【微妙】ルパン三世 #19 霧のエリューシヴ
ルパン三世にタイムトラベルものは不要
ファンタジーが見たくて、ルパン三世を見ているわけではないのです。多分。ロマン、おそらくルパン三世を見るときに一番欲しているのが、ロマンです。
例えば、ヨーヨーでシャンデリアに捕まって逃げたり、変装して銭形をやり過ごそうとしたり、現実世界にあるものを改造したらちょっとできそうなラインの空想を求めているし、そう言うものを作ってきたはずです。
カリオストロの城で、鉄塔をジャンプで飛び越えるシーン
あれは、すごく急な斜面を、とんでもないスピードで駆け降りたからできた、とお客さんが納得できる演出がなされているから、面白いシーン&納得できるシーンになっています。
誰だかわからないぽっと出の悪役が、女を取られたからという理由でタイムマシンを作り、ルパン33世の祖先であるルパン三世に仕返しに来ると言うのは、なんともナンセンス。そもそもタイムマシンのデザインもチープな物。キャラクターデザインも、未来から来たキャラクターにしてはサマになっていません。
タイムトラベルものしか、ネタがなかったのか。それとも時代劇風にしたかったのか。全てにおいて、ルパン三世という題材でやるには、理にかなっていない話でした。
懐古する悪影響
今回の話・演出は、スタッフの懐古思想が酷かった。
しかもそれは悪い方に影響を及ぼしています。
確かに、昔の作品は面白かった。しかし、それはアニメーション(作画)が良かったから面白いわけではありません。演出が良かったから面白かったのです。
これはアニメーションに限らず、あらゆる懐古主義・懐古思想において(←大袈裟)言えることですが、当時の作品がなぜお客に受け入れられ、面白がられたのかを分析する際、自分たちの恣意をできるだけ捨てなければなりません。
自分たちの思い入れを持っている部分が、面白かったわけではない。
懐古スタッフたちは、作画に力を入れています。#19 霧のエリューシヴはアニメーション(作画)の面においては、非常に優秀です。よく動く(ただし、その動きが古臭いことは否めない・・・)。古臭いギャグも入って、まさに懐古。作画スタッフは、うまいことタイムマシンに乗ってタイムトラベルしたようです。
作画面は、懐古ながら非常に力が入っていますが、では演出面は? 残念ながら演出面はタイムトラベルできませんでした。むしろ、作画がどこか得体の知らない場所にタイムスリップしてしまい、演出家の指示が全く届いていないのではないかと思えるほど、演出面がおざなりです
「作品として、まとまりがある」という点においては、演出家は仕事をしています。こき下ろしましたが、仕事内容は悪くはありません。しかし、ルパンと題材でやるにはちょっとだけファンタジーが過ぎる結果になってしまった。というだけの話です。
微妙
悪役のバックボーン、行動理念が小物すぎることが、一番の欠点でしょう。これが発表された当時においても現在と同じように、個人の悩み(個人的なこと)が作品を作る・視聴する糧になっていたのかもしれませんが、アニメーションで展開される世界の中に広がりがなく、せめて、時代錯誤でもいいから世界征服くらいを目標に頑張って悪役をして欲しかったと思います。
彼女をとられたから、仕返し?
他にもタイムトラベルしている人がいるから、そいつを退治?
うーん、微妙すぎですね・・・。せめて、クレヨンしんちゃんの雲黒斎の野望くらい壮大にしてほしかったです。
全体的に(そのほとんどがアニメーション部分ですが)悪くはないけど、小粒でしたね。
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