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チャンピオンズカップ シーズン2 ラウンド1 エリア予選 結果報告

「こちらは多勢で、しかも正義だ。」
(エリア予選とか言うシステムやめようぜ)

こんにちは。ゴキ研です。
掲題の通り8月はエリア予選で各地を回りましたので、今回は結果報告です。
勝手に第2回アゾリウス評議会です。
結果から申し上げれば、今回は運良くはじめてのファイナル出場権を得る事が出来ました。
前回は私の構築が甘いところもありましたが、相手との当たり運もかなり悪く、あと少しで涙を吞んだので今回の結果に胸を撫で下ろしています。
(金銭的にも痛いです)

今回はエリア予選の勝ち上がりから傾向を分析したいと思います。
青白コントロールに興味が無い方は1章だけで十分です。
その後に、エリア予選が始まるまでの準備期間に試した事、本番での環境に合わせた調整内容を述べます。


1. メタゲーム分析

エリア予選は日本と韓国で19回開催され、権利獲得者のデッキリストは公式から確認する事が出来ます。

Champions Cup | TOP (bigmagic.net)

エリア予選からの権利獲得者は144名(権利保有者は203名)で、権利獲得済み2名の重複を含めたアーキタイプ毎の勝ち上がりは以下の通りです。

上位に赤いデッキが目立つ。

環境の王者・黒赤ミッドレンジが20%を越えなかったのは他のデッキも健闘したと言えそうですが、それでも予選通過率1位は底力の証明でしょう。デッキパワーが頭一つ抜けている印象です。
デッキパワーで対抗できる点において、緑単信心の爆発力が遺憾なく発揮されたようです。プレイヤー数も多かった印象で黒赤ミッドレンジと遜色ない予選通過率で2位でした。
以下、黒赤サクリファイス、青赤独創力と黒赤ミッドレンジが対応しづらいデッキが上位にランクインしています。
トップメタの一角を形成していた青白コントロールは苦戦を強いられています。

ここで表を1つ付け加えました(2023/9/6)。

開催日毎の傾向
1発勝負のファイナルでは初日(8/5)の結果に注視したい。
8/13は抜けが4人なので見方には注意してください。

黒赤ミッドレンジに対して他のデッキも健闘したのかとかと言うと、最初に強い乗り手が抜けてしまった様に感じます。
新セットが2回追加されるので状況が変わる可能性はありますが、シェア率は20%ありそうだなと言う感覚です。
黒赤ミッドレンジの予選通過率が低い日は特定のデッキが勝ったと言う訳ではなく幅広く勝ち上がった様です。緑単信心も同様の傾向ですのでメタが広がりサイドボードが想定外のアーキタイプに対応し切れない状況であったのかと想像します。
新セットでメタゲームに広がるのを期待したいところです。

次に、積み上げ棒グラフで勝ち上がりを視覚化します。

曜日別で色の系統を合わせています(1週目:赤、2週目:黄、3週目:緑、4週目:青)。

デッキパワーがあるアーキタイプが初週から積み上げており、1発勝負のファイナルでも活躍が予想できます。黒赤ミッドレンジと黒赤サクリファイスに対して白赤アグロは苦戦したのか2週目からの勝ち上がりです。
異形化や白黒緑パルへリオンも勝ち上がりが遅いのは気になります。
白単人間や白青スピリットは毎週コンスタントに勝ち上がりを輩出しており注意すべき存在に感じます。

次に、各アーキタイプを細かく見て行きます。

アーキタイプ毎の分類。

黒赤ミッドレンジは《変わり谷/Mutavault》の採用で分類しています。
ビートダウンで素早くゲームを畳める通称ヤソドスの勝ち上がりが早い様で、後ろに寄せるとその分相手の踏み倒しを通しやすくなるのでしょうか。
青赤独創力はアトラクサ、オパス、ワームいずれもバランス良く勝ち上がり的が絞りにくい印象です。
異形化は勝ち上がりが遅く4週目に伸びています。同じ踏み倒しである独創力と異なり、対象に出来るのがクリーチャーのみである分、対処されやすい事が影響したと考えています。
青白ロータスは緑タッチで《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》や《伝承の収集者、タミヨウ/Tamiyo, Collector of Tales》、《龍王ドロモカ/Dragonlord Dromoka》を採用する事が可能ですが、安定性を重視して2色に収束した様に感じます。
白赤アグロはゴブリン、ピアナラー、召集とばらけています。

2. 準備期間の取り組み

店舗予選で権利を獲得してからは十分な時間があり、パイオニア神挑戦者決定戦やプレミアム予選に参加したりしましたが、以降はパイオニアの大きな大会も無くどの様な構築で挑むか考える期間がありました。

これまでデッキの土地枚数について真剣に考えた事が無く、世にあるデッキリストから雰囲気で枚数を決めていたのが気になりました。
土地枚数に根拠を持って臨みたいと考えました。

現在の青白コントロールは《記憶の氾濫/Memory Deluge》を4ターン目にプレイできるかを目安に考えられており、プレイヤーによっては土地を28枚採用されています。
下表は土地枚数26~28枚毎に連続セットランド出来る確率を求めたものです。

