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【折々のギフト 令和6年5月号】カタログギフトの歩み (2010年代)

今回は「商品カタログ」についておさらいしておこう。
商品カタログは大きく分けて3つのパターン(A)(B)(C)がある。
企業が自社の製品又はセレクトした商品を掲載するBtoB/C型の商品カタログである。

(A) メーカーの製品カタログはプロ向け、小売店向、消費者が主な対象とされる。またアパレル、食品、リビングなどに多い商品・通販カタログは、購買の主な目的が自家需要である。

(B) 小売店が使用目的(用途)で編集した商品カタログで、顧客が自家需要や贈答品として利用するBtoC型の商品カタログである。一例として、自家需要対応ではディリー商品、ワイン、おせち等のアイテムカタログがイメージできる。贈答品対応では中元・歳暮や返礼品など百貨店が編集するギフトカタログが代表である。

(C) セレクトギフトと言われる商品カタログである。カタログ自体が商品となって贈られ、受け取り手がカタログの中の複数の商品からチョイスして完結するBtoC1toC2toBtoC2型の『選べるカタログギフト』である。

2000年代に百貨店では上記の(B)(C)においてカタログ戦略の見直しが行われた。
中元・歳暮のカタログは複数の百貨店が、商品・カタログ・物流・システムを統合した。
セレクトギフトは、カタログギフト制作会社にアウトソーシングするのが主流になった。

2000年以降、小売業の販売戦略は大きな変化と進化が起き始めた。ECと言われるネット通販の出現である。通信販売は広大な土地を持つアメリカが主流だったが、日本でも通販専門会社が紙カタログを武器にマーケットを拡大した。その後、いち早くネット販売を戦略とする企業が出現した。百貨店は店頭販売が主体であったが、ギフトでは中元・歳暮を始まりにECを導入した。しかしながら、年齢の高い顧客層が多く、スタートは期待したような大きな成果にはならなかった。

カタログギフト制作会社においてもデジタル化は喫緊の課題だった。
しかしながら、紙カタログの依存とそのニーズの高さから、より高級な紙カタログに志向していった。当初は返礼目的の一万円以下の価格帯が主流だったが、贈品の需要が高まり高額なカタログギフトがつくられるようになった。そこで益々、紙カタログの高級化と掲載商品の多角化、高級志向、ブランド志向に拍車がかかった。

2010年代になると紙カタログからデジタルカタログへの移行が急速に始まる。
そこに登場したのが、『コトギフト』である。
『コトギフト』は旅行やレストランへの予約システムと連動される。
ホテルや旅館、レストランなどは、お店のPRと新規顧客の獲得にメリットを感じ、掲載に前向きだった。紙カタログからホームページにアクセスすることが一般的にもなった。
モノからコトへの需要の変化も後押しした。
『コトギフト』が発展したことによりセレクトギフトはあらゆるシーンで商品化され、高級化と多様化に対応できるようになった。

カタログギフトは新しい商材によって高額なカタログやコトギフトに特化したカタログが制作された。またカタログギフトの冠に様々なハウスブランドが名乗りを上げるようになった。これによって、2010年代のカタログギフト制作会社は売上利益を大幅に伸ばし、システムへの投資をすることが可能になったのである。

次回の贈り物相談室は、ギフトカタログの現状の課題と今後の成長戦略を提起します。

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