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【己と判定に屈し今季2敗目】Arsenalマッチレビュー@PL第16節vsAston Villa(A)/23.12.10



試合前トピックス

・冨安1ヶ月程度の離脱
・スパーズはウェストハムに敗北で5戦勝利なし、勝ち点10pt剥奪のエヴァートンはニューカッスルに3-0で降格圏を脱出と大荒れのプレミアリーグ


マッチレポート

試合結果

AVL 1-0 ARS
7' マッギン(ベイリー)

https://www.premierleague.com

ハイライト映像

スターティングイレブン


試合トピックス

流石3位といったアストンヴィラの序盤の押し込み

 シーズンも16節と折り返しが見えてきたところで今季の各クラブそれぞれにおける戦い方や好不調の波の形が見えてきたのではないだろうか。その中でも今節戦うアストンヴィラは昨季こそ低迷する時期があったものの、今季はホームで現在7戦無敗と絶好調で、前節はシティ相手に1-0の大立ち回りを見せ3位に浮上してくるなど圧倒的な強さを誇っている。中堅チームを率いるエメリ監督には昔から定評があったものの、アストンヴィラでもその手腕を振るって快進撃の立役者となっているのは彼がかつて率い結果を残せなかったアーセナル側としては少々複雑な心境だ。

 アーセナルはキヴィオルに代わりジンチェンコに左SBが変わっただけの11人。前述の通りホームでは昨季から無類の強さを誇っているアストンヴィラだが、最後に彼らが負けたのは何を隠そうアーセナル。再び無敗記録に泥を塗れるかどうかといったところだが、イエロー累積3枚でアルテタがベンチ入り謹慎処分を食らっているのが少々気掛かりだ。

 試合は流石3位といったホームチーム一色の入りから始まる。まず保持で一番のストロングポイントとなっていたのが、主にパウトーレスといった後方から左SHマッギンやCFワトキンスへのシンプルなロングボール。サリバは試合を通してワトキンスをほぼ完封していたが、疲れが見えるホワイト側のサイドへ流れたり、セカンドボールを拾っての波状攻撃を駆使したりと単純な対人戦に限らずチーム全体で押し込む方法を模索する。ベイリーを筆頭に個々人の技術力も見逃せないポイントだ。

 ただ人数を前へかける分アストンヴィラの後方には広大なスペースが生まれる。加えてアストンヴィラは守備局面でもバックラインがきっちりとエリアを押し上げ縦横にコンパクトなハイライン戦術を採用。そのため、序盤はポジティブトランジションの局面で彼らの乱れた陣形を速攻で突く形でアーセナルもチャンスを作る。押し込むアストンヴィラのロストからサカ→マルティネッリ→サカとサイドチェンジを駆使した縦に素早いカウンターを展開したシーンが、序盤の両者の形勢を端的に表していた。

 互いに敵陣に迫る形を押し付けあう序盤戦で先に結果を出したのはアストンヴィラ。中に切り込むベイリーに付いていったジンチェンコの裏をワンツーで抜け出し、折り返しを受けたマッギンがワンクッション置いたシュートでゴールを挙げる。自分達の流れの中できっちり得点を獲得するところに、アストンヴィラがここまで結果を残してきた所以が垣間見える。

オフサイドとロストで自分の首を絞める

 失点直後からは一転、アーセナルの保持がメインの時間となっていく。失点前からターゲットとしていたアストンヴィラの背後を取るべく、特に左サイドでジェズス-マルティネッリ-ジェズスの連携からサイドチェンジや縦に抜けるハヴァーツを使う形で打開を狙う。幸いにもアストンヴィラの守備強度はそこまで高くなく、フィニッシュフェーズまで持っていく難易度は高くないものの、パスずれが散見され中々ゴールに迫れない。どちらかというと自分達の首を自ら締めるようにチャンスを逃し続けていた。

 またジンチェンコの守備強度が個人的には気になるところ。中へ絞る分ガブリエルのカバー範囲が広がるのは以前からわかっていた事ではあるが、今節はその負担をもろに食らっていたように思う。何とかディレイをかけクリーンなタックルでシャットダウンしていたガブリエルはアーセナル側のMOTM級の働きであった。

 ボールを持つ時間が積もっていくのとは裏腹に得点は取れない。業を煮やしたマルティネッリが無謀な仕掛けで突っ掛けたり、チームで繋いでもファールのセルフジャッジやヴィジョンが共有されていないパスミスからチャンスを自ら手放す時間が続く。アストンヴィラにはこういったミスを致命的なものにするようなカウンターの完成度は無かったが、アーセナルは相手のハイラインに続きこれも生かせず。何度トライしても似たようなロストで流れを切り、思わずため息がこぼれるテンポ感の悪い前半となった。

マルティネスとレフェリングの更なる向かい風

 後半の立ち上がりもアーセナルのポゼッションから。前半途中からの流れをそのまま踏襲したような形で始まるもののトランジションの局面はそこまで頻繁に訪れず、どちらかというと基本的にはアーセナルが遅攻からハイラインの歪み作りと裏へのランを徹底的に狙う。前半は対人が不安定だったジンチェンコのパフォーマンスも攻守ともに安定し、後半こそは得点とゴールの匂いだけはする時間となっていく。

