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立山 大自然への畏怖の念を抱く

友人に誘われ立山に向かった。標高2400mにあるみくりが池温泉一泊の旅。
雪を被る美しい北アルプスの山々をいつか間近で見たいと、ずっとどこかで思っていた。何年か前に上高地に行った時も、河童橋周辺から目の前に見えるそれは美しい山々の姿に息を呑んだ。

幼い頃に見たアルプス少女ハイジの舞台、アルプス山脈の様子。あんな高くそびえる山々の麓で暮らす様子に憧れたのは私だけではなかったと思う。

富山に入り、想像以上に高くそびえる山々を目の前に、私は心惹かれる感じを再確認した。

もうわかっていた。目の前の雄々しく、美しく、不動な山々の姿。そう、そういうものに心惹かれているのだと。

今回は登山はせずに、標高2400mにあるみくりが池温泉宿に一泊した。そこで、私は移り変わるいろんな山の表情を間近に見させてもらった。

到着した日はお天気、風もなく、最高の登山日和。山々がくっきりと見える。
みくりが池の水面は本当に鏡のよう。美しい山々の姿がそのまま水面に映し出されていた。日が沈むと赤く染まっていく様は息を呑むほど美しい。

宿に向かう左手には地獄谷からガスが噴き出す。それはこの山が火山であることを思い出させてくれる。こんなエネルギーの高い場所に、今夜は寝泊まりさせてもらうのだ。

間もなくして山の上に現れた三日月はシルバームーン。まるで遠い森で狼が遠吠えしそうな夜が始まった。

すっかり夜になると、一転して風が吹き始め、黒く厚い雲が山々を覆い隠した。聞こえるのは風の音だけ。深い闇が現れる。明日は天気が崩れる。

みくりが池温泉のお湯は源泉掛け流し。正真正銘の温泉だ。地獄谷でガスが噴き出している様を思い出しながら、お湯にゆっくりと浸かった。

翌朝は前日の快晴から一転して、辺り一面雲で覆われ冷たい雨が降り出した。私達が宿を出てバスターミナルに向かう頃には雨は雪に変わった。前日のあのみくりが池の鏡のような水面は、今日はもやの中、全く見えなかった。

無事にバスとケーブルカーを乗り継ぎ立山駅に降り立つと、紅葉で色づく山の様子が出迎えてくれほっとした。

今回は一泊二日の短い滞在だったけど、移り変わるいろんな山の表情と自然の様子をみさせてもらった本当に貴重な経験だった。写真でよく見る美しい風景だけでない、もっと厳しいもの。畏怖の念を感じずにはいられないものだった。










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