ヒラノマリエ

北海道の端っこ、斜里町に恋をした人です。 斜里で暮らす中での出来事や感じたことなどを書…

ヒラノマリエ

北海道の端っこ、斜里町に恋をした人です。 斜里で暮らす中での出来事や感じたことなどを書き綴っています。

マガジン

  • 日々を綴る

    「書くことを続ける」ために、特にテーマは決めず毎日その瞬間に書きたいと思ったことを書いてみています。2023年1月スタート。どれだけ続くかな。

  • わたしの好きな斜里

    Twitterで「#わたしの好きな斜里」というハッシュタグを使い、北海道斜里町の好きなところをつぶやいています。 ここでは、そのタグと一緒に載せた写真をひとつずつ振り返りながら、ちょっとした文章を添えてみています。

最近の記事

日々を綴る(38)6月2日

イベントの広報物を持って、ふたつの場所を訪れる。 3ヶ月ぶりに訪れた美術館の周りはすっかり緑が豊かになって花もたくさん咲いていた。風が強くて、ざわざわと賑やかだ。 一度見ている作品であっても、季節や空間への光の入り方、展示されている場所が変わったりするだけで受け取る印象が違って面白い。自分自身の状態によっても違うのだろう。次にまた作品を迎え入れるとしたらどれがいいかな、などと考えながら、しばしぼんやり過ごした。 もうひとつの場所では、歩くことについての話を少しだけ。必ずしも

    • 日々を綴る(37)5月31日~6月1日

      5月31日 「聞く」と「話す」が続く1日。対話を積み重ねた上にある信頼関係は自分の糧にも盾にもなることをじわじわと感じている。 写真とともにひと月を振り返っているとあっという間に夜の時間が過ぎてしまった。自分自身が遠出をしたことと、旅先の選び方や旅の仕方について、という話題が出たこともあり、そんなことをつらつらと書き連ねた。 ひとつの場所に留まるよりもあちらこちらと移動する方が性に合っているのだろうな、と思っていた自分がもう4年も定着しているなんて、未だにちょっと信じられない

      • 日々を綴る(36)5月29~30日

        5月29日 名付けることの重みと難しさと嬉しさが頭の中を駆けまわる。まだまだ実感はないけれど、とてもよい名前であることは間違いない。このまま滞りなく誕生できるように願うばかり。 自分の名前には大した意味はないと言われた曖昧な記憶。今となっては悲しさは微塵も感じない。その代わりに、名前を呼ばれるのは嬉しいし、自分ももっともっと人のことを名前で呼びたいなと思った。 5月30日 対象が何であれ、気付いたら中立的な場所に立ってしまっている。好きか嫌いかという個の感性とはまた別の軸。

        • 日々を綴る(35)5月28日

          待ち時間のあいだ、目の前に設置されたテレビから流れるワイドショーにどうしても目がいってしまう。不自然なまでに煌びやかだ。見たくないのに、椅子に座るとどうしても視界に入ってしまう。「すぐ呼ばれるだろうから」と読みかけの文庫本を持ってこなかったことを後悔した。 霧が出ていて、きれいだなあと感じる。跨線橋からの景色と、職場の横の道の海岸の方まですーっとつながる様子が好きだ。このふたつは、霧の日がよく合っている。 海へは出張に行く前日に行ったきりなのでこの道を歩いて海岸まで行きたい

        日々を綴る(38)6月2日

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        • 日々を綴る
          38本
        • わたしの好きな斜里
          10本

        記事

          日々を綴る(34)5月27日

          鈍い灰色の空、と思いながら外に出ると想像よりもずっと気温が高く、肩の力がぐっと緩む。少しだけ雨が降っていて、暖かいというよりも「ぬるい」という言葉がよぎる。初夏と言ってしまうにはまだまだ早すぎることを知っているからそうは言わないけれど、ぽつぽつと降る雨がよりいっそう初夏らしさを思わせた。 仕事前、久しぶりに神社へ寄る。緑が占める面積とその濃ゆさが各段と増していて、鬱蒼とさえ見える。マスクの中で「緑、こゆっ」とつぶやいた。頭の中で、見慣れた冬の景色と比較すると、そのあまりもの

