①『ごまどうふ屋になるまで』
じいちゃんばあちゃんの石本商店 年に一度か二度、顔を見せてお小遣いを貰いに行くだけの場所。それがぼくにとっての、じいちゃんばあちゃん家でした。
そんな、じいちゃんばあちゃんが営む店の名は『石本商店』。ごま豆腐の製造販売に加え、日用品・金物雑貨を扱う、小さなお店です。
敷地内には作業小屋があり、家族はそれのことを工場(コウバ)と呼びます。工場から出てくるじいちゃんは、いつも胡麻の良い香りがしました。
工場では、じいちゃんが忙しくごま豆腐を作り、お店では、ばあちゃんがお