見出し画像

我が子は日本脳炎ワクチン未接種?母子手帳で確認:ファクターXは、日本脳炎ワクチン?:二度のS A R Sに関わって



「二度のS A R Sに関わって」Factor Xは、日本脳炎ワクチン?

元:東京大学医学部附属病院 I C U

現:江戸川病院 H C U部長 大林俊彦

【まえがき】

 C O V I D-19と呼ばれる新型コロナウイルスが引き起こす病態は、いわゆる内地育ちと比べて北海道生まれ(北海道では道産子という)が弱いのではないか?と肌で感じている北海道民はどれくらい居るだろうか?
 今は東京にいる道産子の私には、直接的には分かりかねるが、2 0 2 0 年 4月、道内にいる親戚や友人との電話からは、欧米から変異した武漢株がやって来てからというもの、かなり切実なものとなっていたように思う。
  道産子の弱さが先天的なのかそれとも後天的なものなのかといえば、北海道開拓百数十年程度の歴史を考えると、進化の結果とは、言い難いのは明白である。

【S A R S 2 0 0 3での出来事】
  
私は、元々北海道内で麻酔・救急・集中治療のご指導を諸先輩・同僚に頂き、2 0 0 2年日韓サッカーワールドカップの決勝戦の直前に、ひょんな縁から単身赴任で、新しくなった東京大学医学部附属病院の集中治療部で働く事となった。ワールドカップでは化学兵器などによるテロは起こらず、その後の東京の暑さに閉口していた私であったが、冬には東京の積雪の無いという良さを初めて味わい、少しだけ春を感じ、もうひと夏ぐらい、いいかな、と思いだした丁度その頃である、「ベトナムで新型の重症肺炎」のニュースが飛び込んできた。
 症状や潜伏期があるという経過から、これがウイルス性疾患であろう事は、まもなく容易に推察できた。さらには、これが広東省などですでに多数の患者が出ていたことも報道されてきた。後に言う2 0 0 3年S A R Sである。この時、W H Oのカルロ・ウルバニ医師が同僚あてにメールに書いた「中国系アメリカ人が発症した」という一節が、私にはなぜか、「ああ、このウイルスに対しては、中国本土で育った中国人と比べると、アメリカ育ちは弱いのだな」と受け止めてしまった。ウイルス性疾患の重症度は、私の学生時代、まだ治療薬としての抗ウイルス薬がゾビラックス(抗ヘルペス)位しか無かったので、回復するかどうかは、患者側の免疫状態の強弱で決定づけられてしまい、治療といっても対症療法しかなく、細菌感染のように抗生物質投与で治すというわけにはいかない、と教わっていたからである。つまり、中国本土の公的ワクチン接種制度とアメリカのワクチン接種制度や風土病などの社会的要因や環境要因の差が、彼の患者の運命を決めたのであろうと。この時東京でS A R S患者が発生した時の第1選択は、国立国際医療センターの4床とされた。しかし5例目以降や重症患者発生時に備え、水面下では東大病院I C U内の、当時少なかった人工呼吸器の呼気を室外に排出できるシステムを備えていた陰圧個室で、S A R S重症患者の受け入れ準備を始めていたのである。
 テロ対策で防護服の着用訓練を繰り返していた私達にとって、再び防護服を着る羽目になるのがS A R Sかも?というのは驚きであるとともに、シンガポールで気管挿管処置をした医療関係者(振り返ると二人とも現地育ちではなく、英国人女性?)が、すべからく感染死したことを知り、恐怖へと変わった。
 やがて、台湾医師のニアミスはあったものの、日本ではS A R S確定患者の発生はなく、世界は終息を迎えた。その頃、私にはいくつかの疑問がわいた。中国本土の患者死亡率(6.6%)しかも対岸の広東に限っては(3.6%)、よりも香港での死亡率(17 %)がカナダ(17 %)並みに高かったのである。患者が集団発生した香港のアモイガーデンでは、一時ウイルスが変異し病原性が強くなったのでは?との報道もあったが、そうではなかった。
また、中国本土では、子供の発症は極めてまれで重症化しなかったが、香港では全員回復し退院となったものの、複数の小児が非定型肺炎で入院・人工呼吸管理を受けるほど重症化した。論文報告だけでもS A R Sと確定診断された小児で、マーガレット王女病院とメアリー女王病院で合計5人が集中治療を受け、3人は人工呼吸管理をしていた。また、ウェールズ王子病院では4人が酸素投与を必要とし、他に2人が人工呼吸を受けていた。1.2
 のちに中華人民共和国衛生部副部長だった王隴徳医師は、2 0 0 3年10月の日本医師会主催のS A R Sの講演中で、中国本土では20歳未満はごく僅かしか発病せず症状も軽く済み、人工呼吸を必要とする小児はいなかった。感染者数対百万人当たりは20歳代が7.4と多く(これは看護師など20歳代が多い医療関係者の2次感染者が全体の18.5%のためかも知れないし、政治の混乱で予防接種率が低い世代だったことが影響したかもしれない)、30歳代以上は、ほぼ5人前後で同じであったと報告している。また中国の研究者は、本来気道感染症のリスクが高い子供たちの間で、S A R Sが散発的にしか発生せず、学校や保育施設での流行がないことについて懸念し、北京の児童疾病研究所が保存していた2 4 9人の子供たちの血清についてS A R S抗体検査をした所、陽性率は、1歳以下は54%、1歳から5歳は38%、6歳から14歳及び14歳以上はそれぞれ33%と高めで、驚くべきことにS A R Sが起こる前年や前々年の検体にも陽性反応がみられた事を報告した。一部の研究者は、これが何らかのワクチン注射で生まれたのではと考えているが、さらなる研究が必要と締めくくっている。3.4.5