          日々を綴る(34)5月27日

          日々を綴る(33)5月25~26日

          5月25日 好きなコーヒーの味を見つけてから、コーヒーを飲むことが日々のささやかな楽しみになっていたのに、味がわからなくて淹れる気にならない。富山で買ってきた豆もまだ試せていないままだ。しばらくの辛抱、と涙をのむ。先日言われた「人生の楽しみの大半は食だよね」という言葉を反芻する。真理だと思う。 それにしても、においもまったくわからないので異臭がしても気付けないという事実がおそろしい。火を使うたび、元栓のチェックをいつもより入念におこなう。 今月上旬に注文していた棚が届き、組み

          日々を綴る(33)5月25~26日

          日々を綴る(32)5月22~24日

          5月22日 まだ薄暗い朝方、喉の痛みが強くなり目が覚める。枕元に置いてあったトローチに手を伸ばし口に放り込んだ直後に感じる違和感。味がしない。その代わりといってはなんだけれど、体調そのものは少し回復した気がする。 …などと喜んだのも束の間。元気だったのは午前だけで、午後は再び起き上がっているのが耐えがたいほどに倦怠感が戻ってきてしまった。何もせず、ひたすら眠って過ごす。熱に翻弄される1日。 5月23日 完全に味もにおいもわからなくなる。何を食べても感動できない。それ以外はす

          日々を綴る(32)5月22~24日

          日々を綴る(31)5月19~21日

          5月19日 便利な立地というだけの理由で選んだ宿、の、居心地そのものはそんなに悪くなかったものの、やっぱり土地の合う合わないはあるのだと思う。前からなんとなくいい感じはしていなかったけれど、今後この駅の周辺にはできるだけ滞在しないことを心に決めた。 数日ぶりに吸う北海道の空気に、ほっとする。 夕食後、風邪のような予兆を感じ始め、薬を飲んで早めに休んだ。 5月20日 目が覚めてすぐ体の違和感に気付く。発熱。倦怠感がひどい。節々が痛いってこういうことか。1日中横になって過ごす。

          日々を綴る(31)5月19~21日

          日々を綴る(30)5月18日

          ほぼ無計画だったこの日、たまたま見かけた民俗民芸村なる場所へ足を運ぶ。最初に対応してくれた受付の方がとても親切で、少し雑談をした。遠くへ行くと、北海道から来たと話すと喜ばれることが多い気がしている。うちの子が、親戚の子が、北海道の大学に行っててね。といった返答がくることもしばしば。こんな会話が何より印象に残るし、またこの地を訪れようというじんわりした気持ちにつながることを、肌で感じる。 思いがけず出会った素晴らしい景色、きゅっと身が引き締まる空間、今年初の虫刺され。あの山々

          日々を綴る(30)5月18日

          日々を綴る(29)5月17日

          たくさんの美しいものを眺めたのち、東へ向かう。県境、里山の雰囲気、竹、広葉樹、瓦の屋根、田んぼ。何もかもが北とは異なる。移ろいゆく気候に適応しながら暮らしをつくってきた人間の営みの地道さを思う。 オーラとエネルギーのある人に会い、見透かされているような緊張感もほんの少し抱きつつ、やるべきことをしっかり進めた。仕事が好きとは思っていない。なぜかやってしまう、そういうもの。やりたくないならやめるだけの話。 地物の酒を勧められ嗜む程度にいただくと予想に反して飲みやすい。酔わない

