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TRILL、夜明け前

delyの井上(@gomesuit)です。前回の記事からほぼ1年ぶりの投稿になります。

上記ではこれからCTOとして取り組もうと思っていることを書いていますが、まだ何一つできていません(すいません)。記事を書いた直後にTRILLに異動し、この1年間、TRILLのプロダクト開発に100%コミットしていました。

2020年にTRILLのバックエンド/インフラのリプレイスを担当していた時期がありましたが、2021年10月からは未来に向けたプロダクトとしての新たな価値づくりという側面で開発に取り組んできました。

今日に至るまでに組織のグローバル化やレコメンドシステムの開発などにチーム全員で取り組んで来ましたが、最近ようやくプロダクトの成長の兆しを感じるようになりました。

今までTRILLのプロダクトについてほとんど情報発信ができずにいましたが、TRILLが近い将来、日の目を浴びることを信じて、これらの取り組み内容について開発チームで書いていこうと思います。この記事はその一歩目になります。

なぜTRILLへのコミットなのか

TRILLは2019年にdelyのプロダクトとなってから現在までに、月間利用者数5,500万人を超えるまでに成長してきました。当時は2,000万人だったことを考えると、改めて見てもとてつもない伸びだなと思います。組織面や技術面など様々な課題がありましたが、これらを整理し、再スタートを切ったのが2021年です。

2021年以降は将来的なクリエイターエコノミーの実現を目指すべく、UGCプラットフォームへの挑戦をはじめ、新たな価値づくりへフォーカスし開発を行ってきました。

delyの中ではクラシルだけでなくTRILLも大きなポテンシャルを持っており、技術面及び開発組織面で更に成長を加速させるため、自身のリソースをTRILLへフォーカスすることにしました。

TRILL開発組織のグローバル化

TRILLの開発組織はこの1年で急拡大をしています。今年に入ってから組織のグローバル化を進め、2022年8月時点でのTRILLのエンジニアは半数がグローバルメンバーになりました。

TRILLエンジニアの人数推移
TRILL開発組織

自分がTRILLに異動した後にまず最初にフォーカスしたことはエンジニア採用です。ほぼ同時期にグローバリゼーションチームが発足されたこともあり、TRILL開発組織とグローバリゼーションチームはほぼ二人三脚状態で採用及び組織のグローバル化を進めてきました。

delyで最初にグローバルメンバーを受け入れたのは大竹さん率いるコマース事業部ですが、TRILLの開発組織には英語を流暢に話せるメンバーは1人もいませんでした。

自分ももちろん話せませんでした。それどころか中学生の頃から英語に苦手意識を持っており、10年前に受けたTOEICの点数は350点、それ以来英語には全く触れてません(読むだけならツールを使えば事足りますよね・・・)。

そんな状況ではありましたが、組織のグローバル化を推進するための専門チームのサポートが受けられるという、これまでにない程の恩恵がある中で、いま前進しないのであれば一体いつ進めるんだという考えのもと、意思を持って突き進むことになります。

選考は通訳のサポートを受けつつ実施していますが、日本人のエンジニア採用とは様々な点で違いがあり、外国籍エンジニア採用ならではの見極めやアトラクトが必要になるため日々改善を進めました。

採用、受け入れ、開発体制において、言語の壁国ごとのカルチャーの違いなどグローバル化特有の課題があります。またTRILLの開発組織としては組織の急拡大も重なっているため、同時に押し寄せる強風がチーム全体に負荷をかけている状況でした。そんな状況ではありつつ、メンバー全員の努力もあり一旦はなんとか乗り越えたかなという状況です。

個人としては、英語学習のサポートをしてもらい、日常会話程度であれば英語でできるようになりました。とはいえ英語でのディスカッションをするには不十分であり、目標設定・評価のタイミングにおいては通訳をお願いする必要があるなど、改善の必要性を感じています。これはもう自分自身との長い戦いだけどやるしかないなと。

また、グローバルメンバーを受け入れていくに当たり、様々な懸念がありました。特に開発体制に絞って考えたとき、言語の壁により社内受託状態になること、それだけは避けたかったため、TRILLにおけるグローバル化の理想状態を可視化しました。

グローバル化の理想状態

また、上記を実現していくための英語化の難易度をシチュエーション毎に分け2年間のロードマップを立てました。

英語化ロードマップ

現在は開発関連のドキュメントは英語で作成、Pull Requestでのやり取りも英語になっています。MTGも英語中心で進めたいのですが、日本語がかなり入ってしまう状況であり、ここはロードマップにもとづいて改善していけるよう日本人メンバー各々が英語学習を進めている状況です。

ここに到達するまで様々なことがありましたが、結果的にはグローバル化への挑戦によりTRILLのプロダクト開発速度は飛躍的に向上しました

グローバルメンバーを含めたプロダクト開発についてはTRILL PdMのkobaさん(@kazkobay)が今後話してくれる予定です。

レコメンドシステムの開発

最後にレコメンドシステムについて話そうと思います。

現代のUGCにおいてレコメンドはあって当たり前のものになっていると思います。TRILLももちろん例外ではなくUGCをやる以上、レコメンドシステムに力を入れていくことがユーザへの価値につながると考えています。

レコメンドシステムというと、「=機械学習」というイメージがついてまわりますがフェーズによってはルールベースによるシンプルなロジックを使うべきタイミングもあります。機械学習はデータからモデルを生成する手法であるため、精度を上げようとすればするほどコストがかかる特性を持ちます。そのため、コンテンツ数、ユーザ数、売上等の事業上の計画にもとづいて導入タイミングを検討すべきものであると考え、その関係性を可視化しました。

精度とコストの関係性

TRILLにおいても、初期からいきなり機械学習を導入すると費用対効果が見合わなくなり、事業との兼ね合いがとれなくなると考え、最初はルールベースによりコストを最小限にしつつ結果を出すことが、長期におけるレコメンドシステムへの正しい投資につながると考えました。

また、レコメンドシステムを開発・改善していくにあたって、データ分析、レコメンドシステム、ルールベース、機械学習、データ基盤などの各要素がどのような関係にあるのかを可視化しました。

レコメンドシステムを実現するための各要素の関係性

そして直近数ヶ月のルールベースによるロジック継続改善の結果、レコメンドシステムへの改善がユーザ価値向上に繋がっていることを明確にすることができました。さらなる精度向上のために、レコメンドシステムへ投資が決まり、現在は近い将来の機械学習導入を目指しています。

既存のアーキテクチャでは機械学習のPDCAを回すには適していないため、基盤側の将来像を可視化し、順次改善を進めていく予定です。

データ基盤、ML基盤の将来像
改善フェーズ

これらの進捗や、ロジック周りの話はまた別のタイミングでバックエンドチームリーダーのやすおさん(@yusuke_yasuo)やグローバルメンバーのAllanさんが語ってくれる予定です。

最後に

組織のグローバル化とUGCへの挑戦、大変なことは多いですが、だからこそ超えた先にあるものは大きいですよね。ショート動画&UGCという、競合が多くかつ強力な布陣が既にあるこの領域に切り込んでいく、一見無謀にも見えるこの挑戦。面白いと思いませんか。

この成功を信じて、一緒にこの大きな山を登ってくれるメンバーを募集しています!(PdM / iOS / Android / バックエンド [データ / インフラ / ML] / UI/UXデザイナー)

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