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【読書メモ】経営の教科書、書くのがしんどい、「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ

週刊投稿していた読書メモが、この2週間途絶えてしまっていた。タイムマネジメントができておらず、反省である。いかに本業へ掛ける時間をミニマイズし、複業や趣味、健康管理に投資する時間を確保できるかが日々の課題である。

この2週間の間に読了した本の感想をまとめておこう。

1:経営の教科書

会社ごとに商品・商慣習の違いはあれど、社長の仕事の80%は業種業界問わずみな同じ。すなわち「経営の原理原則」を身につけることである。“伝説の外資トップ”と呼ばれた著者、新将命(あたらしまさみ)が20年以上に及ぶ経営職経験で得た知見を初めて体系化。会社を伸ばす社長・つぶす社長を決定づける「社長の仕事」実論を余すところなく説く。


私は社長ではないが、人間は皆、自分の人生の経営者であり、いかに自分の人生を経営していくか、舵を切っていくかという意味で、参考になる点があるのではないかと思い、随分前に積読してkindle内に眠っていた本書を読んだので、いくつかメモしておく。

・理念・ビジョンは利益につながる

多様化時代の求心力として、どんな国籍、年齢、キャリアの人でも、この会社で働く限りは、これを基本にしてやろう、という会社の憲法のようなものが必要である。これが経営のブレを防止し、生産性の向上、業績の向上につながる。理念の共有により社員に誇りと自信が醸成され、モチベーションは高まる。ステークホルダーからの信頼と尊敬を獲得でき、優れた人材が集まってくる。だから理念、ビジョン、信条が大事なのだ。経営者や社員が判断に迷ったときに立ち戻るものである。

・情熱なき経営者はすぐに去れ

仕事の能力についてはトップとボトムでせいぜい五倍程度の差しかないが、情熱は100倍もの差がある。中には情熱ゼロという人もいるから、差は無限大かもしれない。経営者の強い情熱が社内に伝播していく。

自燃型、可燃型(世の大半、8割程度が該当)、不燃型、消化型、点火型などのタイプがあるが、経営者はいうまでもなく自然型であり、点火型であるべきである。経営者が自然型で燃えていると、情熱の火が組織全体に伝播し、燃える集団が生まれてくる。

情熱の火を燃やし続けるには、①短期と長期の「納得」目標を期限を決めて追い続ける②情熱の火を分けてくれる人(点火型の人)と付き合うことだ。

・大局観をいかにして磨くか

多面的・複眼的に物事を見ること、短期ではなく長期で見通すこと、枝葉末節ではなく根本に注意を向けること、そして修羅場をくぐって肥やしにせよ。

・倫理性なしに事業継続はない

たとえどのようなことがあっても、倫理的に問題があることは絶対にやってはならない。

経営者にとって最も重要だと思う資質は、平均を上回る知性と、極度に高い倫理性である。

政治や経済、企業をめぐり不祥事が頻発し、日本人の倫理性は地に堕ちたと思える昨今だが、貪欲に流れると、正しいことをやっているか→法的に問題はないか→どうやればバレないか、という感覚に壊れていく。綻びは小さな問題から始まる。経営者の高潔さは、言行一致の度合いと、約束を守るという二つの面に如実に表れる。

ピーター・ドラッカー「経営者が成さねばならぬ仕事は学ぶことができる。しかし、経営者が学び得ないが、どうしても身につけていなければならない資格がひとつある、それは天才的な才能ではなくて、実にその人の品性である。」

人は「こうなりたい」と願い、それを行動に移すことで少しずつ自分の理想像に近づいていく。すなわち、ある種の気づきと行動さえあれば、品性も高められるのである。

ゲーテ「人は結局、思った通りの自分になる」
レイモンド・チャンドラーの小説「男は強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない。」

・問われているのは付加価値

Excellence is a thousand details.(卓越とは、1000の細かいことである。)

筆者が「目標を達成するためにあらゆる努力をしています」と、外資企業の会長に述べた際の回答が以下である。「我々はあなたにハードワークも残業も一生懸命も求めない。求めるのは『結果』だ。」