          日々を綴る(29)5月17日

          日々を綴る(28)5月16日

          天気は割としっかり調べる方なので、今日の降水確率が高いことは知っていたのに、愛用の折りたたみ傘を持ってくるのを忘れてしまっていた。前日、斜里を出て15分くらい経った頃に気付いたものの、時すでに遅し。どうにか外れてくれという願いも叶わずやはり降ってきたので、諦めて折りたたみ傘を買った。テスト期間だという地元の学生たちに囲まれての電車移動、想定外の平日昼間の満員電車に揺られる。 工場見学はいくつになっても楽しい。一度では理解しきれないけれど、雰囲気を肌で感じて受け止めたことその

          日々を綴る(28)5月16日

          日々を綴る(27)5月15日

          賑やかな午前。どこか楽しそうな大人たちの声をBGMに、このあとの準備を黙々と進める。出されたコーヒーは非常に濃く苦みがあったものの、さすが自分の好きな店の豆なだけあって、美味しいとも思った。それでもやっぱりフルーティーなもの、酸味が強めのものが好きだけれど。 長時間にわたる移動。PCを開いて作業しようと試みるも、暑さと揺れとですぐ気分が悪くなり、諦めて本の頁をめくる。5月末までに読み終えるつもりだったにも関わらず、引き込まれて、あっという間に読み終えてしまった。ありありと情

          日々を綴る(27)5月15日

          日々を綴る(26)5月14日

          話を聞いて、考えて、伝えて、をぐるぐる繰り返している。どちらかというといくつかの物事を同時に進めるのは得意な方だと思っていたけれど、それは、ひとつひとつと全力で向き合いきれていなかったからかもしれない。自分の浅さを思い知る毎日。落ち込んでばかりいられないので、とにかく進む。気配りと慎重さと大胆さのバランス。 身のまわりの景色とじっくり向き合えぬまま日々が進んでいくことへの微かな焦りがある中でまだ少しだけ桜が咲いているのを見てほっとしたけれど、数日離れている間に春の姿はもうす

          日々を綴る(26)5月14日

          日々を綴る(25)5月13日

          雨なのに寒さを感じなくて季節が進んでいることを実感する朝。雨に打たれながら自転車で職場へ向かう、悪くない。打ち合わせが続くものの頭がなかなか追いつかなかった。画面越しでは意識が散漫になりがち。そうも言っていられず、しっかり集中しなくてはいけないことだらけなので少し焦る。 「あれは自信のなさの裏返し」という言葉を咀嚼し続けている。 幼い頃の思いどおりにいかないことだらけだった靄のかかった記憶なんていっそ手放せたらいいのにと、基本的にはそう思っているけれど、それが却ってプラスに

          日々を綴る(25)5月13日

          日々を綴る(24)5月12日

          漠然としたよいイメージは抱いていたものの、隣のさらに大きな町を目的地にすることが多かったせいでこれまで通過点でしかなかった町。の、本のある空間をいくつかはしごしながら数時間を過ごす。高台の住宅街、文化施設。不思議な大きな塔が立つ公園へは行きそびれてしまった。今度はそこでキャッチボールをしよう。 最近は午後の睡魔がすさまじい。復路の途中で車を停めて15分ほど目を閉じる。久しぶりに自動販売機で缶コーヒーを買って再びハンドルを握ると、そこからはすっかり元気になった。Podcastで

          日々を綴る(24)5月12日

          日々を綴る(23)5月11日

          2週間前と同じ道を走り、大きな町へ。どこかへ出かけるたびに、自分はここに住めるだろうかと考える癖がある。食料や日用品を買う、カレーを食べに行く、コーヒーを飲みに行く、美術館へ行く、散歩する、ソフトクリームを食べる、病院へ行く、焼鳥を食べに行く。暮らしのことを考えるのは楽しい。 偶然にも斜里でも会える人とタイミングが合い、この大きな町で落ち合う夜。便利すぎるのも考えものだよねという会話をした。自分の向かいに並んで座るふたり、不思議な光景。楽しそうで何より。 久しぶりに落ち着いて

          日々を綴る(23)5月11日