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怪談 超ショート あっという間に読める恐怖の物語。

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実体験、体験者からの伝聞、創作など、様々な怪奇と不思議な短編をまとめました。 #ショートショート #短編 #怪談 #不思議 #恐怖
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「絶対当たる占い師」 作・夢乃玉堂  絶対の恋を求めて占い師の元を尋ねてきた女性を待ち受けていた運命とは?

「絶対当たる占い師」 作・夢乃玉堂 緑鮮やかな渓流の流れは、意外に冷たく早い・・・ それが、その時の印象だった。 岩に当たって弾ける水しぶきが入り口を濡らす丸太小屋に、真野智花(まのともか)は入った。 肌にまとわりつくようなお香の香りが、智花に仕事を思い出させた。 壁際の影の中には、設え付けの棚が隠れるように鎮座していて、 埃を被ったアンティークな装飾品が並んでいる。 智花は、小屋を訪れた目的も忘れ、それらの品々に見入っていた。 「

「不謹慎なお見舞い」・・・ちょっと不思議でほっこりする話。

湿気でジメジメする季節になってきましたが、 少しだけ怖い怪談が放送されます。 本日23日。 「SKYWAVEラジオ」16時00分~16時59分の 「清原愛のgoing 愛 way」で私の短編『不謹慎なお見舞い』が朗読されます。 入院している高校生のもとに同級生たちがお見舞いに来るのだが、 彼らは不謹慎にも病院の怪談を話し始め・・・。 ナレーター俳優として活躍中の清原愛さんが、 私の短編を思い入れたっぷりに朗読してくれます。 皆様是非お楽しみください。 SKYWAVE

「センサー付き家電 カセイ1号・2号」

  先日の『清原愛のGoing 愛 Way』で、朗読された作品です。 よろしくお願いします。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 家電メーカーの研究開発室に所属する秋野は、 新型の自動家事システム「カセイ」シリーズの 開発に余念がなかった。 「まさか、帰ってきたら料理が出来てるなんて、 智子の奴、驚くだろうな」 新しい家電の試作品は、自宅で使ってみて不具合を見る。 家電メーカーあるあるだ。 妻の智子は最初、 妙に大きい冷蔵庫や人型のロボットを気味悪がった

「考察。幽霊と五感」・・・怖くない怪しい話。感じる感じない?

『幽霊に五感はあるのか?』 その存在自体は遥か昔から語られてきたが、それの持つ感覚は 全く不明である。 『幽霊』の多くは、 暗闇からじっと見つめてくる、つまり見えている・・・視覚はある。 念仏を聞いて成仏したり暴れたりするのだから、聞こえている・・・聴覚はある。 でも、触ってきたりするけど、本人が触れている感覚を感じているか、 確認汚しようがないから・・・触角は△。 同じように、味覚・嗅覚は本人しかわからないから、無いかもしれない。 つまり幽霊とは、資格と聴覚だけ、

「吉原七不思議」・・・怪談でも不思議でもなく。

江戸最大の遊郭街、吉原。 そこに、本所七不思議にあやかったのか、江戸時代には吉原七不思議というものもあったらしい。 だがそこは吉原。怪談ではなく、ちょっとした遊び、シャレのようなものとして、うたわれている。 例えば。 「茶屋あれど茶は売らず」 吉原で茶屋と言えば、「引き手茶屋」の事。つまり遊郭の紹介所のことを言います。 もちろん、街道沿いの茶屋のように、お茶を出したりはしてくれません。 もう一つ。 「やり手といえど取るばかり」 やり手とは「遣り手ババア」のことで遊

「二人旅」・・・友人が探し出してきた宿の恐怖。

『二人旅』 「篠原。落ち込むな。まだ可能性はゼロじゃないぞ」 助手席の結城が、伸ばし放題の顎髭をさすりながら言った。 「幽ナビによると、今日の宿は、座敷童遭遇率32%だ。きっと良いことがあるさ」 「あのサイトのランキングは当てにならないよ。 これまでだって、心霊写真撮影率69%の洞窟。 金縛り率53%のホテル。幽霊遭遇率22%の民宿とか試したけど 一度も奇怪な目に逢った事が無いじゃないか」 「それはお前が一人で行ったからだ。今日は俺がいる。 諦めるにはまだ早いぞ。信

「新しくなる道」・・・懐かしくなって、でもやっぱり怪談です。

道が新しくなると、中央線や歩道のラインが鮮やかになる。 新しい服を買った時のように、新鮮で少しウキウキした気分になる。 だが、そんな浮ついた気分を好き飛ばす怪談をひとつ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 「白線踏み」・・・ホラー子供のルール遊びの結末は? by夢乃玉堂 小学生の頃、「白線踏み」という遊びが流行った。 学校から下校する時、友達と『歩道に描かれている白線の上に乗っている時だけ、相手に話をすることが出来る』という適当なルールを作り、喋ったり黙ったりしながら

