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2023年年末最後の大きなお買い物(だといいな)、RAW現像ソフトはこれにした。

このソフトを購入した。


発端

ことの発端はこちら。

ざっくりいうと、JPEG撮って出し保守本流を自認していた人間が、いつの間にかRAW現像の世界に舞い戻ろうとしていた。武器(RAW現像ソフトウェア)が必要なことは自明であるが、以前使用したフリーソフトウェアは難易度や仕上がりの点で不安が残る。それでは、と貧乏人根性を惜し気もなく晒し出し、折角お金を払うなら、納得がいくソフトを選びたいと考えた。

この記事を起点に、以下の5つのソフトウェアを試用した。

試用ソフト

♡の数で購入するソフトウェアを決めたわけではないが、2023/12/8現在、Capture Oneの♡数が最多であることから、このソフトウェアは何らかの理由でnoteユーザーの目に留まったことは間違いない。

選定過程

先に掲載した五つのソフトウェアを選考するために、RAWデータを各ソフトウェアに取り込み、そのまま出力した場合の画像データを題材に主観評価した。各ソフトウェアで出力する際のJPEGの設定は最高品質を指定した。
繰り返しになるが、あくまでも主観評価であることにご留意頂きたい。
なお、上記のようにして用意した画像について、本記事ではCanvaにアップロード後キャプションを加えたものを掲載している為、圧縮等の影響を受ける等により、オリジナルのJPEGデータから品質が落ちている可能性がある。
また、画像の一部の切り出しについては、JPEGデータをGIMPに取り込み、GIMP上でピクセルベースで領域指定した。

画像全体で比較

五つのソフトウェアから出力された各画像を並べて比較すると、色の出方が違うことが分かる。特にLUMIX DC-S5のRAWデータ(.RW2形式)については、ソフトウェアによっては、撮って出しとあまり変わらないような色の出方にも見える。Leica M Typ 240で撮影したRAWデータ(.DNG形式)については顕著な差は無いように感じたが、シーンが異なる為一概にデータフォーマットの影響とは言えない。
各ソフトウェアで色味が異なるのは、もしかすると空間フィルタリングアルゴリズムの違いなのかもしれない。

まずは、.RW2形式の例を掲載する。

JPEG撮って出し
RAW現像そのまま出力

色味が鮮やかなのはCapture One、次いでSILKYPIXのように感じる。また、各社ともこのように「眠くない」写真になったことから、各ソフトウェアはそれぞれRAWデータを取り込んだ後にRGBのデコードだけでなくγ補正など何らかの処理が入ってると思う。「何らかの処理」について、RGBのデコード直後の状態から現像を開始したいときにこのような処理を外せるのかは分からない。

次に、.DNG形式のデータで比較した。

JPEG撮って出し
RAW現像そのまま出力

色味に違いはあるが、全体的な印象はそこまで変わらない。
強いて言えば背景にあるビルの窓あたりの色味の鮮やかさはLightroom、Luminar Neo辺りが優位に感じるが、先に挙げた.RW2形式の例程の差分は現れない。

明部の階調性

先に述べたように、何となくこれらのソフトウェア全てでγ補正など何らかの処理が入っていると予想しているので、ここで階調性云々は若干野暮な議論かもしれないが、「RAW現像のスタート地点」として考えたときに、RAWデータを取り込んだままの状態で階調性が残っていることはその後の調整に影響を与えると思うので、比較してみる。

まずは.RW2形式のファイルから。

明部

上記のように並べると、明部の諧調感が残っているのはPhotoLabで、次点でCapture One、SILKYPIX、Luminar Neoあたりのように見える。
Lightroomはかなり厳しい。