 しかしそれでも中々決まらない。マルティネッリやハヴァーツは繰り返し大外やCB-SB間の所謂チャンネルへ向けてランニングを繰り返し、ポケットを取ってのカットバックで定期的にチャンスを生み出す。しかし中で受ける選手の準備が足りず、何度もオフサイドを取られ疲労だけがたまっていく一方。ライスのフィードに抜け出したサカがマルテネスの1vs1を制しネットを揺らすもこちらもオフサイド。非常に歯痒い展開が続く。

 試合も佳境に入るとアストンヴィラは交代を交えながら6-4に近いブロックでいよいよ徹底的なディープブロックから逃げ切りを図る。こうなるとハイライン裏を狙うのは難しくなっていくが、依然左サイド攻略のキーマンであるマルティネッリとハヴァーツの2人はブロックの角から揺さぶりをかけ歪みを生み続ける。70分マルティネッリ→トロサールで違った角度の攻め手を用意するもこちらも効果なし。

 ゴールを取れないアーセナルにとって決定的なダメージとなったのがGKマルティネスの壁。レノの怪我から台頭しアルゼンチン代表正GKの座を掴んだマルティネスはビッグセーブを連発し、ウーデゴールやサカの決定機を独力で切り抜けてくる。

 そしてもう一つがまたも不当なレフェリングである…。
①エリア内でのジェズスの足への蹴り上げ行為はノーファール
②ハヴァーツの劇的同点ゴールはキャッシュのハンドで軌道の変わったボールがハヴァーツの腕に当たったかのように見えただけでOFRすら行われず問答無用のハンド判定で取り消し
③ジエゴカルロスのエンケティアへのエルボー行為はお咎めなし
④キャッシュのトロサールへの悪質極まりない足裏タックルもお咎めなし   
 細かいのを上げれば他にもキリがない。③はニューカッスル戦でギマランイスのジョルジーニョへの肘打ち暴力行為が見逃されたのを彷彿とさせるし、キャッシュに関しては先日スパーズのベンタンクールがACL断裂の長期離脱明けで出場した試合で彼にアフタータックルを行い、足首の靭帯断裂で再長期離脱に追いやっている常習犯である。

 負けた試合であまり相手をどうこう言いたくないが、ニューカッスルと言いアストンヴィラと言い最近好調のチームは勝つ為ならばどんなことをやってもいいと勘違いしている節があると感じる。はっきり言ってプレミアリーグの恥。キャッシュやジエゴカルロス、他にもマッギンといった特に悪質なプレーが常日頃目立つ常習犯には一刻も早く厳罰を下す必要があると同時に、目の前で見ていても真っ当なジャッジを下せない割に判定を覆す勇気はないプライドだけは一丁前な無能連盟FAは怠惰を貪るレフェリー陣を一掃して欲しい。

 愚痴っぽくなってしまったが、何はともあれ自分達のミス続きに加え暴力行為と不透明な判定の数々によってゴールが遠ざかる終盤戦。交代で入ったエンケティアやネルソンも全くと言っていい程目立たず、最後の最後まで保持は出来るもののネットを揺らす事はない。勝てたはずの試合だったのにと自分達のミスへの悔しさと、暴力行為や馬鹿馬鹿しいジャッジへの怒りを晴らせぬまま試合は終了。プレミアリーグ今季2敗目でリバプールに順位を抜かれ首位陥落となった。


ゲーム総評

 今季喫した2つの負け試合、ニューカッスル戦とアストンヴィラ戦。前節ルートンタウン戦の自然なアルテタのセレブレーションへの謎イエローも顕著な例だが、この2試合に代表されるように今季はFAの明確なアルテタとアーセナル逆贔屓の影響をもろに食らっていると強く感じる。勿論2チームの整備されたサッカーによる躍進は素晴らしいものであるが、彼らの暴力行為とそれを見逃す判定にはあからさまに見えない力が働いており、これでは勝てる試合も勝てない。見えない力なのにあからさまとはこれ如何にといった感じだが、今節主審を担当したジャレットジレット氏はどうやら小さい時からリバプールの大ファンらしい。ちなみに今節の結果で先に勝利を挙げていたリバプールが1位へ躍り出た。ともかく、優勝を目指すうえでアーセナルの選手達ではどうしようもないこういった要素が逆風となって私達の道を邪魔してくるのは非常に不愉快である。

 また交代で入ってきた前線の2人、エンケティアとネルソンに批判が集まってしまうのも仕方ない。というのも今節に限らずインパクターとしての結果をずっと残していないのだ。控えという存在は少ないプレータイムでも目に留まる活躍を残し、それを継続し始めてスタメンとして出場できる。その点では彼らの働きははっきり言って不十分だし、交代によってゴールに近づくような期待感は一切ない。いい加減待てないし、このままでは放出&代役確保も辞さないだろう。

 自分達の課題、不可解な判定による健全な試合の阻害、選手生命を脅かしかねない暴力行為。様々な禍根を残した今節は学べる箇所をチーム全体で洗い出して共有し、それ以外はファンも含めさっさと忘れるに限る。12月のCLを交えた過密日程の中で雲行きが怪しくなるような試合となってしまったが、どうか選手達には一刻も早い切り替えで次の試合だけを見据えた心持ちへと移り変わってくれることを願う。

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