社労士試験っぽい肢ベスト3

いかにも社労士試験っぽいと思う肢ベスト3を独断と偏見で選びました!

社労士試験を検討している人の参考になれば嬉しく思います。

※これは勉強中に湧き上がる無限の煩悩を吐き出すことで、真に必要なことに向き合わんとしてする一受験生の試みです。


早速ですが発表です。

第3位

平成30年 国民年金法 問9 肢Bです!

設問

45歳から64歳まで第1号厚生年金被保険者としての被保険者期間を19年有し、このほかには被保険者期間を有しない老齢厚生年金の受給権者である68歳の夫(昭和25年4月2日生まれ)と、当該夫に生計を維持されている妻(昭和28年4月2日生まれ)がいる。当該妻が65歳に達し、老齢基礎年金の受給権を取得した場合、それまで当該夫の老齢厚生年金に加給年金額が加算されていれば、当該妻の老齢基礎年金に振替加算が加算される。


正解
この肢は正しい。

解説

「当該夫の老齢厚生年金に加給年金額が加算されていれば、当該妻の老齢基礎年金に振替加算が加算される」である。

(振替加算にかかる配偶者の要件)
1 老齢厚生年金等の受給権者(原則として、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)
2 障害厚生年金又は障害共済年金の受給権者(当該障害厚生年金又は当該障害共済年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有する者に限る。)

設問の場合、中高齢者の特例により、19年に受給資格期間が短縮されているので、他の要件を満たせば、加給年金及び振替加算の要件も満たす。(昭60法附則14条)


選出理由

解説はシンプルに書かれていますが、事情はもっと複雑だと思います。 

①加給年金額と振替加算の両方の要件を知っていなければならない。

この設問は要件を直接聞くのではなく、知っていることを前提で当てはめなければなりません。このあたり社労士試験的です。

次に、

②恐らく、加給年金額と振替加算の要件が重なっているということに、ほとんどの人はこの設問を見て初めて気づいたのではないでしょうか。

普通にテキストを読んでいると、このようには読みとれない人が大半なのではないかと思われます。

平成30年以前に類似問題は多分ありません(年アドからの逆輸入でしょうか)。当時の受験生は顔面蒼白になったのではないかと思います。

もう一つ罠があります。

③この「240月」周辺は論点が多いため、論点へのフォーカスが難しかったのではないかという点です。

代表的な論点として、
・妻の老厚240以上で夫の加給年金額停止
・妻の老厚240以上で妻の振替加算支給されない
・振替加算停止の240月に離婚時みなし期間は含まれる
・退職改定あり
などが想起されるかと思いますが、この知識があると「支給されない」方に意識が傾くと思われます。

これに加えて、
・中高齢者の特例
が関係あることに気づくでしょうから、これによって更に注意が削がれ、「されていれば」の文言を逆読みして散った人がかなり多かったのではないかと想像します。

しかし、肢Aが明らかに誤りであり、残りの3肢も比較的簡単に正しいことは判断できると思いますので、設問全体としては正答率は高かったものと思われます。

ちなみに、この肢の正答率は80.9%(ランクB)でした。(マ?)


第2位

平成27年 健康保険法 問10 肢Cです!

設問

【被保険者が多胎妊娠し(出産予定日は6月12日)、3月7日から産前休業に入り、6月15日に正常分娩で双子を出産した。産後休業を終了した後は引き続き育児休業を取得し、子が1歳に達した日をもって育児休業を終了し、その翌日から職場復帰した。産前産後休業期間及び育児休業期間に基づく報酬及び賞与は一切支払われておらず、職場復帰後の労働条件等は次のとおりであった。なお、職場復帰後の3か月間は所定労働日における欠勤はなく、育児休業を終了した日の翌日に新たな産前休業に入っていないものとする。この被保険者に関して。

【職場復帰後の労働条件等】
始業時刻 10:00
終業時刻 17:00
休憩時間 1時間
所定の休日 毎週土曜日及び日曜日
給与の支払形態 日額12,000円の日給制
給与の締切日 毎月20日
給与の支払日 当月末日】

事業主は産前産後休業期間中における健康保険料の免除期間の終了月の翌月から、子が1歳に達した日の翌日が属する月の前月までの期間について、育児休業期間中における健康保険料の免除を申し出ることができる。


正解
この肢は正しい。

解説

設問の場合、子が1歳に達した日の「翌日が属する月の前月まで」である。

(令和5年法改正)
設問の事例は、法159条1項1号の「その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合」に該当する。

したがって、育児休業期間中における健康保険料の免除を申し出ることができるのは、「その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月」である。

しかし、同条1項括弧書きに、「第159条の3の規定の適用を受けている被保険者を除く」とあることから、設問の事例においては、事業主は産前産後休業期間中における健康保険料の免除期間の終了月の翌月から、子が1歳に達した日の翌日が属する月の前月までの期間について、育児休業期間中における健康保険料の免除を申し出ることができる。(法159条)


選出理由

①まず、設問の条件から「異なる場合」であることを読み取らなければなりません。
②更に当該規定が「第159条の3の規定の適用を受けている被保険者を除く」ことを知っていなければならず、
③かつ第159条の3の内容を知っており、
④この条文を解釈して正解を導かなければなりません。
国語力に加え、相当法律を読みなれていないと解けない難問だと言えるでしょう。

勉強している人ほど「異なる場合→当月から」が強く意識されるでしょうから、より厳しい肢だったと思われます。

要件となる言葉が設問中に直接出てこない→からの事例当てはめ。
勉強すればするほど迷うことが増える。
社労士試験的ですね…。何て恐ろしい子…。

ちなみに正解率は、69.4%(ランクD)でした。


第1位

令和2年 厚生年金保険法 問7 肢C!

設問

特定適用事業所でない適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者は、事業主が実施機関に所定の申出をしない限り、厚生年金保険の被保険者とならない。


正解
この肢は正しい

解説

事業主が「実施機関に所定の申出をしない限り」である。

特定適用事業所でない適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者は、事業主が実施機関に所定の申出をしない限り、厚生年金保険の被保険者とならない。


選出理由

①条文そのもの(平24法附則17条)
②3重否定で混乱させた上、結論が正しいパターン
(「『ない』だから『×』だ!」と分かってても間違えるやつ)

人畜無害な顔をしながら、命を刈り取りにくる、いかにも社労士試験的ではないでしょうか。

更に…

③隣の肢が凶悪
隣には、こんな肢があります。


特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者は、事業主が実施機関に所定の申出をしない限り、厚生年金保険の被保険者とならない。(平24法附則17条2項、正解は×)


「でない」と「該当しなくなった」だけの差で結論が異なります。それぞれ直接の規定があるとは言え、いったいどれほどの受験生がこの違いを正確に記憶していたでしょうか?

否定のニュアンスは覚えていても、帰結の違いは意識していなかったのではないでしょうか?(附則ですし)

更に!です。

④この2肢の帰結が正確に導けないと正解できない。

他の3肢で正解が導けるような、例えば「組み合わせ問題」とかであればさほど脅威ではなかった気がしますが、この2肢の正誤の判別が直結しているのです。

ちなみに正解率は、前者が72.5%(ランクC)、後者が69.2%(ランクD)でした。

(社労士過去問ランドユーザー強すぎでは?)


いかがでしたか?これが社労士試験です。(何目線)

努力しても厳しいですし、地頭が良くても、情報の整理が得意でも、乱数の引きが悪いと普通に死ぬ試験ではないかと思います。

受験を志す際はご注意ください!!


ちなみに5/5の社労士過去問ランドは2位でした。

c1103761eeさん強すぎる


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