ピーター・ドラッカー「報酬は貢献に対して与えられるべきものである。単なる努力は賞賛の的にすぎない」

サラリーマンが会社に「仕事をしに行く人」であるのに対して、ビジネスマンは会社に「結果を出しに行く人」、すなわち正しいプロセスを踏みながらきちんと結果を出すことのできる人なのである。

・目標設定

経営は「いまどこだ:現状把握」「どうなりたい:目標」「どうやる:何を、どうやって(戦略)」「どうなった」。目標は能力より少し高くストレッチした納得目標を、期限を決めて設定する。コミットメントは、人に任せることで醸成される。

ピーター・ドラッカー:「人を育てるための、最も効果的な方法は任せることである。」

・社内に自責の嵐を吹かせよう

他責ではなく、自責を。責任転嫁は成長機会の自己否定である。

・マトリクスで優先順位をつける

最大のリスクは、リスクを冒さないことである。優先順位を常に頭に入れ、「何をやらないか」を決める必要がある。自分の時間は常に確保しておく。一日最低一時間本を読む、週最低2回はジムで汗を流す、月1回は旅行に行き充電する、など。自分の予約時間を「死守」した後、仕事の優先順位と時間配分を決める。「やりたいこと」を捨てて、「やるべきこと」に集中する。

慢性的な残業は無能力の証であり、悪徳である。

・胆識を養う

胆識 = 見識(知識 + 自分の見解) + 決断力 + 断行力

全ての情報が揃っている場合などほとんどない。不確定状況の中で決断し、断行していかなければならない場面は多い。そして、闇雲にリスクを取らないためには、自分と反対の性格の人間をそばに置くこと、撤退のプランを作っておくこと。

・凡事徹底

誰でも簡単に実行できることをやって、伸びた会社があるか?

カーネル・サンダース「The easy way becomes harder, and the hard way becomes easier.(安易にことを進めていると、のちに苦難が訪れる。困難なことに挑戦していると、いつしか物事は簡単になっていく。」

小さな改善でも継続することで、改革になるのである。

・結果を分析して失敗から学べ

目標そのものが高すぎた、納得目標でなかったためやる気が出なかった、やり方が間違っていた、プロダクトアウトでマーケットインが蔑ろにされていた、目標達成のインセンティブがなかった、徹底力がなかった、大きな状況変化が起きたのか。

・ジョーク

人前でスピーチをする機会がある人は、ジョークの在庫を切らさないようかなりの努力をしている。もっと真面目にジョークの勉強をして、日頃の会話に折り込む努力をしてみよう。

ちなみにお国柄、ジョークを半分くらい聞いてゲラゲラ笑い出すのがフランス人、最後までじっくり聞いた後、よく考えてから笑うのがイギリス人、一晩考えて翌朝になって笑うのがドイツ人、その手のジョークはもう古い、もっと面白いのを知っているよというのがアメリカ人。そしてジョークを聞いてわかっていなくても笑うのが日本人だそうだ。

・会議の生産性をいかに高めるか

会議の質は事前準備で8割方決まる。生産性を高めるために、会議目的を事前に明確化する、資料を事前展開し事前準備を促す、最適な参加人数か、会議中のタイムマネジメントと全員参加の雰囲気づくり、議事録(遅くとも24時間以内に共有)でのフォローアップなど。

・ビジネスマンとして成功する最大の条件は何か

実に85%の回答者が、「コミュニケーション能力を含んだ人間関係力」と答えた。残りの15%が「仕事の能力」。この人となら一緒に仕事をしたい、また会いたい、ついていきたいと思わせるような人間的魅力が必要ということだ。

カーネル・サンダース「人は論理により説得され、感情と利害により動く」

・学ぶ心を持ち続ける

学べば老いても衰えず、死んでも朽ちない。

少にして学べば、壮にして為すなり。壮にして学べば、老いて衰えず。老いて学べば、死して朽ちず。「言志四録」佐藤一齋(江戸時代の儒学者)
ピーター・ドラッカー「優れたビジネスマンに見られる最も共通的な特徴は、日々の自己点検を怠らない人であるということである。」

