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【気になるアンケート結果:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント『SHIBUYA109 lab.調べ』】Z世代とジェンダー・多様性に関する意識調査

株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキュウラボ)』が、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代とジェンダー・多様性に関する意識調査」という興味深い調査結果が発表されました。
ギフト研究所でも次世代の消費者となる若者(Z世代)の意識や消費行動については気になるところ。
今回、SHIBUYA109独自の視点からの分析とSHIBUYA109 lab.長田所長のコメントをまじえ、Z世代とジェンダー・多様性について見てみましょう。


【Z世代のジェンダー・多様性に関する意識調査トピックス】

【1】約6割が学校で「ジェンダー」を学ぶ時代。Z世代とSDGsの今.

「SDGsに関する授業を受けたことがある」Z世代は7割、「ジェンダーに関する授業を受けたことがある」は約6割となりました。また、SDGsで挙げられている17の目標のうち、Z世代が考える「日本がもっとも力を入れて取り組むべき課題1位は「ジェンダー平等を実現しよう」でした。

【2】 約半数の学校で女子もスラックス着用OK!変わりゆくジェンダーとファッション

「性別にとらわれずにお洒落を楽しみたい」が7割を超え、インタビューでも商品自体の性別カテゴリを気にせずに自分に合うファッションアイテムを購入している様子が確認されました。制服においても、「女子生徒のスラックスがある」が約6割となり、選択肢が増えていることがわかります。

【3】 ジェンダーに関して差別的・不適切な発言に約6割が違和感!だけど衝突は避けたい、Z世代のココロ.

ジェンダーに関する不平等感や理不尽さを感じる場面としては「SNS上での発言やコンテンツの中で」が最多となりました。また、「『男なんだから』 『女なんだから』という性別『らしさ』を強要されること」に違和感・不平等感を感じる割合も、「ジェンダーに関して差別的・不適切な発言をしている人がいたら不愉快だと感じる」も共に約6割となっています。

【4】 所長コメント:ジェンダー平等は最も身近な社会課題。性別に囚われない「選択できる余白」を提供

ジェンダーに関する授業を受けたり、学校の制服に関する制度を変える提案をしたり、日々のコミュニケーションの中でも意識するなど能動的に向き合う姿勢が見られました。ファッションをはじめとしたジェンダーに囚われない消費も浸透しつつあり、個人の選択肢を狭めない「選択できる余白」が求められています。

【調査結果】

【1】約6割が学校で「ジェンダー」を学ぶ時代。Z世代とSDGsの今.

一般にZ世代はジェンダーに関する課題への関心が高いとされていますが、2020年にSHIBUYA109 lab. がZ世代を対象に実施したSDGsに関する調査において、 SDGsにおける17の目標のうち、日本がより力を入れて取り組むべきだと思う目標は「ジェンダー平等を実現しよう」が第1位となっています。
※参考:https://shibuya109lab.jp/article/200818.html

それを受け、今回も「日本がより力を入れて取り組むべき課題」(※図1)について質問したところ、第1位(42.9%)は「ジェンダー平等を実現しよう」になりました。

グループインタビューでも、「ジェンダーに関する授業を大学で履修しているので身近に感じる」「生徒同士でジェンダーについてディスカッションする授業が人気になっている」などの意見が聞かれました。

実際に、SDGsに関する情報が授業でも提供されていることは定量調査でもわかっており、「SDGsに関する授業を受けたことがある」Z世代は73.0%、「ジェンダーに関する授業を受けたことがある」(※図2)は57.8%となりました。

図1. (SDGsの17の目標のうち)あなたが思う日本がより力を入れて取り組むべき課題だと思うものを教えてください。
[複数回答]n=455(男性:219/女性:231/その他・答えたくない:5)
図2. 社会課題と学校での授業に関してあなたにあてはまるものを教えてください。
[単一回答] n=455(男性:219/女性:231/その他・答えたくない:5)

