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過去の自分、凄いな(福祉職でよかったと思ったエピソード)

※個人を特定できないように加工しています。

地域包括支援センターで働いていた時のエピソード。

夫婦二人暮らしの世帯で、奥様の介護のことで、夫(以下、Aさん)が相談に来られていました。

一人で介護をすることに限界を感じられていたようで、医療や介護の制度に関すること、配食サービスなどについても情報提供して関わっていきました。

数か月後に、奥様がなくなられ、挨拶にも来てくださいました。
Aさんは心身ともに自立状態の方だったので、そこから関わることはなくなりました。

数年後、地域の方から相談が入ります。

「最近、Aさんの様子がおかしい。足腰も弱くなっているし、もの忘れが進行しているように思うので、関わってほしい。」
とのこと。

久し振りにAさんにお会いするが、どれだけ状態が変化されているか、心配になりながら、地域の方と自宅へ訪問しました。


最初に、地域の方が
「Aさん、地域包括支援センターの方が来てくれたよ。介護の相談乗ってくれる」
と伝えてくれました。

私も乗っかって「久しぶりです」と言おうとしたところ、Aさんから

「介護の相談?大丈夫です。困ったことがあったらテリーさんにお願いするので」

と仰いました。

その期待されてる私が来たとなったら、さぞ喜んでくれるのではないかと期待して、

「お久しぶりです。そのテリーです。奥様の時に関わらせていただいて以来ですね。体調、いかがですか?」

と声をかけました。

そうすると、Aさんから思わぬ返答が。

「あんたがテリーさんのはずがないやないか!テリーさんはな、妻と二人で困っていた時に一生懸命、相談に乗ってくれて色々してくれはった人や。あんたなんかがテリーさんのはずがない」


・・・。
数年経っていたとはいえ、私の外見はそこまで変わってなかったと思います。
もの忘れの進行を実感するとともに、強引に私を認識してもらうことよりも仕事としてするべきことを優先しました。


感情を統制することは支援者として大事です。
介護保険の手続き、担当するケアマネジャーのことなどを一通り伝えました。

それにしても、過去の自分ってAさんにとって、そこまで感謝される存在だったんだなと対人援助職のやり甲斐について実感しました。
今自分を認識されないことなんて、どうでもいい。


そう噛みしめながら、お話も一区切りし、帰る準備。

玄関で靴を履いている時にAさんから、絞り出すような声で

「ちょっと待ってください」

と声がかかりました。

びっくりしてAさんを見ると、

「あんたテリーさんか?テリーさんやな!ほんますまん。堪忍な。堪忍な」


と急に思い出されました。
Aさんの何とも言えない表情は今でも忘れられません。


訪問後、思わず泣いてしまいました。
この仕事して、良かったなと改めて思いました。

今回は以上です。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
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