【ひょっとして日本脳炎ワクチンか?】

 香港やアメリカ・カナダなど欧米で定期接種していなくて、ベトナム・中国本土で実施していたワクチンといえば、日本脳炎である。
 香港ではB C Gについては中国本土と同じく小児期に接種していたが、日本脳炎については定期接種は無く、現在も18歳以上で中国本土の農村部に長期間旅行など滞在する場合に限っての任意接種である。
 一方、中国本土の日本脳炎予防接種は、最初は試験的で小規模な製造・接種で1 9 5 1年頃よりマウス脳細胞と鳥胚細胞由来の日本脳炎生ワクチンだった。1 9 6 8年よりハムスター腎細胞培養由来の不活化ワクチンとなり、北京エリアでは1 9 7 0年から任意接種となった。また、1 9 7 8年に小児へのワクチン接種普及活動が実施され始め、3年以内に全国で計画的なワクチン接種の実施が求められたが、天安門事件の政治的混乱などもあり不活化ワクチンを本格的に接種しだしたのは1 9 8 0年代後半とされている。
 当時の中国での不活化ワクチン接種は生後8か月で2回、翌年1回追加し6歳でもう1回なので、2 0 0 3年当時20歳以下では他の年代と異なり、それなりに接種歴があったはずである。王医師の話とかなり合致する。
 日本脳炎ウイルスが属するフラビウイルス科が、ウイルスの構造分類ではコロナウイルス科と同じ+鎖一本鎖R N Aウイルスであることも、ますます怪しいのではないかと考える一つの理由だった。
 当時、怪しいなと思っていたが、世界はまもなく鳥インフルエンザの問題が沸き上がってきて、いつの間にか私自身も道産子で日本脳炎ワクチンを打っていないことを忘れ去って行った。
 今でも日本ではC O V I D-19を起こすS A R S-CoV-2を、「新型コロナ」の名称でマスコミは取り上げている。しかし、2 0 0 3年S A R Sも最初は「新型のコロナウイルス」による重症肺炎と言っていたのである。

【内地と外地 : ブラキストン線】
 
北海道では、昔も今も、本州・四国・九州地域のことを内地と呼んでいる。沖縄で言うナイチャーと似ていて、内地出身者を「内地もん」と呼ぶこともある。
 北海道と青森県の間の津軽海峡には提唱者の名前をとって、ブラキストン線という動物相の分布境界線がある。これは、北海道は早くから本州と切り離され、樺太を通じてユーラシア大陸につながっていたからと考えられている。同様に、日本脳炎ウイルスを媒介するコガタアカイエ蚊が元来北海道にいなかったので、北海道で日本脳炎患者の発生がなく、ワクチン未接種地域に指定されていたゆえんでもある。

【内地の日本人はコロナ?・COVID-19に強かった??】
 C O V I D-19について、京都大学グループ(上久保・高橋)らは論文で、おそらく武漢以外に広がっていたS A R S-CoV-2のS型が2019年の末から年明けにかけ中国人観光客の入り込みで、既に日本国内にかなり流布して来ており、これがインフルエンザを打ち負かし、インフルエンザ患者が激減したと論説している。6

 そのころ高齢者ばかりが長引く風邪・咳に悩まされていたのだが、若年者は仕事を休むことはあまりなかったのを、皆さんも感じていたのではないでしょうか? 6
 しかし、彼らの言うこの傾向は、北海道だけは全国とは異なりインフルエンザ様疾患の定点観測値が年明け再上昇し、特に富良野保健所エリアでは平年並みに多かった。北海道での定点観測データは必ずしもインフルエンザ抗原陽性例ばかりではないので、多くのS A R S-CoV-2のS型の感染者がすでに含まれていたのではないか?と推測します。そしてこれは、道産子の日本脳炎ワクチン未接種ゆえの悲しい現実なのではないかと。つまり、道産子は若者でもS型で発症していたのではないか?と。
グラフ:インフルエンザ様疾患の定点観測値

全国(北海道含む)
北海道

実際2月中旬には、中富良野町で8歳と12歳の兄弟が熱発入院し、日本で最初のC O V I D-19小学生症例として報告されました。7

富良野

参考*青森県

(こちらはインフルエンザ抗原検出例です)

