見出し画像

ケンタウルス

ある夢で、警察官になっていた。


その日、家族でファッションビルに買い物に出掛けた。
ビルの最上階の雑貨店にはバスタオルとバスマットが売っていて、私は新しいものを新調しようと物色していたはずが、気がつくと「あっちが怪しい」などと男と話していた。

これは、警察官というよりも刑事かもしれない。
男は私の相棒らしかった。
とある学校脇のフェンスに首と両手首を縛られた長身で色黒の女性がいた。


首と手首には縄がかけられていたので、「すぐに助ける」と言って私はその人に近づいた。よく見ると、縄は首の内側の中央までレイヤーになってぐるぐると三回転巻かれていた。
骨や筋肉まで丸見えだ。食い込んでいる、と思いながらも、1番外側の紐を切った。すると1番奥の紐が閉まったようで、締め付けるような音と共に女性は消えてしまった。
紐を外して助けようとしたつもりが、殺してしまったことに衝撃を受けながら、その後も私は事件を捜査していた。


フェンス脇のこの学校には見覚えがあった。
ある時、私は卒業生として学校に行った。


学校は大きいため、様々な場所と繋がっている。
その時、私は赤い空気になり、キツネの村を超えて学校に向かった。

キツネ村の中心には鳥居やピアノがある。
鳥居を囲むように住んでいるキツネたちは全て動かない絵のようで声だけが生きていた。
空気の中にいた私はどのキツネにもなることが出来たが、ピアノ前の椅子に座っているキツネに注目した。

キツネの村を過ぎると、窓口があった。
はじめは市役所のように見え、書類を届けに来たのだろうか、と一瞬考えたが、そういえばここは市役所も学校も病院も食堂も繋がっている場所なのだ、と思い出した。
どこか公共機関の匂いがする。

窓口で一度手紙を預かってもらい、その後持ってきた沢山の立体カードを小学生ぐらいの子供たちに見せた。
ビー玉やおはじきをして、手紙の書き方を教えた。
そうこうしているうちに、夕礼の時間になった。
先生が来たが、箱の中の黒いケータイが鳴ると、先生は別の場所に用事が出来たので、その日は代わりに私が夕礼をした。


この学校は様々な場所と繋がっているが、たまに会社と繋がっていることもある。


ある星に向かいたいと思った時、面接があった。

部屋に入ると、机が給食スタイルにくっ付いていて、グループ面接のようなものを受けることになっていた。
ディスカッションは苦手だ、と思いながら何人かと雑談をした。


不思議なのは部屋の構造だった。
部屋の隅に面接用の机があり、入り口の方には病室のベッドがあった。
突然、骨折した人や入院患者が運ばれてきたりするのには驚いた。
要するに病室と会社が合体しているのだ。
この場所は様々な場所と繋がりを持つ施設であり、中間地点なのかもしれない。

入り口付近には、小さな洗面台があり、途中、私は手を洗った。
ここでは常に患者が運ばれるようで、ぼーっとしているとヘマをする。入室した看護師にぶつかってしまったので謝ったが、看護師は無愛想だった。

その後、白衣を着た病院の先生がやってきて、調査だと言ってごっそりと私の髪を切った。
ピンクのYシャツを着た小太り眼鏡の先生は意地悪く見えた。
先生はどうせならたくさん切るかという。私が怒って部屋を出ると、小太り眼鏡が追いかけてきたので、その時は駅地下の居酒屋に隠れバイトを始めることにした。


学校に行った帰りには、大体ある惑星の駅に寄るが、駅には上半身が裸で胸が突き出た人たちがちらほら通る。


スーツを着たサラリーマンも就活生も上半身が裸で胸が突き出ているので、私は気になって駅の大画面そっちのけで彼らを見てしまう。


たぶん、彼らはこの学校の近くに住んでいると思う。


たまに、弓が付く町のアパートに郵便物が届けられるが、学校からのものかもしれない。
年賀状にはよく馬や牛の絵が描かれているが、この学校では年中午年か丑年なのだろうか。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?