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乙武さん、無所属で何ができるんですか?

街頭演説を始めるようになって、一ヶ月以上が経ちました。暑かったり、雨が降ったりと、決して過ごしやすい気候ではないなか、多くの方が足を止めて、私の話に耳を傾けてくださること、心から感謝しております。

私の演説会では、後半に聴衆であるみなさんとの質疑応答の時間を設けています。私に対する質問だけでなく、お集まりいただいているみなさんに聴いてほしい想いがある方にもマイクをお渡ししています。

そうしたなかで、最も多く寄せられる質問が、この点についてです。

「乙武さんは、きっとどこかの政党から声がかかっていたでしょうに、なぜ今回は無所属なのですか?」

お答えします。たしかに、今回の参院選にあたっては、いくつかの国政政党からお声がけをいただいていました。しかし、それでも私は無所属という道を選びました。それには理由があります。

6年前、私はプライベートにおける不祥事により、多くの方の信頼を失い、すべての活動を停止せざるを得なくなりました。しかし、そうしたなかでも私の可能性を信じ、支え続けてくださった方々が多くいました。

そして、そうした方々の政治思想がじつに幅広く存在している、という事実がありました。いわゆる右から左まで、保守からリベラルまで、さまざまな方が私を応援し、支えてくださっていたのです。

つまり、私が何かしら政治的なラベリングがなされている政党から出馬をすると、「乙武さんのことは応援したいけど、その政党からなら応援できないよ」「いままでは応援してきたけれど、そっち側に行くならこれからは応援を控える」という事態になってしまうのでした。

もちろん、どこかの政党から立候補するほうが、よっぽど楽です。最低でも6000万円必要と言われている選挙資金も政党から負担してもらえるでしょうし、都内だけで1万4000ヶ所あると言われている掲示板にポスターを貼る作業も、政党の支部が担ってくれることでしょう。こうしたことを踏まえると、おそらくどこかの政党から立候補したほうが、当選確率はぐんと上がったはずです。

それでも、私はこれまで支えてきてくださったすべての方と戦っていきたかった。これまで応援してきてくださったすべての方が乗れる船を用意したかった。それが、今回の参院選において「無所属」という無謀とも言える道を選んだ理由です。

ネットの声を見ていると、「乙武は◯◯党に入ることが決まっている」「じつは◯◯党が選挙資金を出している」などという根も葉もない書き込みが散見されますが、本気で法的手段を講じてやろうかと思うほど憤っています。それが事実なら、こんなに苦労してないですよ……。

さらに、「無所属」に関連して、よくいただく質問がこちら。

「無所属で当選できたとして、国会で何ができるんですか?」

いや、何もできるはずがない——という見事な反語を含んだご質問ですが、私はこのような回答をさせていただいています。

まずは、他の選択肢について考えてみてほしいんです。たとえば、大政党の一年生議員になったとして何ができるのか。おそらく、何もできないはずです。政党として決めた方針に従って「賛成」「反対」を投じるだけの、いわゆる“陣笠議員”になるほかない。

しかし、無所属議員には「党の方針」などなく、“党議拘束”だってありません。すべては自分の考えで「賛成」「反対」を投じることができます(同時にすべての勉強をしなければなりませんが)。

そして残念なことに、政治の世界は「好き嫌い」で物事が決まっていることが少なくありません。「この法案、本当は重要だと思うけれど、俺はあいつのことが嫌いだから反対」だとか、「この法案は穴だらけだけど、お世話になっている先生が進めている法案だから賛成」など。本当にくだらないですよね。くだらないけれど、それが現実なんです。

それで言うと、私はこれまでの活動を通じて、与党にも野党にも交流のある政治家がたくさんいます。それこそ現役で大臣を務められてるいる方や、野党の党首を務められている方とも親交を深めてきました。そこに無所属議員としての活路が見出せるのではないかと思っています。

私は公式サイトにもお示ししているように「誰よりも当事者の声に耳を傾ける」ことを活動方針としています。そうして聴かせていただいた当事者の声をもとに、「まだ国会で議論されていないこと」を与党にも野党にも提示して、議論のテーブルについていただく。超党派の議連をつくり、無所属議員として政策を前に進めていく。こんなことを考えています。

「乙武はなぜ無所属なのか」
「無所属として何ができるのか」

今回は、「無所属」に関連するご質問に回答させていただきました。引き続き、みなさんからの疑問には真摯にお答えしていきたいと思います。

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