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セレン欠乏症が致死性のウイルスや神経変性疾患と関連している

 必須微量ミネラルであるセレンは、現在では最適な健康を維持するために不可欠なものと考えられています。セレン欠乏がもたらす恐ろしい影響については、あまり知られていないかもしれません。新しい研究によると、このミネラルの不足は神経変性疾患の発症に関与するだけでなく、新種の危険なウイルス株の出現にも関与し、伝染病の引き金になる可能性さえあると報告されています。

 米国では毎年10万人以上がインフルエンザウイルスで入院し、2万人以上がインフルエンザウイルスの合併症で命を落としています。

●セレンは酸化ダメージから身を守る
 セレンは土壌中に自然に存在し、動物や人間の体内にも存在します。セレンは多くの重要な生化学的機能を果たしています。代謝の調整、正常な成長の管理、生殖の調整、フリーラジカルの中和、感染予防などです。
セレンは、体内の「マスター」抗酸化物質であるグルタチオンペルオキシダーゼの構成成分であり、少なくとも25種類のタンパク質に組み込まれており、フリーラジカルを体液中で無害化することで中和します。

 グルタチオンの構成成分であるセレンは、脂肪の酸化に対抗し、血小板の「粘着性」を低下させることで、心臓血管の健康を守るのに役立ちます。 また、毒素を中和する働きもあります。

●セレンと病原菌の病原性増加との関連性を示す驚くべき研究結果
 ノースカロライナ大学チャペルヒル校で行われ、FASEB(米国実験生物学会連合)に掲載された研究では、セレン摂取不足がインフルエンザウイルスによるダメージを増大させることが発見されただけでなく、さらに憂慮すべきことに、インフルエンザウイルスがセレン欠乏マウスを通過すると変異することもわかりました。インフルエンザウイルスは以前よりも強毒になっただけでなく、セレンが最適な状態のマウスにも感染するようになったのです。

 また、セレン欠乏マウスから採取したウイルスは、ウイルスの複製に関連するM1マトリックスタンパク質の遺伝子に変異することもわかりました。ウイルスが突然変異すると、栄養状態の良いマウスでも、より毒性の高い新しいウイルス株に感染しやすくなります。栄養不足が新しいウイルス株の出現を助長し、流行を促進する可能性を示唆するこの発見は、研究チームによって「憂慮すべきもの」とみなされています。一部の研究者は、エボラウイルスの出現は、インフルエンザや風邪の新型と同様に、土壌のセレン濃度が低い地域のセレン欠乏宿主との相互作用によってもたらされたウイルスの変化に起因する可能性があると考えています。 言い換えれば、低セレン地域の人々は、より病原性の強い病原体の "孵化器 "として働いている可能性があるのです。

●セレン欠乏が良性ウイルスを変異させ、心臓を損傷させる
 関連する研究では、セレン欠乏により、通常は穏やかなウイルスであるコクサッキーウイルスB3が、心筋を攻撃できる微生物に変異する可能性があることが判明しました。その結果生じる心臓炎症はケシャン病として知られており、土壌にセレンが欠乏している中国の農村部の一部の人々に影響を与えている症状です。
 
 The Journal of Nutritionに掲載された研究では、研究者らはマウスにセレン欠乏食を4週間与え、その後、通常は心臓の炎症を引き起こさないコクサッキーウイルスB3の株を接種しました。セレン欠乏マウスは、セレンが十分なマウスに比べて有益なグルタチオン活性が5倍も低かっただけでなく、心臓障害も発症しました。次に、セレンが十分な栄養状態のマウスにコクサッキーウイルスB3を接種したところ、その結果は憂慮すべきもので、そのマウスも同様に心臓障害と心筋炎を発症したのです。
 
●セレンの補給は深刻な健康問題の進行を食い止めるのに役立つ
  セレンの欠乏はウイルスをより危険なものにする可能性がありますが、セレン補給が有益な効果をもたらすことも研究によって証明されています。例えば、セレンを補給すると、動物でも人間でもB型肝炎の発症率が劇的に低下します。すでにB型肝炎に感染している場合、セレンを補給することで肝がんへの進行を防ぐこともでき、セレンはまた、HIV感染から本格的なAIDSへの進行を防ぐのにも役立ちます。 プラセボ対照の二重盲検試験で、セレンの補給を受けたHIV陽性の男女は、プラセボを投与された男女に比べて入院回数が少なかったことが報告されています。
 
●セレニウムの補給は、欠乏していない人にも有効かもしれない。
 研究によると、サプリメントを摂取すると免疫反応が高まることがわかっています。 Biological Trace Element Researchに掲載された研究では、1日200mcgのセレンを摂取すると、ナチュラルキラー細胞の活性が82%高まることがわかっています。医学協会が推奨するセレンの摂取量は1日に55mcgですが、ナチュラルヘルスの専門家によれば、免疫システムを強化し、がんを予防するには55mcgでは不十分である可能性があると言います。
 
 セレンのサプリメントを摂取する場合は、まず信頼できるホリスティック・ヘルスケア・プロバイダーに相談してください。 食事から摂取できるセレンとしては、ブラジルナッツ、放牧卵(オーガニック)、レバー、ヒマワリの種などがあります。

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