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デントリペアとGPRの話


今回は僕が大好きなデントリペアと
プーリングやGPR(グループルリペア)について書いていきます。



写真はフロントフェンダーの凹み。

フロントフェンダーのデントリペアは比較的やりやすいほうです。

フェンダーライナーの隙間を開けるなり外せばツールアクセスが可能ですね。
(車種によってはウォッシャータンクがあったりしますけど)

僕はデントリペアをする時
状況にもよりますが基本的には
プーリング(グルーを使ったリペア方法)ではなく
ツール(鉄の棒)で裏から押し出す方法を選択をします。

プーリングは塗装面が劣化していたり
鈑金塗装していたりすると
グルーで塗膜が剥がれるリスクがあるからです。

ですので今回のリペアもツールで押し出します。

 7センチくらいの凹み

凹みは小さくもないですが
そこまで深くもないし(じゃっかんの芯はありましたけど)
そんなに難しくないですね。


仕上がり


ラインのレンズ

凹みが少し大きいので
全体のバランスを見るのにもラインのレンズがあった方がいいです。

今回の車とは違いますが

このようなツールでタイヤを支点にして凹みを押し出します。

このツールは先端のチップを変えれますので万能ですね。

僕が使っているロッドは
ULTRA DENT TOOLSというアメリカのデントメーカーのツール。
(この写真では似たようなロッドばかりですね)

けっこういいお値段しますけどカッコもよくて好きです。

 チップもいろんな種類があり
メーカーもたくさんあって集め出すとキリがない😅

僕はしょっちゅうデントリペアをしているわけではありませんが
やる機会があればなるべくリペアできるように準備をしていたいと思ってます。

デントリペアができる技術を最低限持っているとして
お次はいかにいろんなツールを持っているのかが大事かと。

めちゃくちゃ技術があっても
凹みにアクセスできなければ直すことはできません。

ですので僕はツールをなるべく揃えて
なんとか凹みに触れるようにしています。

ただ、準備をしておいたけど存在を忘れていて
リペアした後に見つけることもあります。

「あ、こんなツール持ってたんだ」
「こっち使ってた方が早かったじゃん!」
って(笑)


それと
デントリペアができるようになると
鈑金のアプローチも変わりますし
仕事のいろんな場面で活躍します。


デントリペアは塗装面に傷をつけずに
完璧に近い形(凹みによってはほぼ完璧も可能)に復元するので
凹みを変形させすぎないように変形させていく(元の形に戻す)
繊細な叩きと押し(引き)が必要です。

僕はデントリペアをやるようになって
最低限の力加減でパネルをリペアするということを学びました。
(それだけではないですけどね)

そのやり方を鈑金の時にも生かしているので
以前より質の良いリペアになっていると感じています。

そして鈑金以外の仕事の中でも
デントリペアが活躍する場面もたくさんあります。

・塗装後の凹みや凸の見逃し
・塗装後に組んでる時のミスでの凹みや凸
・ぼかすパネルにある事故とは関係ない凹みや凸
・新品パネルの凹みや凸(外車はよくあるし国産車でもあります)
・曲がった(曲げてしまった?)ナンバープレートのリペア

