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妖の唄

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呪符師『麒麟』の不思議なオムニバス形式の物語。 過去作3つありますが、こんな世界観で遊んでくれる方募集。 スピンオフも大歓迎✨ なんなら妖しいお話でもありあり(笑) 『タイト… もっと読む
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#妖の唄

「妖の唄」〜実話に基づくたヒト編 3〜

「妖の唄」〜実話に基づくたヒト編 3〜

前回までのお話しは、こちら↓

父が優しい陰の人なら、母は頑張り屋さんで働き者の陽の人だった。
私の耳が聴こえないと分かった時、母は藁にもすがる思いで色々な病院を駆けずり回り、効くと言われれば高価な水を買い、胡散臭い宗教へも幼い私を連れて軒並み顔を出した。もちろん直ぐに騙されたと気付いたそうだが。
先天的な聴覚障害が治らないと分かると今度は私のろう学校へも一緒に通学するようになった。。家の中で母だ

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妖凛のクリスマスの朝

妖凛のクリスマスの朝

金曜日から土曜日の朝迄しこたま食べ、麒麟との事も有り、日曜日の休日の凛は胸いっぱいで独りでケンタッキーをウーバーして自宅に引きこもり、思い出してはキャーキャー言いながらベッドへダイブして居た。

そして明日はまた麒麟ウォッチングが有るからと、ストーキングの時にもいつ出会えても良いように!と、念入りに全身の保湿をして眠りに着いた。

朝5時過ぎ、凛は麒麟の気配で目が覚めた。
とうとう妄想レーダーが働

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妖の唄─屋台おでん『闘魂』

妖の唄─屋台おでん『闘魂』

屋台おでん『闘魂』
妖怪達が贔屓にしている
この店に幼児が二人。

ふーふーとおでんの
ウィンナーを冷ましている。

貧乏神共も、静かに様子を
眺めてながら
チビチビと酒を傾ける。

「おお!チビ共!」
ニコニコと地獄酒の壺を振りつつ
遠くから声をかけているのはコン。

仕事後なのだろうか
妖艶な姿で微笑んでいる。

コンに気づいた貧乏神のジンは
背中を丸め、ゆっくりと
座敷童の後ろへと移動した。

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妖凛のクリスマス作戦

妖凛のクリスマス作戦

イルミネーションが街を覆い、金曜日の夜は零時近くてもカップルやドライブをする車、忘年会で出来上がった人達で溢れかえって居た。

凛は珍しく麒麟に会えなかった為に帰宅してからクリスマスケーキをストレス解消法とでも言う用に焼き上げデコレーションした。

しかし、出来上がった時間は既に深夜。
この時間に流石に麒麟の自宅へ凸するだけの思い切りは無かった。

ふと凛はおでん屋の源さんは明け方迄お店を開いてい

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妖凛の年末年始推し活

妖凛の年末年始推し活

何となく日の浅い凛にすら、師走に入ってからの他の妖達の動きが忙しないのが伝わって来ていた。

凛は相変わらず妖の仕事内容や関わるべき境界線の学び、自分達のテリトリー、その他覚える事がいっぱいなのと、一日一度の麒麟ウォッチングで一日があっという間に過ぎていた。

この前の麒麟さんの朝食、マジ尊かったな~。
しっかし、あれを経験してしまうと欲望を抑えられないってもんよね。
うーむ( ¯ᒡ̱¯ )

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妖の推し活と進展

妖の推し活と進展

麒麟さんが源さんと仲良くしっぽりとおでんをつついていた時、眠る前の推し活時間として彼女は近くのビルの屋上でファミチキを食べていた。

コンビニのジャンクフードは24時間体制でマジで神だ!そう思いながらコーラと一緒に飲み込む。

彼女は薄らとだが、自分が他の妖から名前で呼ばれた事が無い事も、妖になる前の僅かな記憶からでさえも自分の名前が分からなかった。

麒麟さんに自分を認識して欲しい。
でも、自己

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妖の唄~推しに生きる妖~

妖の唄~推しに生きる妖~

最初自分が妖に成れたと気付いたのは死んだはずの自分が動いて居て、尚且つ誰にも見えて居ない事に驚いた日だった。

異世界転生とやらか?と、頭を悩ました所で気が付けば隣にサングラス姿の麒麟と名乗る生きていた頃には出会った事の無いイケおじが座って妖について説明してくれていた。

恋に落ちるのは一瞬だった。

しかし、妖の仕事も与えられる内に忙しくなり、麒麟の事を影からこっそり見るのが習慣となっていた。

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