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愛する彼女が男装したクラスメイトにベタ惚れだったので惚れ直させるタイマンバトル。[後編]

先生「そしてここの係助詞が文末の係り結びに、、、、、」


授業が始まってからようやく15分が経った。

さっきから先生の話している内容が信じられないほど意味不明だ。

ただでさえ苦手な古文が全く頭に入らない、今度の定期テストも赤点濃厚かな。


ピコンッ


〇〇「っ?!」

先生「おーい、スマホの電源は切っとけよ〜。」

〇〇「、、、すんません。」


自分の定期テストが死んだことを考えていたら、ポケットにしまっていたスマホが通知音を無機質に鳴らした。

おかげで先生から注意されるし、クラスメイトはちょいちょい笑ってるし、、、

とりあえずスマホを消音モードにして通知を確認してみよう。


『きらこ』からメッセージが届いています


〇〇「、、、、、、」チラッ

増本「ふふっ、、、、、、笑」クスクス

〇〇「、、、、、、」イラッ


よし、あいつブロックしよ。

そう思ってトーク画面を開いたところ、矢継ぎ早にメッセージが送られてきた。


きらこ💬「やりましたね」

きらこ💬「田村さんが〇〇さんの方見て笑ってました」


〇〇💬「ぶっ飛ばすぞ?」


きらこ💬「まあ落ち着いてくださいよ。
     お話ししたいことが2つあったので。」


〇〇💬「2つ?」


きらこ💬「1つは先ほどのタイマンについてです」

きらこ💬「そして私的には2つ目の方が重要です」


〇〇💬「なに?」


きらこ💬「あとで課題見せてください」

きらこ💬「今日の放課後までに提出するやつです」


〇〇💬「はいはい、、、」


きらこ💬「あとこの作戦には玲さんと天さんの力も必要なので4人のグループを作っといてください」


翌日。


田村「え?またコスプレ大会するん?」

山﨑「そうなの〜!
   あれから私たちがちょっとハマっちゃってね?」


俺は背中越しに4人の会話を聞いていた。

ついに増本が計画した作戦が始まったらしい。


増本「まあ〇〇さんきっての」

大園「そっ!そうなんだよね〜!」

山﨑「綺良は少し黙ってて、、、
   あとでひかるも呼んでくるからさ!」

田村「えっ!ひかるくんも来るんだ、、、///」


いやうちの彼女、どんだけ森田にハマってんだよ!

まだ何もやってないのに"くん"付けで呼んでるし、、、

あと増本が余計なこと言いそうで怖い。


増本「あと幸阪の代わりに〇〇さんも呼びましょう。」


田村「え?なんで〇〇?」


大園「そっ、、、それはほら!
   今日も茉里乃ちゃん休みだし、代わりに!」

山﨑「うんうんっ!
   男の子もいた方が防犯的にもいいし!」



早いって、俺の話題出すの、、、

それに山﨑のしてる言い訳もよく分かんないし。



田村「、、、なんかよう分からんけどええよ!」

増本「決まりですね、森田さん呼んできましょう。」

大園、山﨑「「はぁ、、、、」」


田村「??」


兎にも角にも増本の作戦は成功した、、、、、たぶん。

増本が俺の方に向かって小さくグッドポーズしてるけど大園と山﨑は疲れ切った顔、、、

あいつらには何か奢ってお詫びしよう、、、


数日前、とあるグループトークにて。


てんてん💬「このグループなにー?」

おーぞの💬「〇〇くんが追加してくれたみたいだけど、、、」

〇〇💬「急にごめんな、詳しくは増本から頼むわ。」



俺は少し前、増本に大園と山﨑と俺を含めたグループを作ることを指示されました。

そして今は学校が終わり、みんなで話し始めたところ。



きらこ💬「ようやく集まりましたね、みなさん。」

きらこ💬「今日は〇〇さんの恋路を応援するためにこのグループを創設しました。」

〇〇💬「どストレートに言うなよ、、、」


てんてん💬「あっ、保乃ちゃんのこと?
      そういや最近はちょっとね、、、笑」

おーぞの💬「それでか!」



なんか俺の悩みが周知の事実みたいになってて恥ずいんだけど。

まあいいや、とにかく話を進めないと。



きらこ💬「皆さんにお願いしたいのは森田さんと田村さんをもう一度コスプレパーティーに誘うことです!」


てんてん💬「そしたらどうすんの?」


きらこ💬「2人がやるのはそれだけです。
     あとは〇〇さんの仕事ですね。」


おーぞの💬「へぇ、、、タイマンだっけ?やるのって」


〇〇💬「まぁ、、、」


きらこ💬「ここは〇〇さんのアドリブ力が試される場面でもあるので頑張ってくださいね?」


時は戻り、山崎宅。


田村「なんか珍しいな〜。
   〇〇がこういう誘いに乗るのって!」

〇〇「たまにはね、、、」


山﨑の部屋に上がらせてもらい、もふもふのカーペットの上に腰を下ろす。

客観的に見れば男子高校生1人に女子高生が5人という夢のような状況ではあるけれど、今の俺からしたらそんなものはどうでもいい!