先手は黄色、後手は青色のセルを参照。

土地28枚を採用しても先手番では79.0%と低めの数値であるのが気になりました。採用できるスペルを減らしてこれではあまりうま味が無いなと言うのが正直な実感です。

そこで、3ターン目に3マナ2ドローを唱える事を前提に考えたのが下表です。

3ターン目に2ドローすると4ターン目の連続セットランド率が向上する。
当然だが、3ターン目まで3枚連続セットランド出来る確率は高い。

これまで当然の様にデフォルトであった土地26枚でも先手で84.6%あり、信頼度は勝ります。2ドローすれば当然4ターン目の確率も向上します。

となれば、3マナ2ドロー以上の採用候補探しです。
ところが…。

2-1. インスタント3マナ2ドロー

《ポータブル・ホール/Portable Hole》4枚程度では条件達成は困難。
《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》があればループするが…。
カード増えてないし、パワーストーンの使い道が無い。
2点が痛い。エスパーで組むなら採用候補だが。
モードが沢山ありとても良いが色拘束が厳し過ぎる。

2-2. インスタント3マナ3ドロー

《ポータブル・ホール/Portable Hole》を採用したとしてもあまり捨てたくない。
《サメ台風/Shark Typhoon》、《一時的封鎖/Temporary Lockdown》等
相棒ヨーリオンであれば条件達成はしやすい。
土地を伸ばしたいのに捨ててどうする…!!

正直なところ、青白コントロールに採用するにはデメリットが気になるカードばかりです。
《厳しい授業/Stern Lesson》を強く使えるオパス独創力が好まれるのも当然です。

採用候補の中から以下をMOパイオニアリーグで試しました。
白青80枚:《悲劇的教訓/Tragic Lesson》+《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》
白青黒60枚:《影の予言/Shadow Prophecy》、
白青緑60枚:《斡旋屋一家の魔除け/Brokers Charm》、
白青80枚:《意味の渇望/Thirst for Meaning》

《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》は島の枚数が少なく条件達成が困難でした。
3色デッキは色を足すメリットが感じられず、特にMOでは白赤ピアナラーが流行していたのでショックランドが痛かったです。
《意味の渇望/Thirst for Meaning》はデッキ構造次第で使えるなと感じました。
実際に5-0しましたし、プレミアム予選でも試して感触は悪くなかったです。

https://www.mtggoldfish.com/deck/5750451#paper

しかしながら、エリア予選に持ち込むには通常の青白コントロールを上回るインパクトは無いと感じ、ここまでの試行錯誤は断念。
《選択/Opt》を採用して土地を減らすアプローチも試しましたが、後手が弱くなるだけでした。

結局はいつも通りの戦略で挑む事になり、あまり良い調整とはなりませんでした。あまり採用されていないカードで意識の外から揺さぶる事を戦略としている以上、試行錯誤が上手く行かない事もありますがファイナルに向けて精度を上げるのは課題です。

そして迎えたエリア予選の結果は…。

3. エリア予選結果

前回と同じく5回参戦して権利を獲得しました。

個人的には仕事で昇格試験を控えており早めに抜けておきたい状況で、前日に有給休暇を取得して1週目に臨みました。

晴れる屋TCでは沈黙型を採用しましが、1回戦負けスタートして今回もサブマリンの日々かと落胆しましたが割と戦えました。

緑単とパルへリオンが多い印象から矢向では魂の仕切りを採用。
黒赤ミッドレンジには弱いので引きたくなかったのですが、きっちりと重ね引きして負け。
ここからは昇格試験の準備と業務に追われながらの挑戦となりました。

青赤オパス独創力とらせんコンボが勝ち上がっている情報から2週目の柏では急造デッキでしたが青黒コントロールを採用。
《致命的な一押し/Fatal Push》と《塵へのしがみつき/Cling to Dust》が重要と考えました。
2回戦まで好調でしたが、黒単ミッドレンジを踏んで負け。隣が仮想敵同士で戦っていました。《絶望招来/Invoke Despair》をカウンターした次のトップが《ナーセットの逆転/Narset's Reversal》であったり、土地事故であっさり敗退して不運でしたが感触は良かったです。

3週目は予約が遅れ順番待ち17番手でしたが当日に繰り上がりで出場権が確定。前日にデッキが決まらず細部は当日朝に決めました。
前述の《致命的な一押し/Fatal Push》と《塵へのしがみつき/Cling to Dust》を採用しつつエスパーコントロールにしました。
結果的に、サイドボードに入れた猫クリーチャー6体が機能せず。特に黒赤ミッドレンジの対策で入れましたが、出ても《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》との睨み合いで借りてきた猫状態でした。
《影の評決/Shadows' Verdict》は良かったのですが…。
負けたゲームは全て《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》が大活躍でしたので意識を高める必要性を感じました。

4週目は大会前日に昇格試験が終了して考える時間が取れました。

葛藤しながら組んだデッキは1週目に持ち込んだ沈黙青白コントロール。
ノー練習で使用感はわからず最後まで懐疑的でしたが《軍団の天使/Legion Angel》を採用しました。

