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【第3回】常勝! プロジェクトを成功に導くマネジメントの定石 ~自己流の限界を超えるプロジェクト成功のカギとは~

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第三章 人間力はどうすれば磨くことができるのか?

プロジェクトは、多数の人間とかかわりあいながら目標を達成する仕事です。人間力とは、「あたえられた任務をまっとうする能力」と「周りから信頼される人格を持つ」人が、人間力のある人です。
自分が「理想とする姿」を明確にイメージし、日常の行動や振る舞いにおいて意識し続けることです。具体的な人物をロールモデルに置く方法がおすすめです。
ロールモデルは、直接会ったことがない著名人や過去の偉人でも構いません。人間力の観点で理想とする人を見つけてください。
理想の姿が自分の中に明確にあれば、つい衝動に駆られネガティブな感情が表出しそうになったときに「あの人だったらどうするだろう」と踏みとどまるきっかけになります。自分に非のある行動をとってしまったときには客観的に見つめ直すことができるようになります。
人間力を磨くコツは、次の成長のPUPRSGサイクル(以下トニーコヤマモデル)を回すことです。

3-1.PUPRSGサイクルを回す

P:Prepared、引き受けた任務を、まっとうしようと覚悟を決めます。
U:Understand、できるプロジェクト・マネジャーの行動を学んで理解します。
P:Practice、プロフェエッショナルにふさわしい行動がとれるように実践します。
R:Reflection、試行錯誤を繰り返し、できなかったことを振り返り内省します。
S:Shaer、自分で工夫したアイデアやノウハウを他者に教えます。
G:Growth、他者に教えることで、自分が成長することができます。
人間力の9つの要諦を磨くために成長サイクルを回し続け、バランスよく身につけることで成長することができます。

3-2.引き受けた任務を、まっとうしようと覚悟を決める

プロジェクト・マネジャーの任務を引き受けた以上は、「私は絶対にこのプロジェクトを成功させる」と覚悟を決めます。その後、できるプロジェクト・マネジャーにふさわしい行動をとろうとします。どのような行動をとっているかを研究し、「あの人ならついていきたい」と思われるような人間になることです。そのような行動をとるためには、引き受けた任務を自覚し、覚悟を決めます。

3-3.できるプロジェクト・マネジャーの行動を学んで理解する

覚悟を決めたら、できるプロジェクト・マネジャーは、どのような行動をとっているのかを研究し、学んで理解します。
できるプロジェクト・マネジャーは、プロフェッショナルにふさわしい行動をとろうとします。しかし、どのように行動すればよいのかわかりません。
たとえば、プロフェッショナルにふさわしい行動は、米国プロジェクトマネジメント協会(以下PMI)が発行している書籍『プロジェクト・マネジャー・コンピテンシー開発体系(以下PMCDF)』にまとめられています。

3-4.プロフェエッショナルにふさわしい行動を実践する

プロフェッショナルとして一流をめざすのであれば、その分野では日本一をめざすくらいの気概をもって、徹底的に学び、体得する必要があります。それができてこそ、一流のプロフェッショナルになることができます。
一流のプロジェクト・マネジャーをめざすのであれば、高い目標を設定し、そこに向かって3年~5年と中長期計画を持ちながら、目の前の目標をひとつひとつクリアしていく必要があります。その地道な努力の積み重ねが、本物の経験や力になっていきます。なりたい自分をイメージしながら、強い信念を持ち、日々全力で努力していく必要があります。

3-5.試行錯誤を繰り返し、できなかったことを振り返り内省する

プロジェクトを取り巻く環境は、時々刻々と変化します。変化のスピードが上がっている時代のなかで、常に行動・改善を繰り返すことが求められています。
内省を行うことで、伸ばすべきポイントや改善点を見つけ、急激な変化にも自然と対応していく力が身につくのです。内省は日々の作業に試行錯誤と学習の機会を与えることができます。
内省を習慣化できれば、自らの経験を振り返り続けることにつながり、新しい発想に至る可能性もあります。それまで気づかなかった作業の進め方やコツをつかむことで、改善や効率化が行われます。

3-6. 自分で工夫したアイデアやノウハウを他者に教える

自分で学んだことは、他の人に教えてください。人に教えることで自分も成長することができます。
人に教えるためには、自分が内容を深く理解する必要があります。人に教えるためにいろいろと調査したり、整理したりします。その過程で自分にもインプットされているのです。アウトプットするためには、頭の中で筋道を立てて論理的に展開する必要があります。わかりやすく人に伝えることは非常に困難なことです。
調査・整理した内容は、記録として残します。それが自分オリジナルのテキストとなります。このようにして成長することができます。

3-7.人間力を磨くために成長サイクルを回し続け、バランスよく身につける

人間力の主な要素として、「9つの要諦」を挙げました。周りから信頼される人格を持ち、あたえられた任務をまっとうできる人間になるためにPUPRSGサイクルを回し続け、人間力を身につけます。
9つの要諦を一度に習得することは困難です。自身の強み・弱みを分析し、強みはさらに強化し、弱みを克服するために、できるところから、バランスよく身につけます。
一度できたからといって安心してはいけません。習慣化することが重要です。

次回につづく

著者プロフィール

小山透

プロジェクトマネジメントをわかりやすく伝えるエバンジェリスト(伝道師)。ソニー一筋40年以上勤務。2011年、米国プロジェクトマネジメント協会認定のPMP(Project Management Professional)資格を取得し、半導体製品開発プロジェクトのPMO(Project Management Office)を担当する。また、米国プロジェクトマネジメント協会の日本支部では、プロジェクト・マネジャーに必要な知識やスキルとともに『人間力』についても10年以上研究を続けている。2012年からプロジェクトマネジメントの研修を体系的に構築。プロジェクトマネジメントの研修講師として、6,000名以上を教えている。

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