Infected / million 北海道 東京都 全国

青:北海道    緑:東京   水色:全国

感染者数の経緯:札幌医科大学データより

 2月には検査をするにつれ東京以上に北海道でP C R陽性者数が増えていったのは皆さん周知の事実です。雪まつりで武漢からのL型(のちのG型)ウイルスが入りかけたものの、 これはいったん抑え込まれたのでしょう。 8
 2 0 1 9 -2 0 2 0の年末年始、札幌の元同僚夫婦は岩手出身の旦那は平気だったものの、私と同じ札幌出身の妻と子供たちは質の悪い風邪に罹患していたそうです。また、札幌にいる姉夫婦も、東京育ちの義兄と甥は大丈夫だったのに対し、一人道産子の姉だけが長引く咳の風邪に罹患していました。
 また、何度か中国駐在歴のあった名古屋の従妹夫婦は赴任前には日本脳炎ワクチンの追加接種を国内でしてから赴任したそうで、お正月は一人高齢の叔母だけが長引く咳の風邪に罹患していました。

【北海道でも幼稚園児だけは 内地もん?】 

 上久保・高橋らの論文ではもう一つ気になることがあります。彼らのデータによると道内でも幼稚園だけはこの時期、休園が少なかったのです。それどころか、C O V I D-19患者の発生が多い地方ほど幼稚園児はインフルエンザ様症状を示さなくなっていくという負の強い相関がみられたのです。一方子供でも差があり、北海道の小中高生は中富良野で見られたように、大人と同じように罹患していたのに、である。6

高橋淳教授より借用

 これは、北海道でも2 0 1 6年から3歳児を標準とした日本脳炎の定期接種が始まっていたので、幼稚園児と小1だけは内地と同じようにS A R S-CoV-2のS型に感染しても発症しなかったのではないかと考えています。

【大学生や研修医など20歳前後に感染者が多      いのは、国内での日本脳炎ワクチンの
     切れ目のためか?】

 2 0 2 0年2月下旬、熊本で20歳代の女性がC O V I D-19で重症化しました。この年代は2 0 0 4年山梨県甲斐市の女子中学生が、日本脳炎ワクチン接種後11日目に、A D E M(急性散在性脳脊髄炎)を発症し人工呼吸を必要とするまで重症となったため、重い副反応を心配した厚生労働省が新しい日本脳炎不活化ワクチンへの切り替えまでの間、積極的な勧奨を中止し、結果的に全国的に大幅に日本脳炎ワクチンの接種率が下がっていた年代です。その後、新しく開発されたワクチンが完成するまでの5年間、全国で接種は一時見合され、3期接種の廃止と共に、彼らの9歳時の第2期接種の機会はなかった可能性があります。その後もなぜかこのワクチン切り替えの狭間である20歳代のCOVID-19重症化症例が、他の年代に先行して報告されました。

年代別感染者数(日本)


(NHK公開資料より)

 N H Kの調べによる20歳代の10万人当たりの感染率の突出は、日本特有の事情、日本脳炎ワクチン切り替えの狭間の影響があるものと考えられませんでしょうか?実際、院内感染と思われる医療関係者もこの年代が目立っています。1995年以降は集団接種から個別接種に移行したことも影響していたかもしれません。
 余談ですが実は韓国も日本製の日本脳炎ワクチンを使用していたため、ワクチンの狭間があり、同じような傾向がみられます。

韓国の年代別感染者数 

中国本土(後出)、スウェーデンではそういった傾向はありません。

富山大学_種市尋宙先生公開資料より借用

【そして舞台は、震源地 山梨へ】          

 山梨大学医学部附属病院から、2 0 2 0年3月発症24歳男性の無菌性髄膜脳炎症状のC O V I D-19重症患者が報告されました。4月には、8か月の赤ん坊が罹患して心肺停止で運ばれたのも山梨医大でした。日本脳炎ワクチンは現在6か月から接種可能ですが、標準的には3歳で2回からなので、おそらく接種前でかつ、20歳代の母親も接種を控えていた可能性があるのでは?と考えたりしました。また、4月発症の28歳の力士がC O V I D-19で亡くなりましたが、彼も山梨育ちでした。

【国内での死亡者はワクチン未接種の高齢者層に集中】
 
日本国内では多くの高齢者が重症化し、亡くなっていますが、日本脳炎不活化ワクチンが日本で発売されたのが1954年なので、発売前生まれの66~70歳は66%が未接種で、71歳以上は80%以上に及ぶ事が影響しているとは考えられませんでしょうか。18

厚労省HPより、2020年5月27日時点
年齢/年齢別群の日本脳炎予防接種状況、2018年



【アジアで死亡者が少ないのも、日本脳炎ウイルス汚染と
     ワクチン接種が主役か?もちろん脇役デングも効いていそう】

図では白抜きですが、最近オーストラ リア大陸全般に拡大の可能性が高い。

 Japanese encephalitis – Australia Disease outbreak news 28 April 2022

https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2022-DON365

【日本脳炎ワクチン接種の有無で比較】      

WHO Situation Report   28 May 2020

無い国     死亡率(死亡者/感染者)