出ればまた次の《選別する軍団/Winnowing Forces》をサイドボードから呼ぶ。
出した返しに除去されても1対1交換にならない。
最後は実績のある構築に託す事に。

現環境の青白コントロールは3マナで構える動きが《吸収/Absorb》のみですので、打ち消されても良いカードを投げられたり、相棒を加えながらドヤ顔パスをされてしまいます(なので3マナインスタントドローが欲しい)。
《吸収/Absorb》の返しはチャンスボールなのにまた構えるのは勿体なく感じて採用したのが《軍団の天使/Legion Angel》です。
4ターン目に優位な盤面を形成すれば《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》も安全に出せます。
ここまでが準備段階で考えた採用の理由付けです。
実戦で得た使用感としてはクロックの速さで、4点⇒8点⇒12点とカウンターで守りながら削る事が出来るのが良かったです。
この日のマッチアップでは、黒赤ミッドレンジに殴り勝ったり、《魂剝ぎ/Soulflayer》と相討ち、青赤オパス独創力に12点クロック、黒赤サクリファイスにコントロール奪取されないクロック、白単人間相手にラスの返しに展開と大活躍でした。
正直、メイン1枚にしては良く引いたので運が良かったと思います。
《軍団の天使/Legion Angel》の大活躍により6-1でファイナルの権利を獲得出来ました。

4. サイドボードプラン

正直なところ、私のサイドボードプランはある程度の指針を立てておいてその場でのアドリブです。時間がある時はじっくり考えますが…。お恥ずかしい限りです。
ここでは期待している役割を述べたいと思います。

《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror》、
《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》、
《婚礼の発表/Wedding Announcement》の除去
《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror》、
《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》、
定着してしまったPWの対処に。

これらの単除去はギリギリまで使わずに温存します。
《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》が立っているだけで負けてしまった…とならない様に序盤の小さいクリーチャーには撃たないようにしましょう。これら脅威の構築枚数が多い為、2枠を割いています。

《不屈の独創力/Indomitable Creativity》
《異形化/Transmogrify》に対応でキャスト

踏み倒しが多い事を見越しての採用です。
ロングゲームで弱いソフトカウンターと入れ替えます。

現環境赤い脅威と緑単が多すぎる。
《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》のコピー対処にも。
《バグベアの居住地/Den of the Bugbear》を戻すとタップインになる。

このカードは除去やカウンターではありませんが、山札へ戻すので1対1交換になります。打ち消せない《龍王ドロモカ/Dragonlord Dromoka》を山札に戻して《廃墟の地/Field of Ruin》でシャッフル…と言う対処法は覚えておくと良いでしょう(広く知られていると思いますが念のため)。

ミラー(特に青白ロータス)の記憶の氾濫、
緑単信心の《収穫祭の襲撃/Storm the Festival》対策

特にフラッシュバックで2度使われるカードを対処するのに有効です。
《不屈の独創力/Indomitable Creativity》の様な4枚積んでいるカードを除外できればカウンターの温存になります。

《大牙勢団の総長、脂牙/Greasefang, Okiba Boss》が墓地を対象に取れない。
ビートダウンに対するブロッカーとしても優秀。
カウンターでバックアップして脅威を通す相手(独創力や奇怪な具現)に。
黒赤ミッドレンジに入れるとカウンターを引きすぎて盤面に触れなくなる事も。
ビートダウンや緑単信心のマナ供給源を断つ
ビートダウンに対してはブロッカー、黒赤にはハンデスケアとして1枚サイドイン
ビートダウン相手に《軍団の天使/Legion Angel》を並べて伴魂付与して攻撃と言う展開を期待
ビートダウンに対して追加の全体除去
緑単信心とのマッチアップで《至高の評決/Supreme Verdict》とチェンジ

緑単信心の様な死亡誘発が多い相手に有効です。トークンが並ぶ相手に通れば巨大な培養トークンが育ちますのでギリギリまで我慢しましょう。

5. 新環境

エルドレインの森発売を控え、注目しているカードをピックアップします。

待望のインスタント3マナ2ドローがノーリスクで!!
コモンなので今後の上位互換に期待ができる。
《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》を内蔵したフィニッシャー
出来事で唱えて追放領域へ移動するのでハンデスされない。
出来事は《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror》にも強く使えると見ています。

準備期間に検討したインスタント3マナ2ドローが戦力に加わります。
エリア予選の前に欲しかったですw
これにより、3マナで構えた際に選択肢が出来ますので、相棒を加えて来たらすかさず2ドローして4マナでソーサリータイミングの動きが現実的になりました。青白コントロールの戦略が大きく変わりそうです。
有角の湖鯨もクロックが優秀ですので除去として使用した後、ロングゲームにせず素早くゲームを畳める事を期待できます。
特に青黒コントロールで使ってみたいです。

今回は勝ち語りの様な内容で面白くなかったかもしれません。
土地の枚数に関する考えはコントロールデッキを構築するうえで基礎知識となり得ると思いますのでお役に立てれば幸いです。
それでは、良きコントロールライフを!!

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