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『タタール人の砂漠』とローズの芳香蒸留水が熱帯夜の入眠儀式になった話

書店で『タタール人の砂漠』という小説に出会った7月のある日。
今夏、あまりの暑さ続きで外出する気も失せ、家にこもりがちになり、毎日閉塞感と暗鬱な気分が続き、とにかく気分がよくない。そんなときに、久しぶりに「おおっ!」と目を引く本に出会った。

表4の帯文句を目にして、ものすごく読みたくなってしまった。

タタール人……タタール人……そう、もちろん最初はばかげた話に思える、だが、そのうちに信じ込んでしまうんだ、少なくとも大勢の者がそれを信じたのは事実だ

ブッツァーティ(作)・脇 功(訳)『タタール人の砂漠』(岩波文庫)帯・表4

どうですか、おもしろそうじゃないですか? 本文の内容が知りたければアマゾンかなにかで確認してもらうとして、この本が熱帯夜の入眠タイムの楽しみになったという話。

私が本を読むのは、だいたい夜寝る前。この小説は非常に淡々と話が進み、退屈と思う人もいるかもしれない。けれど、このときの私の精神状態には合っていた。淡々と描かれる、ある砦に居着く者たちの物語と光景のイメージが頭に心地よい余白を与えてくれるようだった。

これだけでも、ふーっと眠りに入れてしまうのだが、さらにローズアルバの芳香蒸留水をたっぷりめにシートマスクに含ませて顔にオンする、というのも同時に試してみた。

ローズの芳香蒸留水は、精油とはまた違ったフレッシュさを感じる香りで、ふわっとリラックスできる。冷却作用もあるので暑い夜にうってつけ。ローズの香りを嗅ぎつつシートマスクでひんやりしながら、淡々としたストーリーを読み進めると、心がフラットに、静寂になった。

心なしか翌朝の目覚めもよく、睡眠の質が高まったと思う。気持ちよく眠れてしまうおかげで進みが悪く、7月に買った本をまだ読み終えていない。






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