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東京デビューは不調          マリアム・バタシヴィリさん ピアノリサイタル

2024年5月15日
浜離宮朝日ホールにて

Program

コンサートの感想を書くとき、それも来日公演となるとできるだけ良いことのみを書きたいと思う気持ちがあるのですが、今回は備忘録の中の事実としてここに書き残したいと思います。

Artistのリサイタルでこのような苦痛を味わった一夜は久しぶりでした。

来日後体調不良により東京都交響楽団との公演をキャンセルしたとのことで恐らく本調子ではなかったのだろうとは推測致しますが、私共にはどれくらいのどのような体調不良だったのかもわからないですしホールのお知らせでは回復したとあり、そしてお金を取って舞台で演奏するArtistにとってそのようなことは言い訳にしか過ぎません。

Programはモーツァルトのソナタ18番、リストのハンガリー狂詩曲2曲、シューベルトの即興曲作品90全曲(作品142から曲目変更)、ショパンのバラード1番でした。
アンコールはリストのハンガリー狂詩曲第2番でした。

彼女は暗譜に不安があったのかそれとも準備不足だったのか、この夜は驚いた事に楽譜を見ながらの演奏でした。

それは譜面台に楽譜を置くのではなくピアノの中へ譜面を置いて見ながら弾いているのですが、奏者が弾きながら自ら譜面を急いでめくるので、その度にバサバサとかなり大きな音がこちらへ聞こえてきておりました。
譜面をめくる音が度々聴こえてくる…、それは聴衆も集中力を欠きますし、バサッと譜面をめくる音は何より大変不快でした。

それに2ページめくってしまったりして演奏が止まりそうになったり、わからなくなってミスタッチする…
演奏はペダルを踏み込んだままが多くて音色はぼやけてしまいどのように、何を表現したいのか、その曲の方向性や最終地点はどうなっているのか?
申し訳ないが私には最初から最後の曲まで理解不能だった。

我々はリハーサルを見に来た訳では無いのである。

Encoreを聴かずに帰った人もかなりいたが、幸いにも最後のEncoreだけは彼女の十八番だったこともありこの夜の一番良い出来栄えだった。
暗譜で弾いてましたし…

私はこの方が好きでこれまで幾度となく配信で聴いてきており、感動的なリサイタルも多かったのでこの日をとても楽しみにお伺いしました。それだけにとても残念でした。

『ピアニストは暗譜出来なくなったら引退するべき』これは私の師匠の言葉です。
まだお若いので今後の復活を期待します。