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一つ、凪 第08話

自伝的小説「一つ、凪」第08話

富士野竜輝くんの年金問題が深刻だ。
富士野くんの作品上の名前は
「竜が輝く」と表記するのだが
「竜の騎士」と表記していた時期もあった。
(竜輝と竜騎、今後、どう使い分けていこうか?)
後者は変身する正義のヒーローと重なるので
権利的に使いづらいネーミングである。

彼は、両親の強い勧めで、
障害年金を受給しながらも
国民年金を納付するスタイルを採用している。
今し方、ネットで検索したら
納付額は16,410円とあった(平成31年)。
彼の話では4,000円足りないと言っていたので
工賃は約12,000円台だと計算出来る。
1カ月間ヘトヘトになるまで働いて
午後からは、夜間学校にまで通って貯金額は0円。
(寧ろマイナス収支になっている現状)。
恐らくは老後に苦労させまいという親心なのだが
働き盛りの今に、こんなに苦労してもいいのだろうか?
そもそも、彼が受給している障害年金とは
心身に障りがあっても希望を持って生きるための
最低限の原資であると俺は考えている。
作業所の弁当代さえも借金している現状を鑑みて
継続B型から継続A型に移行してから納付するとか
スタイルを違えないと気持が圧し潰されてしまうのでは?
家庭の方針には口が出せないが、俺が彼の親だったら
老後の安定と現在の安定を図る案を採用すると思う。
俺たち夫婦は上手く人生設計出来ている?

風が冷たい。心の隙間に冷やりと入り込む。
非情なる暴風、凪ぐ予感など微塵も与えず。
吹き曝しの中で、溜息までも掻き消した、現代社会。

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