49.あの日からお父さんは、僕に怯えた。僕がおはようと言うと目線を下にずらし、転げたビールの空き缶を拾う。「正、気を付けてな」と、お父さんは僕の背中に向けて言った。朝日が眩しい。愛とは何なのだろうかと歩きながら通学途中に考えていると、犀川の顔が浮かぶ。犀川のくしゃっとした笑顔だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?