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コラム:極端な思想はなぜ生まれるのか

人はみな個々の問題を抱えている。それらの問題の根本的な原因はさまざま。自分自身にその原因があることもあるが、それを真正面から受け止められるほど人間は強くない。つい原因を外に求めがちだ。一部の人は、親のせい、学校のせい、社会のせいで自分の人生は悪くなったと考えがちだ。

若い頃は悩みが多い。とかく極端な思想に影響されがちだ。かつて、学生運動に身を投じた人も、オウム真理教に入信した人も、その多くは若者だった。正義のためには危険を顧みない行動は、若さゆえの湧き上がるような情熱と人生経験の少なさからくるものだろう。

集団や組織の求心力を高めるのに、最も効果的な方法は仮想敵を作ること。ISISやタリバンのようなイスラム系のテロ集団は、アメリカを中心としたキリスト教社会を徹底的に批判し、組織の構成員を洗脳する。洗脳された者は、崇高な目標の前に、自らの命を捧げることも厭わない。傍から見れば、自爆テロ行為は無差別殺戮にすぎず、何の正義もないことは明らかだが、実行犯にとっては聖戦(ジハード)と思い込んで、喜んで死んでいく。

なぜ、多くの人がこのような罠にはまっていくのだろうか。多様な価値観を認めない社会、貧困、その人のパーソナリティなど様々な要因が考えられる。

最も大切なことは、若者をこうした状況に追い込まないために、人生にとって大切なもの、誰にも侵されない価値観の領域を持つことが大切だ。

怒りや憎しみは何も生まない。

次の世代に何を受け継いでいくべきか。経済合理性に縛られない多様な価値観、スピード重視からの解放など、大人が教えるべきことは多い。

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