森田「茉里乃ちゃんは大丈夫?体調とかさ。」

増本「さっき連絡とりましたけど元気そうです。
   たぶん来週には学校に来れそうだって。」

森田「そっか、良かったね〜♪」

山﨑の勉強机の椅子に座りながら増本に話しかけている森田。

実際に見たことはないけど、男装したらどうなるんだろ、、、


田村「……///」

チラッと隣を見ると保乃はすでに森田の方に視線を送りはじめていた。

どんだけの衝撃だったんだか、、、


山﨑「それじゃあ先にひかるね!
   この前は最後で嫌がってたから!」

森田「はいはい、、、笑」



森田は「しょうがないな」という気持ちを見せつつ、本当は「自分もやりたかった」という気持ちの見える笑顔を浮かべた。

そして山﨑の部屋を出て別の部屋へ。


、、、、、、俺はノールックでスマホを操作してとあるメッセージを他の3人に送る。


大園「あっ。」
山﨑「よしよし、、、」


2人はスマホの画面にメッセージアプリのアイコンが見えたことで察してくれたようだ、、、2人はね。


ピコンッ‼︎


増本「あれ、〇〇さんどうした」


〇〇「えっ?!」

山﨑「あー!わー!!」

大園「綺良ちゃん!あとでお菓子あげるから!」


田村「??」


しっかりと通知音を鳴らしながら、しかし差出人の名前を読み上げてくれた増本。

何とか2人が空気を読んで場を取り繕ってくれたけど、、、


山﨑「そっ、、、それよりさ!
   さっき買い忘れたのがあってさ〜!」

大園「あっ!そういえば私も、、、」


2人が俺のメッセージを合図に軽い小芝居をしてくれている。

そう、ここで俺、保乃、森田だけの空間にするという手筈だ。



増本「へぇ、、、そうなんですね〜。」


〇〇「は?」


増本「それなら私のお使いも頼んでもいいで」


山﨑「ほら綺良いくよっ!」グイッ


増本「え?」


大園「はい綺良ちゃん、私たちと行こうね〜」


増本「え??」



頭にハテナが浮かんだままの増本を2人が無理やり連れ出してくれて部屋は無事に俺と保乃の2人だけになった。

さて、ここからが俺の試練だ、、、


田村「みんなどうしたんやろな?」

不思議そうに俺の顔を見つめてくる保乃。

なんだか久々に真っ直ぐ顔を見れたような気がして何だか嬉しい、、、


〇〇「そうだね、、、」ギュッ

田村「ふぇっ?!」

〇〇「そんな驚かなくても良いじゃん?」グイッ

田村「そっ、、、ここ天ちゃんの部屋、、、///」

〇〇「関係ないから。」

田村「もぉ、、、///」ギュッ


最初は遠慮がちだった保乃も少しずつ俺に近づいてくる。

何だか久々にイチャつけてる気がするわ///

山﨑には悪いけどちょっとだけ2人の時間を、、、


森田「あれ?もう入って良いの〜?」


外から森田の声がしてきた。

どうやら先日の制服衣装に着替えたようです。

俺は保乃を抱き寄せたまま森田に声をかけた。


〇〇「いいよ〜。」

田村「えっ!ちょっ…///」


ガチャッ


森田「あれ、やけに静かだと、、、え?」

どうやら他の3人がいないことは気づいてたらしいが、俺らがやってることには気づいてなかったようだ。

おぉ、、、実際に見てみると男ながらカッコいいと思う。

俺は無意識的に保乃を抱き寄せる力を強くした。


森田「人の部屋で何やってるの、、、笑」


少し笑いながらさっきのように椅子に腰掛ける森田。

、、、、、カースト上位の座り方で。


田村「もっ、、、森田くん、、、、、///」


気づいたら保乃の視線が森田に釘付けだし。

ふぅ、、、ここからは恥じらいに負けない俺のメンタルに掛かってるぞ。


〇〇「、、、、、、保乃?」

田村「ん?なんや?」


〇〇「はぁ、、、、保乃は俺しか見ちゃダメだよ?」


田村「ふぇっっ、、、///」

ボンッと音が出るくらいに顔が真っ赤になった保乃。

よしよし、、、クソほど恥ずかしいけどいい調子だ。