学び続け、そして謙虚でいるためにも、(できれば3人の)メンターを持て。


2:書くのがしんどい

誰でも情報発信が手軽に行える昨今。しかしいざ自分で発信しようとすると、とたんに書けない。この理由を、書くことがない、伝わらない、読まれない、書いたものがつまらない、続かないの5つに分けて説明している。


・書くことがない場合にどうするか

大切なのは書こうとすることではなく、伝えようとすることである。

何もないところから文章を生み出すことは難しい。他人への取材などを通して、ネタを調べ尽くしてこそ、書きたい、伝えたいと思うものだ。

・伝わらない場合にどうするか

読みやすい文章というものを心掛けよう。一文は短い方がいい。まず結論、その後それを補強する理由、具体例、詳細理由の構成が一般的。

・読まれない、書いたものがつまらない場合にどうするか

読者にその文章を読む動機が必要であり、読者のメリットを示す必要がある。

自分ごととなるテーマ、例えば①お金、仕事、働き方、②食、③恋愛、結婚、家族、④健康、⑤教育、⑥教養などは汎用的なテーマであり、共感を入り口にできる。ここに自分にしか知り得ない情報を加えると、リアリティが出て面白くなる

またコンテンツ過多の昨今では、マーケティングは必須である。

ネットではタイトルが勝負。中身がわかる内容を。興味がない人が気になるようなタイトルに。中身を知らない読者の興味を惹くタイトルをつける。(しかしこのせいで似たようなタイトルの中身の薄い本が跋扈している。)

見出し、改行、太字、簡単な表現で読みやすそうと思わせる工夫を添える。

・続かない場合にどうするか

当然だが、習慣化する。これしかない。Twitterやnoteは格好の練習ツールである。自分なりの目的やビジョンを持って、量をこなし、面白いテーマを探っていこう。こちらから発信することで、自分が得たい情報が集まってくると好循環が生まれる。

意志の弱い自分を動かすためにあらゆる工夫を。集中できる場所、時間、音楽など。自分をモニタリングしながら、最適な環境に身を置くこと。

質よりまず終わらせることを優先して、とにかく我慢してまずは行動を開始しよう。やる気になるから動けるのではない。動き始めるからやる気が出るのだ。

3:「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶーこれからの製造のトレンドとエコシステム

「ハードウェアのシリコンバレー」として世界の注目を集める広東省深セン市がどのような変遷をたどって今の地位を築いたのか、2001年から深センで電子機器製造に従事する筆者の人生を通じて解き明かす。

なお、紙の本だと約1700円だが、Kindleだと現在400円を切っている。この内容からすると、非常にお買い得である。


中国の製造業ビジネスの最前線で長年活躍している筆者の率直な感想が述べられている。モノづくりにおける中国の進化、日本と中国のビジネス文化の違い、モノづくりに対する考え方、中国企業との付き合い方は、筆者の数多の経験に基づいており、参考になった。

グローバルではコスト競争力優位の趨勢は今も続いており、すなわちプロダクトよりもプロセスのイノベーションが優位な状況が2000年代から続いており、これが深圳の発展を後押しした。コストパフォーマンスに優れるものが大衆に選ばれる時代なのだ。

所感

人間は皆、自分の人生の経営者である。限られた時間をどのように使い、どのように自分の人生を経営していくか、舵を切っていくべきかの再考を、1冊目の本は促してくれた。読みたい本がどんどん積まれていくが、どれを読まないか、また1冊の中でどこを読み飛ばすかの取捨選択をしていく必要がある。分厚い本を並行して数冊読んでいるが、果たして今週中に読了して書評まで辿り着けるだろうか。しっかりタイムマネジメントをしていこう。

2冊目の本はいわゆるハウツーの自己啓発本である。こちらは方法論を読み流して理解し、あとは実践していくのみといったところ。「言論は暴力に勝る」「ペンは剣よりも強し」という諺は古今東西に多数の先行例を有するが、今の時代、書くことができるということは、身を助けることになるのは明白だ。

3冊目の本は、スタートアップ企業や製造業に携わる方々には参考になるのではないか。ページ数も少なくサッと読めてしまうので、目を通してみて損はない一冊だろう。




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