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黄金比

失敗の連続からなる自然界の均衡
フィボナッチ数の「5」と「8」
食卓に乗る食材にこんなにもミステリアスがあった
単なる偶然ではなく必然と現れるものに
驚きとだからといって何が変わるわけでもない日常のギャップに
ただただ震える

カリフラワー特有の「フラクタル構造」が生まれるメカニズムが解明される

カリフラワーやロマネスコのつぼみは数学的に「フラクタル」と呼ばれる性質を持つ形状であることがよく知られています
フランス国立科学研究センター(CNRS)の研究チームが
カリフラワーのフラクタル構造が発生する遺伝子のメカニズムを
解明したという論文を発表しました

フラクタルとは「自己相似性」といわれる概念で
幾何学的パターンが異なる倍率で何度も繰り返される構造のこと
具体的な例としてはロマネスコのつぼみがしばしば挙げられます
ロマネスコのつぼみの1つ1つは円すい状で
らせんを描きながら並び大きな円すいを形成します
そしてその大きな円すいがさらにより大きな円すいを形成し……
というように
規則正しいらせんを描きながら円すいを繰り返すのが
ロマネスコのつぼみの特徴です

ロマネスコはフラクタル構造が特に目立ちますが
カリフラワーにもロマネスコと同じようなフラクタル構造が存在します
さらにこのフラクタル構造の基となっているらせんを数えると
「フィボナッチ数」が見えてくることも知られています

例えばカリフラワーのらせんの列を数えると時計回りは5列
反時計回りは8列存在しています
この「5」と「8」はフィボナッチ数と呼ばれる数です
このようにらせん構造にフィボナッチ数が見出される例は
ヒマワリの種や松ぼっくりなど自然界に多く存在しています

なぜカリフラワーにフラクタル構造が生まれるのかは不明でしたが
カリフラワーと同じアブラナ科のシロイヌナズナで
非常に近い遺伝メカニズムが明らかとなっています

アブラナ科の植物では花が咲くときにまず
花序ができそこから花芽が生じます
この花序の先端にあるシュート頂分裂組織が花芽に分化する際に
必要な遺伝子に異常があると
花序の先端にまた花序ができその花序の先にさらに花序ができ……
というように
花序が繰り返し形成されてしまい結果としてカリフラワー状の
フラクタル構造を生じることがわかりました

CNRSの研究チームはカリフラワーが
どのように成長するのかを解明するため
「大きなカリフラワーに見られるフラクタル構造の形成メカニズム」と
「シロイヌナズナに見られる基本的な遺伝子ネットワーク」を照らし合せ
具体的にどの遺伝子がカリフラワーの構造と
関連しているのかを研究しました
また微分方程式を使用して遺伝子ネットワークを数理モデル化し
発現時の動きを予測しました

研究の結果カリフラワーのらせん構造の形成には4つの主要な遺伝子が重要な役割を果たしていることが判明しました
4つの遺伝子の頭文字はそれぞれS・A・L・Tで
研究チームの一員でノッティンガム大学数学科の
エティエンヌ・ファーコット助教授は
「発見された遺伝子の頭文字は明らかにジョークになっています」と
述べています

この4つの遺伝子のうちの「A」は、シロイヌナズナが
カリフラワー状になった時に欠落した遺伝子でした
カリフラワーにはこの「A」遺伝子がないため
先端組織が花になろうとしても失敗しつづけます
つまりカリフラワーはシロイヌナズナとほぼ同じ遺伝メカニズムで
フラクタル構造を生じており
スーパーで見かける白いカリフラワーは「遺伝子の突然変異によって
花の形成に延々と失敗し続けた結果」だというわけです
またロマネスコの場合は他のカリフラワーと異なり
茎から芽が出る速度が加速していくため
あの独特の形状が作られることが判明しました

さらに研究チームは遺伝子実験に加えて数理化モデルを利用した
植物発達の3D計算モデリングも組み合わせ
カリフラワーとロマネスコのつぼみの形成をシミュレートしました
するとコンピューター上でカリフラワー独特の
フラクタル構造が正確に再現されたとのこと

研究チームは「今回の結果からカリフラワーのフラクタル構造が
同一性と分裂組織の動態を変化させる成長と
発達の遺伝子ネットワークを通じて生成される仕組みが
明らかになりました」と論じ
「私たちのモデルは、自然界や作物に見られる非常に多様で魅力的な
植物の構造を形成するための
分子的および形態的な経時変化を明らかにしています」と主張しました

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