【2】約半数の学校で女子もスラックス着用OK!
変わりゆくジェンダーとファッション

ジェンダーとファッションに関して「性別にとらわれずにオシャレを楽しみたい」と回答したのは71.7%、「ジェンダーレスにおしゃれを楽しむのはその人の自由だと思う」という回答が78.9%、「すでに性別にとらわれずにオシャレを楽しんでいる」(※図3)という回答が58.1%になりました。

図3. ファッションに関してあなたにあてはまるものを教えてください。
[単一回答] n=455(男性:219/女性:231/その他・答えたくない:5)

グループインタビューでも、「性別を気にしてファッションアイテムを購入することはない。着たものがたまたまメンズだということもよくある(女子大学生)」「大きめのサイズの方が着ていてかわいい場合はメンズを購入する(女子大学生) 」「ウエストの位置がウィメンズの方が合うので女性用のアイテムを着ている(男子大学生) 」など性別関係なくファッションを楽しむ姿が見られました。

ショッピング体験に関しては、「男女が分けられている店には入りづらい。古着屋などは、メンズ・ウィメンズ分けずに商品が陳列してあって見やすい。フロアがメンズとウィメンズで分かれているお店は見づらい」「ドラックストアのような内装の専門店やオーガニック系のブランドだと男性だけでも入りやすいが、コスメを購入する時に男性は入りづらいお店も多い」などの意見が聞かれています。


図4. Z世代の実態補足資料

学校制服に関して、「制服の中で、男女ともにスラックス・スカートどちらの選択肢もあるのは良いことだと思う」(※図5)と回答したのは77.6%となり、実情を調査した質問でも学生生活において、「女子生徒もスラックスの選択肢がある」のは50.5%、「スラックスを着用している女子生徒がいる」(※図6)のは44.6%となりました。

図5. ファッションに関してあなたにあてはまるものを教えてください。
[単一回答] n=455(男性:219/女性:231/その他・答えたくない:5)
図6. 中学・高校時代の学校制服についてあなたにあてはまるものを教えてください。
[複数回答]n=455(男性:219/女性:231/その他・答えたくない:5)

グループインタビューでも「高校1年生の時に女子がスラックスを履いても良くなったし、今年からネクタイの長さも同じになる。生徒会が学校に提案して変更になった」「女子がスラックスを履いても良くなったし、年々実際にスラックスを履いている女子も増えてきている」「女子もスラックスOKにすることが、生徒会選挙の公約になっている」などのエピソードが挙がりました。

【3】不適切な発言に約6割が違和感!だけど衝突は避けたい、Z世代のココロ

「これまで生きてきた中でジェンダーに関する不平等を感じたことがある」には49.4%が、「これまで生きてきた中で性別が要因の生きづらさや理不尽さを感じたことがある」という設問には38.5%の方が「とてもあてはまる」「ややあてはまる」を選択しました。

図7. ジェンダーに関して、あなたにあてはまるものを教えてください。
[単一回答] n=455(男性:219/女性:231/その他・答えたくない:5)

さらに、上記の設問に対し「とてもあてはまる」「ややあてはまる」を選択した対象者から、ジェンダーに関する不平等感や理不尽さを感じる場面について聞いてみると、「SNS上での発言やコンテンツの中で」が33.6%、「学校生活の中で」が30.0%、「家族や親せきとのやりとりの中で」が25.2%(※図7)で多くなっています。

図8. あなたがジェンダーに関する不平等感や理不尽さを感じたことのあるのはどういった場面でしたか。
[複数回答]n=250(男性:105/女性:142/その他・答えたくない:3)

※「これまで生きてきた中でジェンダーに関する不平等を感じたことがある」か「これまで生きてきた中で性別が要因の生きづらさや理不尽さを感じたことがある」という設問で「とてもあてはまる」「ややあてはまる」を選択した方

グループインタビューでは、「共働きなのに母親の方が家事の負荷が高いのをみて、自分の家庭内で違和感を感じた」「飲食店で量が少なめのものを頼もうとすると『レディースセット』といった名前になっていて、(自分が男性なので)頼みづらい」などの実体験が話題に上りました。