次に、.DNG形式。

名部

画面全体の明るさに差が出ているので正確なことは言えないが(あくまでも主観評価)、Capture One、SILKYPIXの階調性が優れている気がする。

暗部の階調性

暗部の階調性についても、同様の理由から、あまり深く追求できるものではなさそうではある。とはいえ、折角のサンプルなので比較してみる。

まずは.RW2形式。

暗部

切り出した部分の左側に位置する白いチューブのテクスチャを観察したときに、階調性が綺麗に出ているのはSILKYPIX、PhotoLab、Luminar Neo辺りでは無いか。次点がLightroomで、Capture Oneは(暗部の中で)明るい部分の立ち上がりが悪い。

暗部

切り出した部分のヒストグラム等を揃えていないので正直なところ何の結論もつけられなさそうなサンプルではあるが、強いて言えばLightroom、PhotoLabあたりは葉の立体感を感じられる気がする。

暗部の階調性については、Lightroom、PhotoLabあたりに優位性がありそうだ。

解像度の比較

解像度については、SILKYPIXが”ブッ飛んでる”ことが分かる。
ピントが合っている(フォーカスで狙った)ポイントで比較する。

まずは、.RW2での比較。

フォーカス部分の解像度比較

SILKYPIXが最も際立ったエッジを持っており、次いでCapture One、Lightroom、Luminar Neoあたりだろうか。PhotoLabは既にノイズリダクションがかかったような画像になっている。しかしながら、SILKYPIXはその弊害として、少々ノイジーというかざらざら感が出てしまっているのは事実だ。フィルタリングにより、この鮮鋭さは消えてしまうだろう。次の.DNG形式のサンプルを見るといかにSILKYPIXがピーキーなのか、良くわかる。

フォーカス部分の解像度比較

今回も、ツール群に誉れ高きPureRAWを有するDxO社のPhotoLabは、意外な結果になってしまった。
余談だがPureRAWはまだ試したことが無い。ワークフロー的にCapture Oneの前段の処理に噛ませることが出来るようなので、機会を設けて試してみたい。

解像度ではSILKYPIXが圧倒的(だが副作用がある)で、次点としてCapture Oneが優秀なように見える。

編集自由度

ここでは、編集自由度の確認を行った。
自由度、というと事情に抽象的なので、もう一歩踏み込んで具体的な意図について言及すると、事前に想定した方向性で写真を仕上げるときの、パラメータを調整幅を確認した。なお、それぞれのソフトウェアによって各パラメータの絶対値が持つ(ソフトウェア内での)相対的な意味合いは異なることから、画一的な比較が出来ず、意味を見出しにくい検証ではあるが、ここでは「Black Teal風」に仕上げることを念頭に調整を行った。

編集の自由度(振れ幅)

凡そ多くの方から賛同いただけると信じているが、Capture OneとPhotoLabは似ている、Luminar Neoも近いが暖色系の出方が弱く、Lightroomは寒色系の色が濁っており、SILKYPIXは撮って出しの写真と殆ど変わらず若干明度が上がった程度の仕上がりになった。
このことから、私の場合は、Capture One、PhotoLab、Luminar Neoは意図的な調整を行いやすい。

結論

上記を総合すると、Capture Oneが平均的に良さそうな印象を受けた。

  • 色味が鮮やかなのはCapture One

  • 明部の諧調感が残っているのはCapture One、SILKYPIX

  • 暗部の階調性が良く出ているのはSILKYPIX、PhotoLab、Luminar Neo辺り

  • 解像感があるのはSILKYPIX、次いでCapture One、Lightroom、Luminar Neoあたり

  • 意図的な調整を行いやすいのはCapture One、PhotoLab、Luminar Neoあたり

解像度に見られるようなSILKYPIX程の飛びぬけたストロングポイントは無いものの、色味が鮮やかで「RAW現像を始めるスタート地点」として考えれば扱いやすいソフトウェアであると思う。
逆に、武器を持つSILKYPIXは、編集自由度が低いことや、この記事には関係無い話題だが、その独自性溢れるUX/UIが馴染めなかったことが決め手で今回は購入しなかった。
自身のスキルが向上し、撮影現場で自分が狙った表現を撮影データに落とし込めるようになったら、SILKYPIXは心強いソフトになるかもしれない。

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