塵箱

現実では研究職とかしながら、だいたい休日の1/4はテニスしてます。グミと音楽がちょっと…

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現実では研究職とかしながら、だいたい休日の1/4はテニスしてます。グミと音楽がちょっと好きです。

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2023年 空

塵箱
6か月前
17

斜陽

アパートの階段を登る時、暗がりに転がる枝が、甲虫の脚のように見えた。よく滑る廊下で仰向けでもがいている甲虫をひっくり返して助けていたのが、ついこの間のことのよう…

塵箱
1日前
3

夢の景色を追いかけて

ずっと、夜の隅田川を歩いてみたかった。いつか見た夢の中の景色が存在するのか、確かめたかったから。 土曜日、ちょうどその機会を見つけた。上野で人と会って、秋葉原を…

塵箱
3日前
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2024年 空

塵箱
13日前
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自分の在り方を一変させたとは言わないまでも、どこかしらへ方向づけるに十分な変化をもたらした、あのコロナ禍で見たものと感じたことについて、いつか落ち着いて、自分の言葉にしなければいけない。ずっと考えている。それがいつになるか、というのは今でもちょっと分からないが。

塵箱
13日前
3

今日も空だけは綺麗だったけれど、少なくともこんな色では無かった。自分に見えている色を表現するだけでも、程遠い。

塵箱
2週間前
3

吐露

会いたい人も話したい人もいない。やりたいことも行きたい場所も無い。もっと正確に言えば、思いつかない。 果たして自分は、一体何がしたかったのか。

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塵箱
2週間前
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日陰歩き

人と会いに行ったのに、人が来なかった。人生、そんなこともある。 少し不貞腐れた自分は、当てどなく街を歩き出した。どこへ向かうのか、果たして今どこにいるのかすら分…

塵箱
2週間前
9

iPhoneで写真を撮る時、自分の見たものと色が違ってしまっていることに気づいた。自分の記憶に限りなく近づけたけれど、もっと、柔らかな色だった。

塵箱
2週間前
7

春も薄れて

春が春らしさを徐々に失い、心は少しずつ落ち着きを取り戻してきた。けれど気がついてみればそこは、やはりただの空虚だった。 もう春の夜を思い出すこともない心では、週…

塵箱
3週間前
5

最近夢を見なくなった、というより、夢の中で希望的なものを思い描けなくなったね。

塵箱
1か月前
5

ふと気がつくと、書いたものをいつも読んでくれていた人がnoteから消えてしまっていて、取り戻しようの無い空白が自分の中に生まれた感じがした。けれど、いや、どうかどこかで元気にやっていらっしゃると良いな。

塵箱
1か月前
3

4月も終わる。春の春らしさは少しずつ和らいで、頭も落ち着いてきた。

塵箱
1か月前
6

路地裏

最近、もう全部諦めても良いだろうか、と思える理由を探して積み重ねているような感じがする。 梅雨を先取りしたような日だった。日が出れば暑く、曇り空で日焼けした肌は…

塵箱
1か月前
7

雑記:外出(都内)

駅前。 まだオープンしてもいないカフェのテーブルに、何故か食器だけが整然と並べられていた。まるで虚構の世界のようで、終わってしまった世界のようだった。 電車に揺…

塵箱
1か月前
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散文(春)

3月の初めから続いていたアパートの外壁工事は、ようやくひと段落した。防風ネットが取り払われ、久しぶりに外の景色が見えるようになったが、何の変哲もない、いつもの景…

塵箱
1か月前
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斜陽

斜陽

アパートの階段を登る時、暗がりに転がる枝が、甲虫の脚のように見えた。よく滑る廊下で仰向けでもがいている甲虫をひっくり返して助けていたのが、ついこの間のことのように思われたけれど、いつかの夏は遠く過ぎ去り、もう次の夏が目前に迫っている。一年が経つのか。

