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玉堂デスヨ。

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癒しの日常と、気がついたあの事。人生が豊かになる一瞬。 怪談、恋愛以外の作品も。
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『清原愛のGoing 愛 Way』で朗読されます。

本日、千葉 89.2MHz 『SKYWAVE FM』 / 16:00~16:59 『清原愛のGoing 愛 Way』で、 私の #ショートショート「センサー付き家電1号2号」が朗読されます。 インターネットできけます。 お時間ある方は是非どうぞ。 #ラジオ #朗読 #不思議 #ショートショート #清原愛のGoing愛Way #怪談 #玉堂 #怖い #SF

「吉原七不思議」・・・怪談でも不思議でもなく。

江戸最大の遊郭街、吉原。 そこに、本所七不思議にあやかったのか、江戸時代には吉原七不思議というものもあったらしい。 だがそこは吉原。怪談ではなく、ちょっとした遊び、シャレのようなものとして、うたわれている。 例えば。 「茶屋あれど茶は売らず」 吉原で茶屋と言えば、「引き手茶屋」の事。つまり遊郭の紹介所のことを言います。 もちろん、街道沿いの茶屋のように、お茶を出したりはしてくれません。 もう一つ。 「やり手といえど取るばかり」 やり手とは「遣り手ババア」のことで遊

「トラウマの親子丼」・・・帰還兵のつぶやき。

私の父は、丼物が嫌いだった。 親子丼などが出ると、ほんの少しだけ手を付けて 「お腹いっぱいだ」と言って席を立った。 父は終戦時、大陸にいてシベリアに抑留された。 極寒と飢えに耐えかね、仲間が次々と倒れていく中、 何とか生き残り苦労の末2年後に帰国した。 子供の頃、夜中に目が覚めると、 父がうなされていることがあった。 う~ん。う~ん。うおっ! と時には叫び声を上げるほど 苦しそうな様子だった。 母に聞くとぽつり、「戦争がね・・・」 と言うだけだった。私はそれ以上聞いては

神楽坂のコボちゃん伝説。優しさが滲みる雨の日。

先日、神楽坂に打ち合わせで訪れた。 お店がいくつか変わっていたが、 その温かな雰囲気は変わらなかった。 人々の心意気が分かるお話。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 飯田橋から神楽坂上に向かう中ほど、坂の傾斜が少しきつくなってくるあたりに小さな子供の銅像がある。 主張の激しい真っ赤な郵便ポストのすぐ横で、笑顔を忘れることなく行き交う人を見守っている。 これは、植田まさしさん原作の漫画「コボちゃん」の銅像。 作者の植田さんが神楽坂在住で、初回の原稿も神楽坂で描かれた

「彼氏失格」・・・子供の視点。

GWに子供たちが集まった。本当にキラキラした目をして、日々成長している。そんな事を思いながら作ったお話。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 「彼氏失格」・・・大きな愛を巡る小さな物語。 『彼氏失格』 小学一年生になったばかりの姪の美央は、 姉の家に遊びに行くたびに、決まって”彼氏”の写真を見せに来る。 この日も、リビングのテーブルに学校で作ったアルバムを広げ 遠足の時に撮ったという同級生の男の子を指差した。 「ユイ叔母さん。これがトオル君。美央の彼氏よ」 「あれ?

「楽しんで書きますので、頑張って読んでください」?

あちらを立てればこちらが立たず。 我が儘な選考基準とカテゴリーで、本や映画を勝手に紹介していきます。 「ザ・チャイルド」桜田吾作・作画。 洋画の宣伝として月刊チャンピオンで掲載されていた「劇画ロードショー」という企画漫画。 この劇画ロードショーのシリーズは、現在版権その他の問題でほとんどが単行本化されていない。こちらは映画のDVDに付録として付けられているので、今では数少ない手に入れられる幻の「劇画ロードショー」の一つ。 当時劇画ロードショーのみならず洋画のコミカライズは、

「風の噂」・・・風が強かった

ここしばらく、風の強い日が続いていましたが、 どうやら少し落ち着いたようですね。 と言う訳で、風邪に関するお話を。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「正しき風の噂」・・・伝えたのは誰だ。   夕陽を背負うように港から続く長い道を歩いていくと、 古い風車の村にたどり着く。 その村の外れには、17世紀の面影を残す三連の巨大な風車が立ち並び、 休むことなく、ゆっくりと羽を動かしている。 「古ぼけた遺物と侮ってはいかんぞ。 この風車はな、子を育て、芸術を生み出し、

