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展示会に刑事がわんさか来たお話その2

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本日のお題:展示会に刑事がわんさか来たお話その2
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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GWに少し遠出をしたんですが某サービスエリアで全財産と免許証、保険証、マイナンバーカード、キャッシュカード、クレジットカード、とにかく貴重品が全て入ったバッグを置き忘れてしまいました。うわ!と気付いた時にはすでに車で2時間ほど走った後。

バッグの中に入っている鍵にGPSをつけていたので確認するとやっぱりサービスエリアにあったので電話をしてみたら事務所に届いているとのこと。おおお、さすが日本。ありがとう!拾ってくれた人、本当にありがとう!

というわけで日本人の民度の高さとGPSの有効性やらいろいろ確認できて非常にありがたかったGWでしたがみなさんはGWはいかがお過ごしでしたでしょうか。またお盆まで頑張りましょう笑。

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■展示会に刑事がわんさか来たお話その2

今週のお題は「展示会に刑事がわんさか来たお話その2」です。今週からこのメルマガをお読みになっている方はバックナンバーがnoteに保管されておりますので先に「展示会に刑事がわんさか来たお話その1」をお読みください。「note 呉服のきくやてんちょ」で検索していただければ当店のnoteが出てきます。

逮捕されてしまったBさん、警察まで集金に行かれへんやん、どうにもならんやん、と思ったんですけれどAさんはそこそこ事情を知っているようで担当している弁護士さんを教えてもらったのでダメ元で会いに行くことにしました。

弁護士さん曰く「Bさんは絶対冤罪。警察は無茶苦茶な論理でBさんを犯罪者に仕立て上げようとしている」とのことでしたがそのあたりの説明をいくらしていただいてもただの呉服屋の兄ちゃん(当時は兄ちゃんだったのだ笑)の私にどうにかできるわけでもなく…。そしてようやく本題を切り出しました。

私「すいません、売掛金が30万円ほどあるんですけど」
弁「あー、それはもう難しいね」
私「ダメですか」
弁「あの人が捕まったと聞いて、周りにいたあまり素性のよくない友人…って言っていいのかな、まあそういう人たちが勝手に家に入って金目のもの全部持って行ったみたいでね」
私「マジすか」

うーん、どこまでが本当の話かわからないけれど、もう八方塞がりで私にはどうにもならない、回収は不可能ということだけはわかりましたので店に帰って社長に報告しました。社長はまあそういうリスクも込みで販売してるんだからしょうがない、という感じで特に私が責任を取るといったことはなく終わりました。その後、Aさん経由で「呉服屋さんには迷惑かけてしまった」という手紙をいただき、やっぱりBさんは今回の容疑については私には判断できませんが、少なくともお金のことに関してはきっちりとした人だったんだ、と思いましたがその後Aさんから断片的に聞いた話では裁判で有罪が確定したらしく、完全に売掛金は諦めざるを得なくなりました。

そして時は流れました。何年ぐらい経ったやろか、電話がかかってきたんですよ。Bさんから!

B「久しぶり、元気?」
私「お、お、おひ、おひ、お久しぶりです。なんか色々大変だったみたいですね」
B「お金払ってなかったの、払うから家に来てよ」

なんと!犯罪のことは冤罪かどうかはわからないけれど、お金のことに関してはきっちりとした方というのはやっぱり間違いなかった!と思って急いで家にお伺いすると30万円全額払っていただくことができました。そして同時に喜平の金のネックレスが欲しいという要望もいただきました(喜平のネックレスがどういったものかはちょっとうまく説明できないのでググってください。あえて言えば重量がありネックレスの中でも非常に換金性の高い商品です)。

前回書いたように十貨店構想で呉服屋も展示会で宝石や洋服などを扱っている時代でしたので、手配することはできます。バッグ代も回収することができたし、ちゃんと約束は守る人だということはわかってる、わかってるんだけどやっぱりすごく警戒してしまいます。罪を償って帰ってきた方を差別するのは申し訳ないですが、帰ってきていきなりネックレスかぁ、大丈夫かなぁ、と思ってしまったのも事実です。なにせ私の周りにそういう方が全くいないのでよくわからず警戒してしまうんです。

