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sanngo
2024年1月18日 10:30
前回までのお話しは、こちら↓父が優しい陰の人なら、母は頑張り屋さんで働き者の陽の人だった。私の耳が聴こえないと分かった時、母は藁にもすがる思いで色々な病院を駆けずり回り、効くと言われれば高価な水を買い、胡散臭い宗教へも幼い私を連れて軒並み顔を出した。もちろん直ぐに騙されたと気付いたそうだが。先天的な聴覚障害が治らないと分かると今度は私のろう学校へも一緒に通学するようになった。。家の中で母だ
2023年12月21日 14:58
父は優し過ぎるくらい優しい人だった。その優しさが、あんな結果を招いてしまったのかもしれない。私が生きている父に最後に会ったのは、父が自ら命を絶った年のお正月だった。久しぶりに帰郷した私を精一杯のご馳走でもてなしてくれた。母が居ないお正月は寂しかったが、今思えば運命が父と二人きりで過ごす最期の時を作ってくれたのかもしれない。あの年、日本を襲ったコロナでその後は帰りたくても帰れない状況になってしま
2023年12月19日 14:59
私の友人の実話です。繊細な部分にも触れますので職業、場面設定、年齢等は変えてあります。でも起こった事は出来るだけ忠実に書きたいと思っています。「妖のうた」〜実話に基づくヒト編 1〜「今まで、ありがとう…」まるでそう言うように父は最期に店の中を見渡したらしい。らしいと言うのは、父の両親、私の祖父母に聞いた話しだからだ。祖父母は早朝に階段を下りて来て、自宅の中にある店舗の前で立ち止まった
2023年12月17日 17:23
「因果な商売についちゃったよな…」ビュービューと冷たい風が吹き荒ぶ古い病院の屋上でレオは煙草をふかしていた。デコボコになったむき出しのコンクリートの床が建物の古さと朽ち落ちていく物の哀愁を感じさせる。此処は旧病棟ビルで、もうすぐ取り壊しが決定している。入院患者達は新しいビルの方へ既に移転していて、後は事務関係の書類を運び出す段になっていた。だから、煙草を吸っても文句を言う奴はいない。いや