驚くほど当たり前に過ぎては巡ってゆく季節の中、何一つ変わっていない自分だけが円の中心に取り残されている。目の回るようなスピードで巡る人たちを、ただ

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夢の景色を追いかけて

夢の景色を追いかけて

ずっと、夜の隅田川を歩いてみたかった。いつか見た夢の中の景色が存在するのか、確かめたかったから。

土曜日、ちょうどその機会を見つけた。上野で人と会って、秋葉原を散策している時、時計は18時前後。今日なら確かめることが出来る、とそのまま歩いて隅田川へ向かった。

「東京」という名前の割には、人もまばらで、車通りも少ない道を歩いてゆく。ただ田舎と違うのは、左右に連なるのが木々ではなくコンクリートのビ

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自分の在り方を一変させたとは言わないまでも、どこかしらへ方向づけるに十分な変化をもたらした、あのコロナ禍で見たものと感じたことについて、いつか落ち着いて、自分の言葉にしなければいけない。ずっと考えている。それがいつになるか、というのは今でもちょっと分からないが。

今日も空だけは綺麗だったけれど、少なくともこんな色では無かった。自分に見えている色を表現するだけでも、程遠い。

吐露

会いたい人も話したい人もいない。やりたいことも行きたい場所も無い。もっと正確に言えば、思いつかない。

果たして自分は、一体何がしたかったのか。

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日陰歩き

人と会いに行ったのに、人が来なかった。人生、そんなこともある。

少し不貞腐れた自分は、当てどなく街を歩き出した。どこへ向かうのか、果たして今どこにいるのかすら分からない道。時折、駅の名前を見つけてしまうと、少しがっかりした。

変に魅力のある脇道を見つけた時、方向を見失うとぐるぐると同じところを回ることになるかもと、一瞬、大通りを外れることを躊躇ったが、今日はただ自分の心に自由になりたくて、自由

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iPhoneで写真を撮る時、自分の見たものと色が違ってしまっていることに気づいた。自分の記憶に限りなく近づけたけれど、もっと、柔らかな色だった。

春も薄れて

春も薄れて

春が春らしさを徐々に失い、心は少しずつ落ち着きを取り戻してきた。けれど気がついてみればそこは、やはりただの空虚だった。
もう春の夜を思い出すこともない心では、週末の予定も、毎晩の夢も、憂鬱すらも、自分で思い描くことができなくなった。
ただ、外界からの刺激に反応するだけの死体となっている。死体は動かないか。まあいいや。

そろそろマズいかもしれない、とぼんやりと思う。
最近、交友範囲を徐々に狭めてき

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最近夢を見なくなった、というより、夢の中で希望的なものを思い描けなくなったね。

ふと気がつくと、書いたものをいつも読んでくれていた人がnoteから消えてしまっていて、取り戻しようの無い空白が自分の中に生まれた感じがした。けれど、いや、どうかどこかで元気にやっていらっしゃると良いな。

4月も終わる。春の春らしさは少しずつ和らいで、頭も落ち着いてきた。

路地裏

最近、もう全部諦めても良いだろうか、と思える理由を探して積み重ねているような感じがする。

梅雨を先取りしたような日だった。日が出れば暑く、曇り空で日焼けした肌は今もまだ熱を帯びている。
午後は門前仲町まで足を延ばした。大通りは混み合って雑多な印象だったけれど、一つ裏道に入れば、小さくて静かな街が広がっていて好感を持たせた。小さな個人店が並ぶ裏道の景色に、いつかの北千住を思い起こして少し心がきゅっ

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雑記:外出(都内)

雑記:外出(都内)

駅前。
まだオープンしてもいないカフェのテーブルに、何故か食器だけが整然と並べられていた。まるで虚構の世界のようで、終わってしまった世界のようだった。

電車に揺られながら、学部時代、「木材と人間」という講義があったことを思い出していた。
「例年、秀を取れるのは受講者の10%程度」と説明のあった講義で、秀を取れたことを少しだけ自慢げに思っている。同時に、どうして高い評価を取れたのか、少し不思議だ。

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散文(春)

3月の初めから続いていたアパートの外壁工事は、ようやくひと段落した。防風ネットが取り払われ、久しぶりに外の景色が見えるようになったが、何の変哲もない、いつもの景色だった。当たり前である。

これが終わればきっと、といつも何かに期待する。この春が終われば、この仕事が終われば、コロナ禍が終われば。実際、何かが明けたところで待っているものなどなくて、そこはただの空白だった。これがずっと待ち望んできた景色

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