インドネシア  6.2%

      (バリ島のみ最近接種あり)

フィリピン   6.0%

      (2018年より一部地域で開始)

北海道     8.0%

      (3-6歳児のみ定期接種あり)

有る国     死亡率(死亡者/感染者)

日本(除北海道)  5,0%

      (不活化ワクチンを3-4回)

韓国       2,4%
(不活化ワクチンを5回、または生ワクチン2回)

中国       5.5%
(生ワクチン2回か有料で不活化ワクチンを4回)

タイ       1.9%
(不活化ワクチンを3回、一部で生ワクチン2回)

ベトナム     0.0%
        
(不活化ワクチンを3回)

スリランカ    0.7%
      
(生ワクチンを1回 生後9ヶ月)

マレーシア    1.5%
(任意接種:生ワクチン2回生後9ヶ月と21ヶ月、
  サラワク州のみ定期接種)

ラオス      0.0%
    
(生ワクチンを1回 生後9-11ヶ月)
2015年ワクチンキャンペーンで成人にも接種か

カンボジア    0.0%
    
(生ワクチンを1回 生後9-11ヶ月)
2016年ワクチンキャンペーンで成人にも接種か

インド       2.9%
(生ワクチン2回 生後9-12ヶ月と16-24ヶ月)
  北部東部の一部のみで最近定期接種化

 カンボジアはC O V I D-19患者が発生して受け入れ先のなくなったクルーズ船をシアヌークビルで受け入れましたが、2 0 1 6年に日本脳炎のワクチンキャンペーンで接種を受けたばかりなのか、国家元首が何の防護策もなく降りてきた乗客に接していましたが、その後も感染者数は少なく死者は出ていないようだった。

余談だが、2 0 0 3年S A R Sでの香港の感染者は、95%が香港在住の中華系で、残り5%は全てフィリンピン人だったとの記録がある。

【T B Eダニ媒介脳炎ワクチンも?か】

(ファイザー製薬HPより借用)

3月に入り、感染の中心は欧米へと移りました。そして、ヨーロッパでもイタリアと隣接するドイツ(南部では幼稚園入園時に接種を求められる)オーストリア(定期接種率85 %)や、チェコ・スロバキア・バルト三国やベラルーシなどロシア諸国について、 日本脳炎と同じフラビウイルス科のT B E (Tick borne Encephalitis)ダニ媒介脳炎ウイルス感染予防に用いられる、ダニ媒介脳炎ワクチンを定期もしくは任意ながら接種している国々が、総べからく死亡率が低く推移している現実に気が付きました。9

【ダニ媒介脳炎ワクチンの有無で比較】

WHO Situation Report   28 May 2020より

  COVID-19死亡率(死亡者数/感染者数)

無い国

フランス  20.0%

スペイン  12.2%

イタリア  14.3%(フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア自治州は有)

有る国

ドイツ    4.7%
     
(任意接種だが南部では幼稚園入園時に接種を求められる)

オーストリア 3.9%(国民の8割以上が接種歴ありとの記載あり)

ロシア    1.1%(3歳よりロシア製のワクチン接種可能とある)

チェコ    3.5% 定期接種

スロバキア  1.8% 任意接種だがかなり積極的勧奨あり。

ベラルーシ  0.5% 詳細不明

リトアニア  4.0% 詳細不明

エストニア  3.6% 詳細不明

ラトビア   2.2% 定期接種

フィンランド 4.7% 任意接種

なお、スウェーデンとの間にある総人口約3万人のオーランド諸島は、ダニ媒介脳炎患者の発生が多かったため、頻回定期接種(40歳以上は5年ごと、60歳以上は3年ごと)が行われている特別な地域で、そのせいなのか、被害がかなり少ない傾向がみられる。

(ロイターのデータから)

 そして前出のブラキストン線で本州と切り離されていた北海道も、同じダニ媒介脳炎を引き起こすロシア春夏脳炎ウイルスが、シベリア大陸からオオカミが運んできたのか?かなり昔から入り込んでいることを知り、少しだけホッとしました。というのも、私自身が小学生の頃、テント泊でダニに喰われた数日後からしばらく、微熱と頭痛が続いたことがあったことから、ひょっとして感染歴があったのかもしれません。ダニ媒介脳炎は北海道勤務時代の1993年に道南で日本初の確定症例が報告され、同じころ擬似症例を経験したことから気が付く事ができたのは、道産子ならではの幸運としか言いようがありません。10

【他のフラビウイルス汚染地も?か】

 さらには、同じフラビウイルス科であるデング熱や黄熱病の汚染地域である太平洋州・南・東南アジアやアフリカ諸国も人口当たりの死者数は低いことにも気が付きました。シンガポールでは最初C O V I D-19に罹患していた患者が引き続きデング熱を発症したり、その逆の症例がありました。11