「みっちゃんインポッシブル」・・・ラヂオつくばで放送された作品です。

火曜日(16日)に、ラヂオつくばの 「つくば You've got 84.2(発信chu)!(つくば ゆうがたはっしんちゅう)」で、朗読された私の短編です。 ・・・・・・・・・・・・ 「みっちゃん・インポッシブル」 作: 夢乃玉堂 和馬(かずま)に別れを切り出されたのは、 大好きな俳優のスパイ映画を観終わった後だった。 「この映画のアクションって、主演俳優が全部スタントマン無しでやって るんだって、あんなトップスターが爆発の中走ったり、列車に飛びつい たり、凄いよね

「怖がりの彼女」・・・怪談。ラジオ「清原愛のGoing愛way」で読まれた作品です。

タレントで朗読家の清原愛さんのラジオ番組、「清原愛のGoing愛way」。 いつも元気で、こちらも明るい気分になって来る。 前回4月11日16時からの放送で朗読された怪談の作品を紹介します。 ・・・・・・・・・・・ 「怖がりの彼女」   by夢乃玉堂 「何と言われようとも、絶対に入らないから」 遊園地のお化け屋敷の入り口。美緒は真顔で拒否した。 「怖いのは嫌いだって言ったでしょ。 ビックリして心臓麻痺で死んだらどうするのよ」 「死なないよ。通り抜けるのに五分もか

「嘘であってくれと祈りたくなる漫画」・・・脳外科医 竹田くん

今最も読むべき漫画だとも思う。 「脳外科医 竹田くん」 下手の横好きで手術をしたがる医者が、当然のように回復不能な患者を増やしていく漫画。 はてなブログで連載されているのだが、次々と描かれる恐ろしく下手な手術と、その後遺症に衝撃を受ける。 いっその事、今話題のあのテレビ局で ドラマ化してくれないかな、と思うくらいだ。 だが、最も恐ろしいのは、 この漫画の主人公「竹田くん」に、モデルがいると言う事だ。 【第1話】履歴書 - 脳外科医 竹田くん (hatenablog.

「凍り付いた男」・・・東北のある地域の怪談。

「凍り付いた男」*再録 東北の、ほとんど人の入らない人里離れた山の中に、こごえ滝という 小さな滝がある。 落ち武者が追っ手に見つからないように、小声で話したとか、 ここで話した悪口はなぜか下の村人たちに伝わってしまうので 小声で話せとか、いくつか名前の由来は伝わっているようだが、 どれも確かなものはない。 ある日、嘉助という男が、渓谷で魚釣りをしている時、 腰に挿していた小刀を、こごえ滝の滝つぼに落としてしまった。 小刀を拾うため、嘉助が滝つぼに飛び込むと そこにはこ

あなたの告白できない想いはなんですか?・・・例えば。

「告白できないこの想い」を募集していますが、 サンプルになるかどうかわからないけど、 例えばこんなちょっと怖いお話でもOKです。 ・・・・・・・・・ 「なんであんな男と、って思うんだけど 全てを許そうと思う瞬間があるから、 この年まで添い遂げることが出来たのよね」 母が父の遺影を切り刻みながらつぶやいていた。 私は外で煙草を吸って笑っている夫を見て、 母と同じように深いため息をついた。      おわり #父 #遺影 #夫 #母 #告白 #吐露 #告白できないこの

「ゴーストフォン」・・・超ショート怪談。幽霊の声が聞こえる。

変人で有名はエヴァンス博士が、ついに幽霊の声を聞くヘッドフォンを 発明した。 ある種の音波を聞かせることにより、鼓膜の感知能力に新たな力を与え 幽霊の声を聞くことができると言う。 エヴァンス博士は、早速自分の耳にそのヘッドフォンを付けてみたが、 3分も経たないうちに、取り外した 助手のスコットが慌てて聞いた。 「博士。どうしたんですか?失敗だったんですか?」 「いいや。発明は大成功だ。すぐに幽霊たちの声が聞こえて来た。 幽霊たちの言葉は恨み言がほとんだだった。 アタシ

「署名」・・・超ショート怪談ヒトコワ的都市伝説。

これは、本当に都市伝説。いやもはや噂の域を出ない話だが、 それでも良ければお聞き願おう。 ・・・・・・・・・・・ 「署名」 通常、変死した遺体の行政解剖は、警察が指定した医大などで行われ 他の病院などが使われる事は無い。 だが、被害者の多い事件が起こった時や緊急性の高い案件が立て込んだ時、 通常の行政解剖の一部を、別の大学病院に依頼する事がある。 話の主は、そんな大学病院に勤務する若い研修医だった。 名を仮に康村としよう。 康村は、この大学病院で監察医の助手に決まっ