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ちびたの本棚 読書記録「彼女が言わなかったすべてのこと」桜庭一樹

2019年から2024年の5年間が描かれているパラレルワールドもの。もう一方の世界とLINEでやり取りができるのが今風だ。
今回の桜庭さんの本は最後まで読めた♪桜庭さんは欠かさず読むのだけど、中には何となく合わないのがあるのよね😓

波間と同級生の中川は、ある時二つの世界が交錯して再会する。最初は互いの世界の細々とした違いを楽しんでいたが、次第に一方ではパンデミックが起り、オリンピックは延期され、長い猛暑が続く。
つなぐのはLINEだけ。もう一つの世界に生きる相手の辛い気持ちに、ただ耳をかたむけることしかできない。

身近な友人や家族より、かえって見知らぬ人や自分の今の状況を詳しく知らない人に対しての方が、心の内を素直に話せることがあると思う。
本当に苦しいことをあえて伝えないことで、相手を思いやることになったり、同時に自分の気持ちに冷静に向き合えることもある。

洗いざらい苦しいこと悲しいことを話さなくても、音楽や映画や身の回りの些細なことを語り合うことで、辛くて固くなった心が軽くなる。
波間と中川の二人はそんな関係だ。

コロナの緊急事態の頃について書かれているものを読むと、異常な状況だったと改めて思う。今ではあの時の精神状態をほとんど忘れかけているけれど。もしかしたら忘れたいのかもしれない。

主人公は30代。会話の中に意味が分からない言葉が幾つか出てきて、ネットスラングを検索しちゃいました😅

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