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【東京物語】斯斯然然

先週、東京は桜が満開になった。

ラジオを聴いていると、こんなに遅い開花は13年ぶりだったそうだ。

本当は桜の名所に行きたかったけれど、季節の変わり目と時差ボケでまだあまり体調が万全でない。

それにXを覗いていると、ゴリたちが思ったより凄い人出だったよう。

そうか、ここは東京。


東京に来てから、アメリカに初めて行った時くらいの発見がある。

コロナで日本全体にいろいろな変化があったのかもしれない。

5年間、ゴリが仕入れる日本の情報はXからだったので少しネガティブだった。

けれどいざ帰ってみると、ありきたりな言葉だけど「東京は進んでる」と思うことが多い。

保守的なアメリカの田舎よりも多様性を感じる場面もある。

昨日、こんな話を夫がしてきた。

その日、夫は初めての出張(都内某所)に出かけた。

打ち合わせの時間までカフェに入ったそう。

両隣のふたりがとても対照的で面白かったのだそう。

片側にはピシッとスーツを着た中年の男性。

なにやらパソコンをたたきながら文句ばかり言っていたのだという。

どうも部下が作った資料に目を通していたようだけど、その文句が部下を侮辱しパワハラワードばかりでいたたまれなかったそう。

「部下の出来が悪いのは、上司の自分が悪いって公表しているようなものだよ」

と、ビジネス書みたいなことを言うじゃないか。
(読んだことないけど)

「そっか~!そのおじさんはいかにも昭和の感じだったんだね」

昭和の人に叱られるかも。

一方でもう隣の青年は、大学生くらいの年齢で素朴な感じだったのだという。

しかし、電話をしていた様子を見た限り銀行との融資のやり取りをしていたのではないかという夫の推理。

言葉の端々から聡明さがにじみ出ていたと。

おそらく起業をするのか、しているのか。

最近、若い方がどんどん起業しているというのはXで見たことがあるけれど…ゴリの周りにはとても見かけない光景。

「その人、すごいね!東京にはそういう人が少なくないんだろうね」と話していた。

続けて夫は「その対照的な光景から感じたのは、どちらにしてもみんな一生懸命働いてるんだなって安心したんだよね」と言う。

夫曰く、東京は基本的にどこへ行っても何時でもスーツを着て仕事をしている人を見かけると。(賛否は置いておいてゴリも同感)

「一生懸命働いてもいい安心感」があるのだという。

すごくユニークな言葉だった。

たしかにアメリカ時代は日本で馬車馬のように働き、仕事第一だった夫からすると物足りなかったのかもしれない。

忙しくて大変なのかと思っていたけれど、もしかして夫が本来は身を置きたい環境とのズレがあったのかもと思った。

ゴリもスタバの気分なのに、違うカフェしか空いてなかったらストレスたまるもんな…(なんか違う)

そう思い返すと彼はアメリカ時代に「やりたいことができない」と何度かつぶやいていた気もする。

ゴリは夫の仕事を完全には理解できないけど、東京での仕事は本人も「自分が得意な分野かも」と思えてるような気がするし、話をするときに少しワクワクしている気がする。

このタイミングで東京に来られたことは、夫にとってよかったのかもしれない。

さて、そんな夫の話を聴いていてゴリも思い当たる節があった。

東京の人はなんとなく「意識が高い」と思っていたからだ。

週末、カフェに行ったり図書館に行ったりしても必ず勉強をしている人がいる。

学生さんだけではなく、社会人と思われる方たちだ。

席で単語帳や資格の本を開いている人が必ずいいる。

どこにでも勤勉な人はいるけれど、ゴリが歴代赴任してきた地域ではお昼のカフェは主婦と思われる方のお茶会やランチの光景が多かった。

東京でもその光景は見かけるけど、スタバ然り日中でもパソコンでなにか作業をしていたりお勉強されている方もかなり多い。

あ!ゴリが赴任してきた先の地域は、ランチでも職場から出ることが少ない職種の方が多かったり、車社会だったという特徴もあるのかもしれない。

とはいえ、いままでとは人の流れが違うというか時間の使い方に多様性がある。

意識が高い

ありきたりだけれど、東京ではそんな言葉が浮かぶ。

夫が言った「頑張っても変じゃない環境」なのかもしれない。

それまでゴリがいた環境は「別にがんばらなくていい環境」とか、駐妻時代に限っては「頑張ったらちょっと心地が悪い環境」という特殊な場所だった。

色々な場所を経験してきた。

思えば遠くに来たもんだ。

とはいえ、頑張りすぎても疲れちゃう。

都会疲れとはそういうことなんだろうか。

どっちのほうが自分の肌に合うのだろう。

これからわかるんだろうか。

駐妻界にいたので、環境の大切さは身をもって学んだ。

残念ながらいつも最適な環境を選べるわけではないので、そういう時にどうしたらよいのか随分と悩んだ5年間だった。

答えは…実はまだ出ていない。笑

どうしたらいいんだろうね。笑

ウダウダと考えていたら赴任が終わった。

環境って自分次第って思ってて、抜け出せないんじゃなく抜け出したくないんでしょって感じだったんだよね。

でも斯斯然然あり抜け出せない(しづらい)環境も世の中にはあるって学んだ。

ゴリは自分じゃ環境を変えるパワーがないので、日本人村から脱出するための転勤制度に初めて救われた。

神転勤、神辞令だった。笑

そんな感じで、東京よ!ゴリの意識を引き上げてくれ!

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