ブラジルでは直前のデング熱感染者数が多かった地域ほどC O V I D-19感染者数が低い傾向がみられるという発見もありました。

 デング汚染地はパキスタンまでなので、イランで感染が拡大していたのも、このためかもしれません。アフリカ諸国や豚肉を食しないインドネシアなどがかろうじて戦い続けられているのもこれらの感染歴による助けや、黄熱ワクチンの影響かもしれません。特にブラジルは数年前に南東部の都市部に黄熱病ウイルスが侵入したため、都市部の国民に1/5量の黄熱ワクチンを接種して間もなくだったことや、少し前にやはり同じくフラビウイルスであるジカ熱が流行していたこともC O V I D-19軽症化に貢献していたのかもしれません。
 ブラジルも新型コロナ拡大期が蚊の季節だったらデング拡大でコロナ減少が起こったのかもしれませんが、残念ながら冬に向かってしまっていたため被害が拡大したのかもしれません。
 余談ですが、2 0 0 3年S A R Sも雨季が来て、ベトナムで最初に終息しましたが、デング熱に入れ替わったことで現地の人々にとって戦いやすかったからなのかもしれません。そう考えると広東では翌年大流行した日本脳炎に入れ替わっていた可能性も出てきます。

【イスラエルが少ないのもウエストナイルの散発地だから?】

 さらに、イスラエルのように昔ながらに同じくフラビウイルス科、ウエストナイル脳炎患者が多く発生している地域も低い事に気が付きました。
 イスラエルでB C G接種中止前後の年代でのC O V I D-19罹患率に差がなかったとの研究がありましたが、B C G以上にウエストナイルの顕性・不顕性感染歴が効いていると考えると説明が付くのかもしれません。 12


 ポルトガルも北アフリカからの波及なのか、昔から散発的にウエストナイル脳炎患者の発生が報告されており、ヨーロッパのC D Cからの2 0 2 0年の馬やヒトのウエストナイル発症がポルトガルやスペインのアンダルシア、イタリアのサルジニアであるので、そうなのかもしれません。

次図左は、上記ヨーロッパのC D Cの図からイベリア半島を拡大したものですが、右図のL a n c e tに掲載されたスペインでの研究論文13でのSARS-CoV2抗体陽性率が低い地域と一致しています。

ウエストナイル発生地         SARS-CoV2抗体陽性率

 これらの汚染地域では相当数の不顕性感染も起こっているに違いなく、そのことがフラビウイルスワクチン接種と同様、C O V I D-19に対する自然免疫の強化、特に最近は自然免疫も訓練により記憶すると言われているので、感染早期の迅速な自然免疫発動と、細胞性免疫発動に繋がっているのではないでしょうか?

【ウエストナイル脳炎ウイルス汚染で】

WHO Situation Report   28 May 2020より

       死亡率(死亡者/感染者)

イスラエル    1.7%  

ポルトガル    4.3%

【中国本土の21歳以下は生ワクチンが】

中国については、前述に加え1998年からは日本脳炎生ワクチンの量産化に成功し、北京エリアでは2 0 0 7年から、広州では2 0 0 3年S A R Sの終息後に日本脳炎患者が多発したので繰り上げて2 0 0 4年から計画接種化された。2 0 1 3年に全国3 2省における市町村単位での適齢期の小児ワクチン定期接種率に関し多段階での抜き取り調査が行われ、北京、天津、河北、黒龍江省、吉林、遼寧、上海、江蘇、江西、河南、海南では、ワクチン接種率9 0 %以上が達成された市町村の比率は9 0 %以上だったが、武漢のある湖北省、広東省等では、ワクチン接種率9 0 %以上が達成された市町村の比率は6 0 %未満だった。14 

 武漢市では2 0 0 5年から本格的に日本脳炎生ワクチン接種が1 9 9 9年3月生まれ以降を対象に開始され、2 0 1 7年の調査では7歳児の接種歴は9割を超えていた。15.16 

COVID-19年代別感染者数 CDC Weekly / Vol. 2 / No. 8

 A : 武漢    B : 湖北省 C : 中国全土

 したがって上図にあるように、19歳までの発症者、特に10歳代が他の国と比べて極端に少なくなっているのかもしれない。17

【日本脳炎ワクチン自体がアジュバント】

 日本製の日本脳炎不活化ワクチンは、全粒子ワクチンであり、ワクチンそのものが他のウイルスワクチンの効果を増強するというアジュバントとしての性質を持っており、旧化血研が特許を持っています。19
 つまり、日本脳炎ワクチン接種後に何らかのウイルス感染があると、より強く免疫を獲得する可能性があると理解してよさそうで、旧化血研の担当者によると、その力価は2番目に強かったB C Gの3倍以上だったそうです。
 一時期C O V I D-19に対してB C Gがオフターゲット効果を発揮しているのではないか?と流布していましたが、コロナのお隣のウイルスワクチンであるフラビウイルスワクチン(日本脳炎ワクチン・ダニ脳炎ワクチン・黄熱ワクチン)はそれ以上であろうことは想像に難くありません。
ちなみに、最近国内でも認可された、ヨーロッパ諸国で使われているTicoVac:ダニ媒介脳炎ワクチンも、全粒子の不活化ワクチンです。

