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10年経過した自家製の瓶詰めを開封した話

私にとって、保存食は身近なものだった。
祖母の家に行くと、漬物や干し柿のような、何かしらの保存食が出てきた。
その家には、梅の木が2本生えていて、収穫となると、それはもう一家総出の手仕事としてワイワイしていたし、そこから梅干し、梅漬け、梅酒を作るのも趣深い作業だった。

上京し、一人暮らしを始めた頃には、洒落込んだ保存食にも手を出した。
乾燥イチジクのラム酒漬けやナッツの蜂蜜漬けを作っては、パンに乗せて食べたり、黒糖+生姜のシロップを作っては、ジンジャーエールやお酒の割材として呑んでいたり。
乾燥イチジクや生のナッツは、アメ横をぶらついて買い、生姜は高知から5kg取り寄せたことも良い思い出。
釣りに行っては、釣れたイワシをその場で片っ端から手開き、凧糸で目刺にして干して、洗濯物のように持って帰り、調理したオイルサーディンを瓶に詰めた。

妻と付き合い始めた頃、今年も季節になったなと思いながら、スーパーで衝動買いした梅のヘソを一緒にほじくって、アパートで梅酒を漬けた。
実現はしなかったが、河川敷で若いクルミを収穫してイタリアの食後酒、ノチーノ?ノニーノ?を作りたいと話したこともあった。
よくもまあ、こういったことに付き合ってくれていたと思う。
感謝しかない。

前置きが長くなったが、私は特に、瓶詰め作りが好きだった。
しかし、就職して仕事は忙しくなり、生活がおろそかになると、瓶詰めを作ることはほぼ無くなった。
結婚して、妊活や子育てが始まる頃には、作り置いていたものも含め、見向きもしなくなった。
仕事を辞め、家の整理を始めたら、発掘した保存食の数々。
ホコリがついていた瓶たちを手に取り…
まだ食えるのか?食えないのか?勇気を持って、恐る恐る、そんなやつら(10年モノ)の開封の儀を行った。

結論は、駄目。
瓶の蓋が、腐食していた。
アルコール系の漬物は腐食が顕著で、錆のニオイが漂う。
砂糖系の漬物は腐食していないものの、香りに元気がなかったので、結果的に両方へサヨナラを告げた。

砂糖は結晶化しており、手を突っ込むとハリハリボンバーを食らって負傷するので、お湯でゆっくり溶かしていった。

この話からの教訓は、長期保存とは言っても、自家製のものは短期間で食べた方が良いということと、アルコール系は金属蓋の腐食が強いので、蓋の材質が要であることだった。

落ち着いたら、また瓶詰めを作る生活がしたい。
今度は、子供と一緒に、収穫した梅のヘソをほじったりするのだろう。

そんな生活となるよう、修正を図っていきたいところ。


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