https://note.com/grand_llama4395/n/n9f197318daff?sub_rt=share_pw 「よっ」 そこには軽快な挨拶に反して、固い表情をした屈強な男の姿があった。 軽量級の自分と比べると100kg級の大博は立っているだけで存在感がある。 「見舞い来るの遅いんじゃねーの?薄情者め」 久々に会った親友に軽く悪態をつく。 「すまん。色々と整理がつかなくてな」 そう言ってベッドの横にたたんでいたパイプ椅子を開き、ゆっくりと腰を下ろし
桜を見ると、否応なく君を思い出す。 君は花弁と共に現れて、花屑が舞い散る頃には閑かに姿を消した。 刹那的で情動的な記憶を僕に植え付け、深く根をはって離れない。 幾度春を重ねようと、満開の桜を見て心動かされ魅入ってしまうように 君への想いは、薄らぐことなく揺蕩い続けている。 高校2年の春休み。 当時、柔道部に所属し学生生活の全てを注いでいた。全国的にも名の知れた強豪校で日々の練習は過酷を極めた。 春休みと言っても部活生にとっては学校がない分、一日中練習という地獄のよう
「そろそろ出ようかな」 その言葉を合図に、三十分ほど先に出社する貴方を見送るため、玄関に足をはこぶ。 靴を履き向き直ると、玄関ドアの硝子から挿す朝陽が貴方の外郭を曖昧にさせる。 親切な上り框が二人の目線を合わせ、舞台を整える。 互いに少しだけ頭を傾け、寄せると唇が重なる。 一秒程の優しい接触。 僅かに漏れる吐息からは、いつも珈琲の香りがした。 味は苦手だけど、その香りは好きだった。 目を覚ましてリビングに向かうと、寝癖をつけ目を擦る私に「おは