「すり好みの顔・・・旅先で。

GWで色々なところに出かけた人もいるでしょうね。 そこで、ちょっと旅先で苦労したお話を。 『好みの顔』 私の古くからの友人である「麻田くん(仮名)」は、 海外ではある種の人間に好まれる顔をしているらしい。 彼は旅行好きで、一年に2~3回は海外に行く。 期間はそう長いものではなく、 仕事が休みになると、空きのあるツアーを探して格安で旅行をしているのだが、2000年頃にヨーロッパ旅行をした時に、事件は起こった。 これは、その時、彼が体験したことの記録である。 「Bonj

「二人旅」・・・友人が探し出してきた宿の恐怖。

『二人旅』 「篠原。落ち込むな。まだ可能性はゼロじゃないぞ」 助手席の結城が、伸ばし放題の顎髭をさすりながら言った。 「幽ナビによると、今日の宿は、座敷童遭遇率32%だ。きっと良いことがあるさ」 「あのサイトのランキングは当てにならないよ。 これまでだって、心霊写真撮影率69%の洞窟。 金縛り率53%のホテル。幽霊遭遇率22%の民宿とか試したけど 一度も奇怪な目に逢った事が無いじゃないか」 「それはお前が一人で行ったからだ。今日は俺がいる。 諦めるにはまだ早いぞ。信

「乗駱駝愛好家」・・・と呼ぶのか?

旅行好きの麻田くんは、動物のラクダが好きで、エジプトやアラブに行くと必ずラクダの写真を撮りまくっていた。 しかし、異様なほどラクダの写真を撮っていたのだが、ある事件をきっかけに、ぱったりと写真を撮らなくなってしまった。 まるで「撮り鉄(鉄道写真愛好家)」が「乗り鉄(乗車体験愛好家)」になるように、乗る方に宗旨替えをし、自らを「乗りラクダ」などと訳の分からない呼び方で読んでいる。 そのきっかけになったのは、何回目かのギザ旅行でのことだった。 麻田は、買ったばかりの新しい一眼レ

「スランプ知らず」

最近、とみにこんな言葉を思い出す。 以前、シナリオを習っていた時、脚本家である師匠から衝撃的な言葉だ。 事の始まりは 「スランプになった時、師匠はどうやって復活するんですか?」 というある弟子の一言だった。 師匠は、その質問を聞いて一瞬肩を落としたように見えた。 『辛かったスランプの時を思い出しておられるのかな』 と弟子のほとんどが思っていたに違いない。 だが、それは全くの間違いだった。 顔を上げた師匠は、軽々と言い放った。 「スランプ? そんなもの、なっ

「占いの種類」・・・血液型。

「B型ですよね。」とよく言われる。 それも、おずおずとではなく、確信を持った語気の強い言い方がほとんどだ。 もちろんB型だし。B型が嫌いなわけではないのだが、 こう毎回では、何となく面白くない。 「いがーい」とか、 「えー見えなーい」とか言われてみたい。 「やっぱり」とか、 「だと思った」は聞き飽きのだ。 ごくたまに、外す人がいてもすぐに 「ああ、そっちでしたか。どっちかだと迷ったんですけどね。 マイペースなのはB型の方でしたっけ」 とくる。 だが困るのはその後

「GWは疲れる」・・・旅で出会った小さな物語。

ゴールデンウィークで、どこへ行っても人、人、人。 出かけると疲れるので、 自宅に居ながら、旅先で出会った物語を思い出してみよう。 ・・・・・・・・・・・・・・ 「お六櫛」 思えば、心の底まで梳くようなお六櫛を作り続ける櫛職人の人生は、 人と人とを繋ぐ街道そのものであると言えるかもしれない。 「ああ。もう足が棒のようだよ」 鳥居峠の急な坂道を抜け、ようやく藪原の宿にたどり着いたおせんは、 思わず大きなため息をついた。 塩尻で急な法事があり、娘を姑に預けて参列した帰

「新しくなる道」・・・懐かしくなって、でもやっぱり怪談です。

道が新しくなると、中央線や歩道のラインが鮮やかになる。 新しい服を買った時のように、新鮮で少しウキウキした気分になる。 だが、そんな浮ついた気分を好き飛ばす怪談をひとつ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 「白線踏み」・・・ホラー子供のルール遊びの結末は? by夢乃玉堂 小学生の頃、「白線踏み」という遊びが流行った。 学校から下校する時、友達と『歩道に描かれている白線の上に乗っている時だけ、相手に話をすることが出来る』という適当なルールを作り、喋ったり黙ったりしながら