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人に信じてもらえぬ辛さ

2014/6/14 記
 それじゃ今日もシャブに関する話を。
 ここにくる前に小田原の留置場にいた夏のこと。
 俺は運動場に1番近い1室に2名で留置されていた。
 すぐに同室のお爺さんが出て行き俺一人になると、部屋ではエアコンの音が壁に跳ね返り、ハウリングを起こしていることに気がついた。
 ブーンという長い音が強くなったり弱くなったりの波長を繰り返す。
 俺はこういうのが非常にストレスになり、眠るどころか本さえ読めない。
 若い留置係に言うと、
「ああ、ごめんなさいね、」
と言って裏の方へ行くと、音はぴたりと止んだ。戻ってきてその担当は、
「建物が新すぎて密閉度が高くて鳴るんだ。だから裏の窓を少し開けることになってるんだ」と言った、
 音がする時としない時の理由がこれでわかった。
 ところが数日後のある夜、また音が響き出した。
 泊のジイさん担当に話をすると、どうもなんのことかわかっていない。
 どこかの窓を閉めてしまったろ?とか、詳しく音の説明をしても、人のことを疑った顔で、エアコンの下まで行き、
「何も聞こえないよ。ここではエアコンの調節はできないから。」
 と、めんどくさそうに言う。
 そう言うことを言ってるのではないのだ。
「そこでは音はわからない。部屋の中で共鳴してるんだから」
と言っても全く通じず、挙げ句の果てには人の顔を上目遣いに見ては
「あんた覚醒剤で捕まってきてる人だよね」
 と言ったてきた。
 これにキレる俺は間違ってるか?
 人の言ってることを頭から信用せずにこのいいグサ。
 「なんだこの野郎、幻聴だって言いたいのか?」
となるわけだ。
 大騒ぎしたために、翌日から1番反対側の8室に一人移された。
 音のしない部屋で俺としては助かったが、あいつの態度がまだ許せない。
 やがて出勤してきた若い担当が、その説明を皆の前でまた始めると、ジイさん担当は俺のところまで来て謝った。
 
 怒りは治らないが、やはり覚醒剤というと、知らない人はこういう話にまともに取り合ってくれないのかもね。
 世間から見た覚醒剤に関わる人間の評価とはこんなものだ。

PS
あの時は気狂いのようになった。
しかし、昔のノートをこうして読みながら活字にして行くと、やなこと思い出す方が多いな。
思い出すとムカムカする。

(写真)パソコンの訓練にバスで通ってるのは俺一人だった。雪の日の通学は辛かったな。

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