また、「『男なんだから』 『女なんだから』という性別『らしさ』を強要されること」に違和感・不平等感を感じる(※図9)では64.6%となっています。グループインタビューでは、「学校にも性的マイノリティであることをカミングアウトしている人がいて身近な存在である」「男女平等を社会全体で掲げていて、そういうのを理解しないといけない風潮があって、皆も理解しようとしていると感じる。考え方がどんどん変わってきているんだなと思う」といった声が聞かれました。

図9. あなたは次の項目それぞれに違和感や不平等感・不便さなどを感じますか。
[単一回答]n=455(男性:219/女性:231/その他・答えたくない:5)

また、「ジェンダーに関して差別的・不適切な発言をしている人がいたら不愉快だと感じる」(※図10)で回答したのは、63.5%となりました。
また、「ジェンダーに関して差別的・不適切な発言をしないように意識している」(※図10)では66.6%になりました。

図10. ジェンダーに関して、あなたにあてはまるものを教えてください。
[単一回答]n=455(男性:219/女性:231/その他・答えたくない:5)

最後に、ジェンダーを含む価値観の多様性に関して、「価値観が合わない人がいるのは仕方ないことだと思う」という回答は79.1%、「価値観が合わない人とは戦わずに距離を置きたい」のは73.4%、「価値観が合わない人とも歩み寄っていきたい」は図11での回答は半数以下の43.8%となりました。

図11. 誹謗中傷や人間関係に関してあなたにあてはまるものを教えてください。
[単一回答]n=455(男性:219/女性:231/その他・答えたくない:5)

インタビューでは「考え方が違う人がいるのは仕方がないと思うので、各々が楽しく過ごせれば良いかなと思う」など、異なる価値観を持つ人に対して、距離を取ることで衝突を避ける傾向にあることがわかりました。

【4】長田麻衣所長のコメント

ジェンダー平等は最も身近な社会課題。性別に囚われない「選択できる余白」を提供
「ジェンダー平等」は、Z世代にとって最も身近な社会課題です。
彼らは無自覚なジェンダー差別で誰かを傷つけたり、自分自身の選択肢を狭めてしまうことが無いように、学校の授業で学んでいます。学校の制服に関する制度を変える提案をしたり、日々のコミュニケーションの中でも意識するなど、能動的にジェンダー平等を体現する実態も見られています。また、ファッションをはじめとしたジェンダーに囚われない消費は浸透しつつあり、個人の選択肢を狭めない「選択できる余白」を求めています。
一方で、Z世代は価値観が合わない人に対しては距離を置くことで衝突を避ける傾向にあるため、ジェンダー意識のアップデートができていない環境やコンテンツは理由がわからないままZ世代から距離を置かれてしまうことが危惧されます。

今後企業は、職場のユニフォームや売り場づくりなどにおいて、「こうあるべき」をアップデートしていけると、新たな働きやすさ・買い物のしやすさの創出ができるかもしれません。

最後に

■アンケート調査概要

①WEB調査
調査期間:2024年3月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
(SHIBUYA109 lab.調べ GMOリサーチプラットフォーム利用の調査)
居住地:一都三県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)
年齢:15~24歳
対象:高校生・大学生・短大・専門学校生
回答者数:455名(男性219名:女性231名:その他・答えたくない:5)(高校生222名:大学生233名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。

②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件: 大学生 男子3名、女子4名 2G 合計7名
・その他過去定性調査をもとに考察

株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する新しい世代に特化した若者マーケティング機関。SHIBUYA109のターゲットである「around20(15~24歳)」を中心に彼らの実態を調査し、SHIBUYA109独自の視点から分析している。
所長:長田麻衣 / 株式会社SHIBUYA109(https://www.shibuya109.co.jp/)エンタテイメント所属

※ご提供資料は、株式会社SHIBUYA109エンタテイメント『SHIBUYA109 lab.調べ』によるもの。記事内容に関するお問い合わせは「SHIBUYA109 lab.」(https://shibuya109lab.jp)にてお願いいたします。

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