【自然免疫活性化に引き続く細胞性免疫】

日本脳炎ワクチン接種や不顕性感染で強化された自然免疫があると、よりしっかりした細胞性免疫が確立すると仮定すれば、できた細胞性免疫はより長期にわたって免疫記憶を持つ可能性があります。この日本脳炎ワクチンのアジュバント効果により従来寒い地域で冬に流行していたであろう季節性コロナに対しても、同じように強力な細胞性免疫記憶を残す結果となっていた可能性は想像に難くありません。理化学研究所の藤井眞一郎先生らのチームは、日本人のC O V I D-19に対するFactor Xは、季節性コロナでできた細胞性免疫記憶がSARS-CoV2に交差性があることが要因であると論じていますが、ではどうして日本人がそうなのかという答えは明確ではありません。20
 しかし私は第一には日本脳炎ワクチンではないかと考えています。岩手の奇跡と言われた東北北部がC O V I D-19に当初強かったのは、それほど必要性が高くないにも関わらず、しっかりと日本脳炎ワクチン接種した後で冬に季節性コロナウイルスにさらされる機会が多かったからなのではないでしょうか?岩手県の環境保健研究センターの年報の中で、小児呼吸器ウイルスの疫学に関する研究というのがあり、それによると2017年以降、主要4ウイルス以外の季節性コロナウイルスの検出率が増えてきているとの記載がありました。その担当者に電話で確認したところ、冬に保育所などで子供たちが季節性コロナウイルス風邪のクラスターを作っていて、それが親の世代に波及しクラスターを作っているとのお話がありました。想像するに、これは秋田県や青森県で1995年から数年間ですが、日本脳炎ワクチン接種を要しない地域に知事が指定していた時期があり、一部日本脳炎ワクチンを接種していない季節性コロナウイルスに罹患しやすい若者が、就職などで岩手県の盛岡などに転居し子育てをする親世代になったためなのではないでしょうか?そしてその親世代が子供からのブリッジとして働き、岩手県の多くの30歳前後から40歳くらいまでは日本脳炎ワクチン接種済みでしょうから、季節性コロナウイルスを浴びる機会が多かったため、交差性のある細胞性免疫記憶が確立して数年というタイミングでCOVID-19が侵入してきたので罹患しにくかったのではないでしょうか?
 同様の機序で、日本脳炎ワクチン接種前の乳幼児は繰り返し季節性コロナ感染するでしょうから子育てすることで30代、40代女性や孫の世話をする祖母(時に祖父)年代はC O V I D-19に強くなっていたかもしれません。

同様に兄や姉も、日本脳炎ワクチン定期接種後に、下の子が季節性コロナに罹患した際にウイルスを浴びて、交差性のある細胞性免疫ができていたのかもしれません。そういえば私が遷した可能性のある20歳代のナースは末っ子でした。
 また、最初のころNHKの職業別のデータでは、小学校教師よりも保母さんや幼稚園教諭の方が対人口比の感染者数が低いというデータがありましたが、これらも上記を支持するものと考えられます。

【沖縄について】

 沖縄は返還前は日本脳炎ワクチンやBCG接種はほとんど実施されていませんでした。しかし、西日本ほどではありませんが豚の飼育がされていることもあり、日本脳炎ウイルス汚染は決して低くはありません。米海兵隊の抗体検査では毎年10%ずつ抗体陽性率が上がっていくとの報告があり、過去に発病者もいます。したがって、繰り返し日本脳炎ウイルスにさらされる機会はそれなりにあるものと考えてよいかと思われます。ただし、冬が温暖なため過去に季節性コロナウイルスにさらされたであろう機会は東北地方などと比べると少なく、今回の新型コロナがコロナ初回だったかもしれません。
 それでも致死率は北海道の3-4分の一程度なのは、B C Gに加えて日本脳炎ワクチンや不顕性感染による訓練免疫の成果なのかもしれません。

【自然免疫の訓練と記憶】

 早い段階から、C O V I D-19に対しては、自然免疫と細胞性免疫までで排除できる可能性を示す論文が出ていますが、21世紀に入り、自然免疫にも長期ではないかもしれないが記憶があるのではないかとオランダの研究者を中心に議論されてきています。日本の理化学研究所の吉田先生、石井先生らのチームからは、2 0 1 5年に病原体感染によるエピゲノムの変化の持続が自然免疫記憶の機序ではないかとの研究がなされ21訓練免疫なる言葉も確立しつつあり、B C Gなどのオフターゲット効果との関連も議論されているようです。

【自然免疫の細胞内ウイルスセンサー蛋白】

 自然免疫では、細胞内に入ったウイルスの核酸(RNAやDNA)をRIG-IやMDA5といったセンサー蛋白が認識し、下流のカスケードを活性化しインターフェロン発現を惹起することで抗ウイルス作用を発揮します。北海道大学の山田先生らの研究ではこのRIG-Iは、それ自体、SARS-CoV2のRNAを抱き込むようにして不活化する作用すらあり、もともとのRIG-I発現量がC O V I D-19の病態の強弱に影響しているとも結論付けています。22

