酒本絵梨子・Eriko Sakamoto

遊びの社会学・体育科教育学・スポーツ社会学。 自由学園最高学部准教授。 未来の体育を構…

酒本絵梨子・Eriko Sakamoto

遊びの社会学・体育科教育学・スポーツ社会学。 自由学園最高学部准教授。 未来の体育を構想するプロジェクト理事。 遊ぶこと、自然と関わること、生活すること、自由に生きることについて、子どもを育てながら感じることなどをどこかに書き留めておきたいと思って、noteやってみます。

最近の記事

「一生懸命やっている」ことを議論の俎上にのせることについて

議会を聞いていて引っかかるのは「一生懸命やっているから賛成する」という流れがしばしば見られることである。 魔法のワード 「一生懸命やっている」を議論の俎上にのせるときに、この一生懸命やっていると述べる人はどのような物差しを持ってその一生懸命さを計っているのか、その物差しを明らかにしていない時点で個人的な感想をふっかけていることになる。 そして問題の中心から話がズレる。 そして褒めているようでありながらも、同時によくわからない物差しからはみ出た「一生懸命やっていない」も生

    • 持久走大会を休みたい息子との対話

      持久走大会休みたいと言ってきた息子(小2)とゆっくり話してみた。 今年は具合が悪いのと私の予定に付き合わせて休んだ以外、休みたいと全く言わなかった上の子は1年ぶりに「学校休みたい」と言ってきた。 持久走大会があるからという。 私「時間走になったんだから、キツイなと思ったらゆっくり自分の気持ちいいペースで走れば良いから無理しないで良いんだよ?」 (つまり昨年も持久走大会を休みたいと言ってきた。いまだに順位づけありの距離走の持久走大会やっていたので、学校アンケートに学習指

      • 遊びの社会学・実践記録No.4-ポケモンGOで遊んでみよう

        今日は90分間とことん遊ぼうということで、ポケモンGOをダウンロードして街に繰り出しました。 繰り出す前に 自分がどっぷり遊ぶこと それを客観的に振り返ること をやってみたいと思うという話をしました。 敢えてあまり視点を持たずに、面白いと思ったがままに遊んでおいでと。 この講義「ポケモンGOとかSwitchやるんだってー」という口コミでフラッと履修する学生もいるのだが、そのフラッと具合の中に真理があるかもしれないからねと。 皆さん意気揚々と街に繰り出していきまし

        • 遊びの社会学・実践記録No.3 -おもちゃとは何か-後編

          結局1週間経ってしまった。 すぐに書かないと、あっという間に時間が経ってしまう。 反省。 おもちゃの二重性 「遊んでいる」という現象は何に支えられているのかというお話し。 作田啓一『三次元の人間』行路社 1995年 (この本紹介しようと思ったら絶版だった…) 「同じものを見ているにもかかわらず、それが違ったふうに見える。 つまりわれわれはそのときに二つの視覚の動きをもって同じ風景を見ている。 その二重性が感動を引き起こすのではないか」 ちょうどこの講義の前日に息子と

        「一生懸命やっている」ことを議論の俎上にのせることについて

          遊びの社会学2022 ・実践記録No.3 -おもちゃとは何か-前編

          【好きな・好きだったおもちゃを持ってきてね】 事前におもちゃを持って来られる人は持ってきてねとお知らせしておいたので、4人おもちゃを持ってきてくれた。 昔遊んでいたけん玉や、今も弄っているモデルガン、Nintendo Switch、古いけど現役のDS。 エピソードと共に紹介してもらう。 ここで確認したかったのは「おもちゃ」と聞くと何を思い浮かべるか?多くの人は既製品を思い浮かべるけれど、子どもが「おもちゃ」として遊んでいるものはもっと幅広くないだろうか?という問いと、「

          遊びの社会学2022 ・実践記録No.3 -おもちゃとは何か-前編

          遊びの社会学2022・実践記録No.2

          【先週のふりかえり】 全員がリフレクションシートを提出し、ひとつ一つ自分の遊びと照らし合わせて色々考察されていたのがとても良かった。 そこから問いや発見が出てきたので、それを名前を伏せて共有。 【発見されたものを整理してみる】 出された「発見や問い」を私なりに整理した↓ 子どもと大人だと遊びが違っていた 田舎と都会だと遊びが違っていた 「楽しい」と遊びになるのでは?/感情によって遊びは変わる? 【遊びを「社会学する」】 社会の中で一定の法則性を見出して、社会の

