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インタビューで泣かされて、記事を読んだら、それ以上に泣かされた話。

ここ数年、すっかり涙もろくなった。

映画を観てもすぐ泣くし、最近なんて来月発売になる『ヒゲとナプキン』のゲラを最終チェックしていて泣いた。自分で書いた小説を読んで涙する作家なんて聞いたことないけれど、こみ上げてきてしまったものは仕方ない。

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そういえば、先日、不覚にもインタビューされている最中に涙してしまったことがあった。さすがにそんなことは滅多にないのだけれど、あるライターにやられてしまった。

その名も、「ダブル手帳」さん。不思議なペンネームだが、その理由を聞いて、なるほどと納得。彼は身体障害1級(脳性麻痺)で、さらに精神障害3級(発達障害)と2種類の障害者手帳を有しているため、「ダブル手帳」を名乗っているのだ。その名の通り、日頃はライターとして障害者視点からのエッセイや過去に虐待された経験など、自らの半生についても記事を書いている。

正直、嫌な予感がした。

何を隠そう、このワタクシ。障害当事者からは相当嫌われているのだ(「いや、おまえ健常者からも嫌われてるよ」というご指摘は表示されない設定になっております笑)。「嫌われている」というよりは、「疎まれている」といったほうが適切かもしれない。

というのも、障害当事者のなかには、幼少期から私と比べられたり、親や教師から「乙武さんだってあんなに頑張ってるのだから、あなたも頑張りなさい」と言われて育ってきたという方が少なくないのだ。もちろん、そうした励ましの言葉をかける側に悪気など1ミリもないことは理解できるのだが、それでも言われた側にとっては幾分かの重荷となってしまうことは想像に難くない。

そうした方々への懺悔を込めて、以前にはこんな文章を書いたこともある。

そうしたこともあり、文春オンラインから取材依頼をいただき、ライターの素性を目にしたとき、ちょっぴり“嫌な予感”がしたのだ。この方もまた、親や教師から「乙武さんのように」という呪いをかけられ、私に対して複雑な心境を抱いている方ではないだろうか、と。

そして、その予感は的中した。

――物心ついて以来、周囲から常に「乙武さんみたいになれ」と言われ続けて育ちました。よろしくお願いします。

キタ――(゚∀゚)――!!!!

こうして、「ダブル手帳 vs 動く不謹慎」のゴングが打ち鳴らされたのだった。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.com/h_ototake/m/m9d2115c70116

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