾きでちょっとメロディ入れる

小休止的にアンビエントな感じ

フレームドラムの音で映像を大きくいじりたかったが、あまりうまくいかなかった

ラストのこの辺、結構好き

総括

究極的には完全即興を目指してA/Vライブに挑んでみたが、やはり現時点では機材・ソフト的にもスキル的にも自分の理想にはかなり及ばないということが分かった。
まぁそんなこたぁやる前から分かってはいるが、やってみてどのぐらい及ばないのかが分かったのかが、自分にとっては非常に大きな収穫である。
直近ではもう少し作り込んだ状態を目指しつつ、逆にどこまでを即興的なライブパフォーマンスとするのかを考える必要がある。
当面の目標が明確になった。

GWの自由研究として個人的に満足できる結果かな。

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