 イェール大学の岩崎先生らのチームからは、このRIG-Iを活性化させ抗腫瘍作用が期待されるステムループRNA RIG-Iアゴニストが、マウスの実験で、変異に関係なくSARS-CoV2感染に保護的に働くとの報告すらあります。23

 そして、フラビウイルス科のウイルスもRIG-IやMDA5に認識されるのは同様で、RIG-Iに関しては特に日本脳炎ウイルスが関係していることが他の論文で報告されています。

【抗M D A 5抗体陽性間質性肺炎とC O V I D-19肺炎】

 近年、膠原病の急性増悪時にみられる急速進行性の間質性肺炎について、C O V I D-19重症肺炎症例でもM D A 5抗体陽性例が多くみられることからその類似性が議論されています。24
 2020年9月の第60回日本呼吸器学会会では京都大学呼吸器疾患創薬講座・呼吸器内科学の後藤慎平特任准教授が抗MDA5抗体陽性間質性肺炎はCOVID-19と似ているのではないかと指摘している。
 それより先、C O V I D-19のかなり早い段階で、札幌出身のインペリアルカレッジロンドンの小野昌弘先生は自身の研究チームの論文で、C O V I D-19重症例では制御性T細胞の枯渇が起きていて、自己抗原に対するT細胞応答を誘導し、さらにB細胞レパートリーが全身性自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(S L E)急性増悪と同じであることを指摘していました。  25
 この一節を読んだ時、かつて帯広厚生病院時代に経験したS L EとD Mの両方の部分症状を合わせ持った(当時はM C T D:Mixed Connecting Tissue Diseaseとの診断名)中年女性患者さんの胸部CT画像が、C O V I D-19重症肺炎と大変似ていたことを思い出したのです。患者さんは急速進行性間質性肺炎との診断により重症の呼吸不全に陥ったため、人工呼吸の上、免疫抑制剤に加えS L Eの急性増悪に準じて、当時の旭メディカル社製のS L E用免疫吸着カラムP H – 3 5 0での血液浄化療法を実施しました。何とそれが劇的に効いてアッという間に酸素化が改善したのでした。ひょっとしてC O V I D-19重症肺炎にも効果があるのではないだろうか?と考えたのです。

 【あとがき】

 私は免疫の研究者ではありません。一介の臨床医にすぎません。しかし、2度目のSARSに会し、あの時自分が思ったことを実行しました。すなわち忘れていた自身への日本脳炎ワクチン接種を60歳を前にして初めて受けました。そして2回目接種から1週間後に、休校中の3学期の終業式に2時間だけ久しぶりに登校した娘が同級生から感染し、それから私も感染しましたが、発熱は36.9度と軽く済みました。それでも咳だけは10日以上続き、発症5日後のCTでは肺炎像がありました。

 その後、高齢の義父母を含め、家族も日本脳炎ワクチンの追加接種だけで、オミクロン株では感染しましたが、比較的軽く後遺症なく皆回復しております。コロナ禍の中でも娘は途切れなく祖父母とあったり一緒に旅行したり従前と変わらない生活をお互い送ってきました。祖父母が健康でいられたのも、孫の世話をよくして下さり、娘の涎を平気で肩に浴びていた義父の愛情が、義父母を助けたのかもしれないと思い、ペンを置きます。

 いつか未来の研究者が事実を解明してくださることを期待して。
 令和6年3月吉日

Reference

1.    Severe Acute Respiratory Syndrome Among Children: Chi-wai Leung, Yat-wah Kwan, Po-wan Ko, Susan S. Chiu, Po-yee Loung, Nai-chung Fong, Lai-ping Lee, Yim-wo Hui, Helen K.W. Law, Wilfred H.S. Wong, Kwok-hung Chan, J.S. Malik Peiris, Wilina W.L. Lim, Yu-lung Lau and Man-chun Chiu Pediatrics June 2004, 113 (6) e535-e543; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.113.6.e535

2.    Clinical presentations and outcome of severe acute respiratory syndrome in children.  Hon KL1, Leung CWCheng WTChan PKChu WCKwan YWLi AMFong NCNg PCChiu MCLi CKTam JSFok TF. Lancet. 2003 May 17;361(9370):1701-3.

3.    A lecture of SARS outbreak in China being held under Japanese Medical Association in Oct 2003 (in Japanese) https://www.med.or.jp/kansen/sars/sars150514/index.html

4.    http://www.nhc.gov.cn/wsb/pzcjd/200804/21582.shtml (in Chinese)

5.    http://www.people.com.cn/GB/keji/1057/1949419.html (in Chinese)

6.    Epidemiological Tools that Predict Partial Herd Immunity to SARS Coronavirus 2

Yasuhiko Kamikubo, M.D., Ph.D. and Atsushi Takahashi, M.D., Ph.D. 