          遊びの社会学2022・実践記録No.2

          遊びの社会学2022・実践記録No.1

          2022/04/19 自由選択の「遊びの社会学」、12名受講者が集まった。 今日は ・学びの案内2022 ・私の自己紹介 ・ライフヒストリーデザイン曼荼羅・遊びフォーカスver. ・リフレクション 【学びの案内2022】 ・この講義のねらいを共有 →「この中で今まで一度も遊んだことがない人はいますか?」 笑いが起きた。 そんなことあるわけないじゃん、ということだろうか。 つまり、人間は遊ぶ存在で、人間を捉え直す視点として「遊び」って有りだよね?ということが共有できた感じが

          遊びの社会学2022・実践記録No.1

          オンライン授業・雑感

          今日の授業で3回目の講義が終わった。 正直な感想は、想像以上に面白いということ。 オンラインホワイトボードのKJ法 今回はmiroを使った。私は使い勝手が良いのだが、PCが古い学生は「固まった…」とのこと。今度はGoogleのホワイトボード使ってみようかな。 ・みんなが同時に何をしているのかが見られる 教師的にとても良い!机間巡回(こう書くと仰々しいな…)なしで、一望できる感覚。そしてすぐにコメントを発信して、それを「全員」で聞ける。 ・誰が書いたかが分かりにくい

          オンライン授業・雑感

          三密スローガンの危うさと教育の役割

          〜今やるべき「保健」と体育の始め方〜 生活習慣と科学宮台真司がラジオで話しているのを聞いて悶々と考えた。 (J-Wave JAM the World 火曜日の「月一宮台」、口は悪いが理路整然としていて、冷静且つ鋭い視線が良い。) 私は教育に関わる人という以前に、社会に生きる1人の人間として、隣人が、とりわけ未来のある子どもが、死ななくて良い時に命を落とすことがとても辛いし、不健康で不幸な状態なのを見るのも辛い。 だから皆んなに幸せで健康でいて欲しい。 それを実現できる

          三密スローガンの危うさと教育の役割

          サッカーとバレエと私

          サッカー少女だった私は小学校5年生の時にバレエをはじめました。 なぜ始めたのか「コレ!」という理由は思い出せないけれど「ステキだからちょっとやってみたい」ぐらいな感じだったと思います。 結果的に私はバレエが大好きになりました。 バレエのお稽古を始める人の多くは「3歳から」「5歳から」など、低年齢で始めていて、実際に5年生から始めた私は「遅くはじめた人」でした。 最初のお稽古で「ギャロップ」という言葉を知らず、動き方が全く分からず先生にまさに手取り足取り教えてもらった感覚は

          サッカーとバレエと私

          サッカーと私

          私は体育・スポーツの研究をしていますが、専門的にやってきたスポーツ種目というと、サッカーです。 小学校1年生から中学校3年生まで9年間、地域の少年団とクラブに所属をしてサッカーをっていました。 当時、「なでしこ」なんて可愛らしい名前もなく、サッカーをやっている女の子は珍しい存在でした。 ワールドカップで優勝した「なでしこ」の年代はだいたい同じ世代なので、きっとあのなでしこ達もクラブの中で片手で数えるほどもいない女の子だったんだろうなと思うし、いつも見ながら「あの時サッカ

          まずは自己紹介

          はじめましての方も、そうでない方もこんにちは。 私は体育科教育、スポーツ社会学を専門とし、 主に「遊び」を軸に研究をしている大学の教員です。 (厳密に言うと大学ではないので、勤務校についても後々説明も含めて記事を書きたい) プライベートとしては、4歳のママで、子育て奮闘中。 しかし、子育てをプライベートとして仕事と切り分けず、 「遊び」「子育て」「教育」は24時間絡まり 相互に影響しているので、 側から見るとワーカホリックに見える(夫談)らしい。 このnoteでは、その