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佐渡 原始杉の聖域へ

古の昔、神の槍より七番目に落ち出た佐渡ヶ島。北の斜面の烈風・豪雪が人を拒ばみ風衝地となる。その原始林の高層エリアは巨杉群の聖域となった。希望したコースが、富山の震災の時に佐渡もだいぶ揺れたらしく、一部が影響を受けて閉鎖。別のコースからのアタックとなった。
 準備万端。ガイドの岡崎良介さんに案内されて、いざ原始林を目指す。北アルプス・穂高のギャレットの様な鎖場も何ヶ所か有った。ようやく着いた新潟大学の演習林。そこは原始林。圧倒的なその情景にしばし足が止まる。ガイドの説明に耳を傾けながら、都会で迷子になった子供の様にキョロキョロと目を回す。が、言葉にならない。
適当な言葉が見当たらない。世界の密林を見てきた天野尚氏が言葉を失くす程の原始林の真ん中にこの瞬間「今」のみが存在する。森の永遠の時の記憶の中に「今」小生も存在し、時の流れに存在する事が出来た。息をするのをしばらく忘れた。
涙目になるほど瞬きをしなかった。息を飲むなんてない。興奮が辺りの咲き乱れる高山植物を無視し、杉の存在だけが上回る。

原始林


根回りは15mを超える


巨杉群


密集する水楢(みずなら)


天野 尚さんの写真展でその姿を世に露わにした。
佐渡 原始杉「金剛杉」幹回り8.68mと
「鬼杉」幹回り8.40m。精悍である。


聖域には幹回り8mを超える巨杉がまだまだ沢山有ると思うが原始林を荒らす事に繋がるので控えて欲しい。


1500〜2000年間沈黙し続けて森は静粛で海風の行き過ぎる音が轟々と聞こえていた。長い時間、人目に触れずに息をひそめその存在を知らせていなかった聖木。神社の境内などでは御神木とされている妖精・精霊の棲む様な巨樹が密集している聖域は私の心を鷲掴みにし、離れなくなってしまった。ナチュラリストとして感無量である。

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