Preprint: https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.25.20043679v1

7.    Hokkaido Infectious Disease Surveilance Center

http://www.iph.pref.hokkaido.jp/kansen/501/map.html 

8.    coronavirus cases per population by country https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/japan.html

9.    Cross-Protection Induced By Encephalitis Vaccines against COVID-19 Might be a Reason for Relatively Lower Mortality Rate in Some Countries. Shojiro Katoh, Toshihiko Obayashi, Jegatheesan Saravana Ganesh, Masaru Iwasaki, Senthilkumar Preethy, Samuel JK Abraham. Archives of Academic Emergency Medicine. 2020;8(1): e54

10.  2016年に北海道で発生したダニ媒介性脳炎症例https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2408-iasr/related-articles/related-articles-448/7335-448r10.html

11.  Covert COVID-19 and false-positive dengue serology in Singapore.Yan G, Lee CK, Lam LTM, Yan B, Chua YX, Lim AYN, Phang KF, Kew GS, Teng H, Ngai CH, Lin L, Foo RM, Pada S, Ng LC, Tambyah PA. Lancet Infect Dis. 2020 May;20(5):536. doi: 10.1016/S1473-3099(20)30158-4. Epub 2020 Mar 4.

12.  SARS-CoV-2 Rates in BCG-Vaccinated and Unvaccinated Young Adults:Uri Hamiel, MD1Eran Kozer, MD1Ilan Youngster, MD, MMSc1:JAMA. Published online May 13, 2020. doi:10.1001/jama.2020.8189

13.  Prevalence of SARS-CoV-2 in Spain (ENE-COVID): a nationwide, population-based seroepidemiological study

14.  中国全体と上海市の免疫プログラム比較張倩上海市嘉定区CDC(感染症予防コントロールセンター) 予防接種プログラム部門公衆衛生医師https://www.huffingtonpost.jp/zhang-qian/compare-vaccine-policy_b_10982252.html

15.  https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766182http://www.docin.com/p-1580274313.html&dpage=1&key=%E4%B9%99%E8%84%91%E6%80%8E%E4%B9%88%E6%B2%BB&isPay=-1&toflash=0&toImg=0

(in Chinese)

16.  http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-FBYF201802013.htm  (in Chinese)

17.  http://weekly.chinacdc.cn/en/article/doi/10.46234/ccdcw2020.032

18.  Ministry of Health. Labour and Welfare, Japan. Coronavirus Disease (COVID-19)

Situation Report in Japan. Tokyo: Ministry of Health, Labour and Welfare, Japan. (in Japanese)

19.  JPWO2009147980A1.pdf (storage.googleapis.com)

20.  Kanako Shimizu, Tomonori Iyoda, An Sanpei, Hiroshi Nakazato, Masahiro Okada, Shogo Ueda, Miyuki Kato-Murayama, Kazutaka Murayama, Mikako Shirouzu, Naoko Harada, Michihiro Hidaka, and Shin-ichiro Fujii, "Identification of TCR repertoires in functionally competent cytotoxic T cells cross-reactive to SARS-CoV-2", Communications Biology, 10.1038/s42003-021-02885-6

21.  Yoshida K, Maekawa T, Zhu Y, Renard-Guillet C, Chatton B, Inoue K, Uchiyama T, Ishibashi K, Yamada T, Ohno N, Shirahige K, Okada-Hatakeyama M, and Ishii S., "The transcription factor ATF7 mediates lipopolysaccharide-induced epigenetic changes in macrophages involved in innate immunological memory", 

Nature Immunology, doi: 10.1038/ni.3257

22.  Yamada T, Sato S, Sotoyama Y, Orba Y, Sawa H, Yamauchi H, et al. RIG-I triggers a signaling-abortive anti-SARS-CoV-2 defense in human lung cells. Nat Immunol (2021) 22(7):820–8. doi: 10.1038/s41590-021-00942-0

23.  Mao T., B.Israelow, C.Lucas, C. B. F.Vogels, M. L.Gomez-Calvo, O.Fedorova, M. I.Breban, B. L.Menasche, H.Dong, M.Linehan, et alYale SARS-CoV-2 Genome Surveillance Initiative. 2022. A stem-loop RNA RIG-I agonist protects against acute and chronic SARS-CoV-2 infection in mice. J. Exp. Med. 219: e20211818.

24.  Margherita Giannini, Mickael Ohana, Benoit Nespola, Giovanni Zanframundo, Bernard Geny, Alain Meyer:Similarities between COVID-19 and anti-MDA5 syndrome: what can we learn for better care? European RespiratoryJournal 2020 56: 2001618; DOI: 10.1183/13993003.01618-2020

25.  Bahire Kalfaoglu , Jose Almeida-Santos , Chanidapa Adele Tye a , Yorifumi Satou c , Masahiro Ono :T-cell dysregulation in COVID-19

Biochem Biophys Res Commun. 2021 Jan 29; 538: 204–210.

Published online 2020 Nov 7. doi: 10.1016/j.bbrc.2020.10.079

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?