などなど。


それと
ツール(鉄の棒)でパネルの裏から押すのがデントリペアの基本ですが
アクセスできない場合は表からグルーを使って引き出します。


最初にもチラリと触れましたが
デントリペアでグルーを使ったリペア法を「プーリング」といいます。

プーリングの作業例↓

クォーターの凹み 4センチくらい

少し芯のある凹みですね。

ラインのレンズで
KECO デッドセンター クリースタブ 33mm

スライドハンマーで引き出します。

Dent Reaper デッドセンター パープルヘックスタブ 25mm

引き出し具合を見ながら
凹みに合った形状だったり違う種類のタブに変えたりします。

凹みは小さくなってきていますが、なかなか芯が出てくれません。

ちなみに
凹みにタブをつけて引き出しているだけではなくて
芯の回りをポンチングをしています。


芯の回りをポンチング
     ↓
凹みに合ったタブで引き出す
     ↓
芯の回りをポンチング
     ↓
凹みに合ったタブで引き出す

の繰り返しです😅

Dent Reaper デッドセンター パープルヘックスタブ 10mm


KECO デッドセンター フィニッシュタブ 5mm
完成
ラインのレンズで


使ったツール類


写真ではわかりにくいですが
凹みの影響で広い範囲に歪みがありましたので
ブレンディングハンマーを使ってならしました。



長くなりましたが
こんな感じでグルーで引き出して
無塗装で完成(デントリペアの仕上がり)が「プーリング」です。


そして僕が鈑金で使っている「GPR(グループルリペア)」というのがあります。

こーゆーの


このGPR(グループルリペア)というのは塗装前提の鈑金で使うやりかたです。

どちらも使う道具は一緒です。
(GPRのほうが大きいタブを使う頻度は多いと思いますが)


まとめると

・プーリングは無塗装の仕上がり
・GPRは鈑金に使い、塗装をする前提

といったところでしょうか。

はっきり言って
「プーリング」「GPR(グループルリペア)」もやることは一緒です。

ただGPRの方は
損傷がひどい場合もありますし
最終的にパテなりサーフェーサーを塗るので
プーリングに比べて多少粗く引き叩きをすることもあります。

ですので
鈑金塗装でGPRをやることによって慣れてくれば

小さくて簡単な凹み(弾性変形系)なら
デントリペアの仕上がりは難しいかもですが
ある程度の目立たないレベルまでは持って来れるのではないかなと。

あくまでも僕の予想で
やる人次第なところもありますので
絶対にできるとは言い切れませんが😅

でも可能性はゼロではないと思いますけどね。


それとデントリペアでいえば
プーリングの方がツール(鉄の棒)に比べてとっつきやすいとも思ってます。

ツールは一本一本が高額ですし
一本持っているから十分ってことでもなく
車のいろんな場所のパネルに
アクセスするためにはけっこうな数が必要です。
ツールをアクセスするためには部品を外すこともありますね。

しかもある程度?できるようになるまでが簡単じゃないですし。

それに比べれば
プーリング(GPR)はグルーとタブと
引き出すツール(スライドハンマーやリフターなど)があれば
車のどの場所でもつけて引き出すことができます。
あ、それと高くなったところを叩いてならすポンチも必要ですね。
(ポンチはデントリペアの必需品です。)
そして部品を外す必要もありません。

プーリングのほうがツール(鉄の棒)に比べて
ある程度できるようになるのは早い気がします。

ですがプーリングのデメリットとして直しきれない凹みがあります。
それは鋭く芯が強い凹みです。
凹みを小さくすることはできますが芯を出し切ることができません。

ツール(鉄の棒)ですと先端の形状が違うモノもありますし
チップを変えるタイプですと鋭く尖ったモノに変えることもできますので
凹みの裏からツールで触れるのならその芯も出し切ることができます。
(技術的に難易度は高いですが)


お互いメリットデメリットがありますね。


そしてどちらもちゃんと取り組むのであれば
デントライトかリフレクターボード(シマシマのラインボード)が必要です。

鈑金で粗だしだけの観点からみれば
プーリング(GPR)はデントライトやリフレクターボードが
なくてもなんとかなります。

鈑金塗装屋さんであれば手で触って高い低いを判断するので
低いところにタブをつけて引き、高いところを叩けばいいからです。

それがツール(鉄の棒)ですと
デントライトやリフレクターボードが無ければ
どこを押しているのかがわかりづらいので
ツール(鉄の棒)だけを持っていても使えるのは限定的だと思います。

例えばフロントフェンダーなど凹みを裏から手で触れる場面では使えるかなと。
凹みを裏から手で確認しながらそこにツールを誘導することができますので。


僕は
デントリペア(ツールで凹みを裏から押す)から初めて
プーリングもやるようになり
少し遅れて鈑金でGPR(グループルリペア)を活用するようになりました。

もし鈑金塗装屋さんで
デントリペアに興味があるけどイマイチ踏み出せないという方は
とりあえずGPRから始めてみるといいかもしれません。

鈑金の粗だしに使えて
簡単な小さい凹みであれば目立たなくすることができる可能性がありますから。



以上、ありがとうございました。
















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