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「自由が大事」という方にこそ読んでほしい話② ——再分配について考える。

前回は、「迷惑千万な“クラスターデモ”は、公権力で排除することができるのか」について考察した。興味のある方には、ぜひご一読いただきたい。

この件に関して議論したのは、月1回のペースで開催している読書会のメンバーだ。私たちは、いくら迷惑な行為であっても、権力が国民一人ひとりに制限をかけることには慎重であるべきだと考えた。しかし、読書会で課題図書に設定したある本を読み、私たちは大いに悩み出してしまった。


ロバート・ノージック著『アナーキー・国家・ユートピア』(木鐸社)は、リバタリアニズムの古典とも言える著作だ。1974年の刊行なのでそれほど古いものではないが、「リバタリアニズムとは何か」を考える上では必ず本書の内容に立ち戻らざるを得ないという意味では、やはり「古典」と表現しても差し支えないのではないだろうか。

ものすごく小難しい内容なのだが、かなり大胆に要約してみることにする。

ノージックは「自由」をとても大切にしている。なかでも「財産」に関する自由について、強く主張している。たとえば、私たちは所得を得れば、その額に応じて税金を払う。しかし、ノージックはこれに異を唱える。彼は「人間の身体と労働による成果は本人の所有物である」という考えから、財産の再配分に対して否定的なのだ。

財産の再配分を「特定の人々の権原を侵害しており、彼らを他の人々のために利用する行為だ」と断じるノージックは、いわゆる福祉国家に対しても批判的な立場をとっている。いくら使い道が「弱者救済」「格差解消」という道徳的なものであれ、個人の財産から強制的な搾取を行うことは許されないと主張するのだ。

さて、みなさんはこのノージックの考え方についてどう思うだろうか。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
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