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妖の唄

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呪符師『麒麟』の不思議なオムニバス形式の物語。 過去作3つありますが、こんな世界観で遊んでくれる方募集。 スピンオフも大歓迎✨ なんなら妖しいお話でもありあり(笑) 『タイト… もっと読む
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#妖

妖の唄ー闇の捕食者に闇の裁きをー

妖の唄ー闇の捕食者に闇の裁きをー

事務所で煙草を吸いながらほくそ笑む男、『飯塚伸次』は自分を救世主だと思っていた。

もはや誰も金を貸してくれない人達へ手を差し伸べるのは私だけなのだから……。
『貸した』のだから、『返して』くれよ。どんな事をしてもな。

どんな事をしても返してもらった。
身体の一部を金に変えたり、
風呂に沈んでもらったり、
海に沈んでもらったり、
問答無用だよ。

いつしか……。
事務所が妙な臭いが立ち込めるよう

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妖の唄ー出来損ないの死神に鎮魂歌をー【sanngoさんコラボ】

妖の唄ー出来損ないの死神に鎮魂歌をー【sanngoさんコラボ】

今、ひとりの心優しい死神が逝った。

偽の宣告書を掴ませられ、残酷に逝った。血にまみれた優しい死神に泣き崩れる美鈴の元に現れる黒いスーツの男。

美鈴は間近に居るその男の気配を目に映るまで気付かなかった。

「だれっ!?」
「麒麟と申します。立派でした。犬という生き物は受けた恩を決して忘れないと言います。転生という鎖に縛られてもなお、貴女を守ろうとした」
泣く美鈴。

麒麟は怒っていた。
かつてな

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妖の唄ー妖が鬱ろう刻ー

妖の唄ー妖が鬱ろう刻ー

夕暮れ時。
逢魔が時へと踏み込む瞬間。
ふと、妙な気分になったことはありませんか?

それはきっと。
あなたの後ろへ忍び寄って来ているのかもしれません。

秋深し。
街はひと足早めの冬支度を始める気配。
道端には落ち葉。
それを吹き上げる秋風。
街並みを行く人々。
その街並みで、『稲生彰史』は尋常ならざる疲れと苛立ちに襲われていた。

度重なる仕事のミス。
それに次ぐ残業。
更にはその残業のため、

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