しかも喜平のネックレスというと、このメルマガを読んでいる着物沼の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、太くて重みもあり、非常に換金性の高い商品で、最大限に警戒してしまうのです。でもバッグの代金は全て払っていただいてますし、もし何か悪意があるならそもそももう何年も前のバッグ代30万円を払う必要もありませんし、やっぱり本当に欲しいのかなぁ、と思いながら店に帰りました。

色々考え、社長とも話し合って警察に相談することにしましたら「わかりました、当日展示会場で待機いたしますので安心してください」とのこと。うーん、私の中では誠実な方だったし、こういうことをするのはあまり気が進まないんだけれど、一方でやはり少し警戒&来ていただけることで安心してしまったのも事実です。

当時、展示会にお客様を勧誘するときには必ずご来場予定日時を聞いておりました。お客様がある時間に集中することなくスムーズに販売できるように、せっかくお客様が来られても担当が別の方を接客していてそのまま帰ってしまうなんてことがないように。お客様が持っているもの、お客様の好みをよく知っている担当者が接客して商品を勧めないと売れませんし、担当者が勧誘して会場まで足を運んでくださっているのにお相手できないというのも失礼な話ですから。

そして展示会が始まりました。Bさんが来られる予定は2日目の14時ごろ。13時半ごろになると私服の刑事さんが数人やってきました。宝石売り場の位置やそのほか会場のいろんな部分を調べてたような気がしますが、もう古い話で何を調べてたのかは忘れました。要所要所に配置しながら、会場に来られているメーカーさんや問屋さんに紛れるようして物々しい雰囲気にならないように配慮してくださっていたように思いますが、なにぶん私はそういうことは初めてなので、変な雰囲気を感じ取ってしまいます。

そしてBさんはAさんと一緒に来られました。Aさん、Bさんは何も知りませんが、事情を知っている私たちからすれば会場内はめちゃくちゃ張り詰めた雰囲気。数人の男女の刑事さんが売り場の要所要所に配置され、特に宝石売り場は厳戒態勢。刑事さんたちはお客様のフリをしながらピリピリとした雰囲気の中、Aさん、Bさんの動きをしっかりと目で追っています。運の悪い(?)ことにBさんは大きく口の開いたトートバッグを持ってこられたのでその辺も緊張感が増した要因の一つだったかもしれません。

高級品を扱うことの多い呉服の展示会ですが、私の勤務していた店はそれほど大々的に販売しているわけではないごく小さな会社で、来られるお客様もほぼ100%常連の顧客ばかりなので完全に信頼しきっており、盗難には完全に無防備で防犯カメラ等もありません。今だから言いますけれどもし盗難しようとしたら小さいものなら取り放題だったかもしれません。まあそんな状態だったから1回大島紬が数反紛失したことがあったんですがそれはまた別の機会に…。

結論から言いますと、特に何も盗まれるとかそういったことはなく終わりました。Aさん、Bさんが帰った後、ピリピリしていた展示会場の雰囲気が一気に柔らかくなったのを覚えています。事情のわからない人からすれば全く変わっておらず、慣れない雰囲気で私が勝手にピリピリしていただけなんですけどね。もしBさんが弁護士のいうとおり冤罪だったら…いや、冤罪じゃなくてもちゃんと罪を償っていた方を、本人さんたちには全くわからないようにしていたとは言え思いっきり疑って対応してしまったのは果たしてあれが正解だったのか、30年ほど経った今でもわかりませんし、多分これからも結論は出ないと思います。

それから間も無く私は退職して家業であった現在の職場で働くことになったので、その後Aさん、Bさんはどうなったのか全くわかりません。それから何年か経って社長にお会いしたときにこの当時のことが話題になりましたが、私が辞めてからはAさん、Bさんとも疎遠になってしまい、全く情報がなく、今どうしておられるのか全くわかりません。もし今でも健在だったら100歳近いような年齢かなぁ、今でも健康で元気に暮らしておられたらいいのですが…。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022
https://www.kikuya.shop/

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