ここで森田が降伏とか拍手とか。

最悪は鼻で笑ってくれるだけでもいいから、手を引いてくれることが狙いなんだけど、、、


森田「、、、、、、保乃ちゃん。」ガタッ


椅子から立ち上がり、保乃の右に座っている俺とは逆サイドに座り直す。



森田「保乃ちゃんは僕のことが嫌いなの、、、?」


田村「ひゃっ、、、///」



、、、、、、最悪。

森田の良いところである"ノリの良さ"が最悪なタイミングで引き出されてしまった。


田村「そんな、、、2人ともどないしたん、、、///」


〇〇「いやちょっとね、、、」

森田「好きになってくれた人を手放すのもね〜、、、」


田村「えっ、、、えぇっ?!」


適当に時間を潰して帰ってきた3人は、、、、、


山﨑「あの2人大丈夫かな〜?」

大園「ひかるちゃんにかかってるかな、、、」

増本「2人もお菓子食べます?」


少し遠めのコンビニでお菓子なんかを買い、〇〇達が待っている部屋に逆戻り。

正直、この作戦をやることに不安しかないけど、、、、、


山﨑「ふぅ、、、それじゃ覗くよ?」

大園「なんか緊張するね、、、」

増本「普通に入ればいいんじゃないですか?」

山﨑「2人がラブラブしてたらどうするの!
   いや私の部屋だからそれも嫌なんだけど!!」


山﨑、大園、増本の順で縦に並び、ドアの前にスタンバイ。

妙な緊張感に包まれながらドアノブに手をかけ、開けると、、、、、




森田「僕の方が保乃ちゃんを幸せにできるから。」

〇〇「は?馬鹿みたいなこと言うなよ。
   保乃は俺が一生かけて幸せにするんだからさ。」

森田「いやそれ僕の役割だから。
   保乃ちゃんはずっと僕の隣だもんね?」


田村「もぉ、、、やめてくれへん、、、、、、///」カァァッ


山﨑「イケメン2人に挟まれてる、、、」

大園「なんかホストクラブみたい、、、、、、」

増本「でも田村さん、すごい幸せそうですよ?」


「「「、、、、、、、、、///」」」


大園「なんか照れるね、、、///」

山﨑「うん、、、ちょっと綺良!押さないでよ!」

増本「天さんが前のめりすぎるんですよ。
   大沼さんですかってくらいに。」


この後、山﨑のお母さんが仕事から帰ってくるまでバトルは続きました。

その瞬間に俺と森田はトリップ状態からようやく正気を取り戻した、、、


田村「あぅぅ、、、、、///」


保乃は茹でダコのごとく顔が赤くなったまま俺に連れられ帰宅しました。


帰り道。


すっかり暗くなってしまった歩道を2人並んで歩く。

点々と設置されている街灯とぼんやりとした月明かりでようやく彼女の綺麗な顔が見える。


田村「、、、、、、///」

〇〇「、、、、、、///」


2人ともさっきまでの出来事が強く頭に残ってしまい会話が続かないんだけど、、、


田村「なっ、、、なぁ、、、、、///」

〇〇「なに、、、」


沈黙が続いてから約10分、ようやく保乃が会話のきっかけをくれた。

少し足を止め、月明かりの下で向かい合う。


田村「さっきの、、、
   保乃を一生かけてってやつ、、、ほんまなん?」

まだ火照りが治っていない顔。

落ち着かないのか両手を胸の前で組んだり離したり。


〇〇「、、、、、マジだけど?」


田村「っっ、、、///」


〇〇「高校卒業しても、社会人になっても。
   俺は保乃と一緒に、、、その、、、いたい、、、///」


俺もまだカッコつけ気分が抜けてないのか、こんなセリフが出てくる。

もちろん本心には違わないんだけど。


田村「ほっ、、、保乃もっ!!」


〇〇「えっ、、、?」


田村「保乃もずーっと〇〇と一緒にいたいっ!」ギュッ


月明かりの中で2本の影が重なった。

そして数分間、1本の影は揺らぐことなく重なり続けていた。

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